オリエンタル白石(東証1部上場、千代田区)の倒産についてみてきたシリーズの第3回目。今回は合併に伴うメインバンクの変化、キャッシュフロー計算書、手形割引とファクタリングについて注目してみる。
※ (ファクタリング)
企業は、売掛債権をファクタリング会社に手数料を支払って売却し、早期に資金化。売掛金の回収は企業に代わってファクタリング会社が行う金融サービス。
表3の「銀行別借入金残高推移」でも変化が見える。(表3)は合併前のオリエンタル建設及び白石の銀行別借入状況(2007年3月時点)と、合併後のオリエンタル白石の破綻前残高の変化を示している。合併前のオリエンタル建設の借入金はゼロで、メインバンクはA銀行だった。同時に合併前の白石の借入金合計は132億6400万円でメインバンクは借入の42.1%を占めるB銀行だった。これが合併後の2008年11月、オリエンタル白石の借入シェアはA銀行38.5%、B銀行19.8%と、A銀行がそれまで融資ゼロから38.5%に伸ばし、B銀行は逆に42.1%から19.8%へ減らしている。金額ではA銀行はゼロから71億1600万円に急増、B銀行は55億9100万円から36億6800万円に減らしている。
オリエンタル白石の合併比率は1:0.3で、合併後は旧オリエンタル建設が実質的に主導権を握ったと見られ、A銀行が合併後のメインバンクとなった。B銀行はサブ銀行として融資額はA銀行にメイン寄せされたと見ることができる。しかし、借入総額が132億6400万円から180億7600万円へ増加する中、B銀行は残高を減らし、A銀行はゼロから71億円の融資額を増やす極端なメイン寄せが行われていたことは注目すべき点だろう。B銀行が撤退し、A銀行の与信が膨らむ。金融情勢が厳しくなる世情ではA銀行の与信負担は限界に近づいていたと想像できる。
こうした変化を外部公表資料でチェックする方法は無かったのか。難しい判断だが、2008年3月期半期決算(9月30日)のキャッシュフロー計算書(C/F)に焦点を当てると、C/Fの「現金同等物の増減額」が40億円のマイナスとなっている。これによってB/Sの「現金及び預金」が65億円から25億円と40億円減少している。減少の原因は営業キャッシュフローのマイナス47億円が影響したもので、マイナスを補うための財務活動によるキャッシュフローが資金付けされていないことによる。財務活動によるキャッシュフローは「短期借入金の純増額」が10億円あるのみで、不足資金に係る借入金手当が出来ておらず、結果的に手持ち現金を大きく減らしている。ただ、金融情勢が厳しいなかでは金融機関の融資姿勢は厳しく、手持ち現金を減らされたのか、財務戦略上自ら身軽としたかは判断を要すべきポイントとなる。この場合将来の資金調達が可能となる担保余力があるか否かが重要となりそうである。
同社の破綻についてはもう一つの見方がある。手形割引とファクタリングだ。オリエンタル白石は売上減に伴い保有手形は減少傾向にあった。このため手形割引による資金調達が出来なくなったとする見解だ。借入金による資金調達が厳しくなり、手形割引に資金繰りを依存した。だが、その割引も手形が底を付き、資金調達は限界になったとするものである。
これは同時にファクタリングが付かなくなったとする見解とも結びつく。ファクタリング会社は同社の売掛債権を担保に資金を提供するが、売上債権が減るとファクタリングに出せる金額も減る。さらに与信が毀損してくるとファクタリングがかからなくなる。これによって資金繰りが急に細り、厳しくなったという見方である。
オリエンタル白石の破綻は期間損益は黒字でも資金繰りでは赤字の典型例となった。いまや金融機関は期間損益ではなくキャッシュフローを重視することの証左でもある。先行きが見えない金融危機の中では、やはり「キャッシュフローがすべて」と言っていい。
香川県倒産は2008年4月~09年2月(この時点では集計中の為)で、倒産件数は111件、負債金額は272億7300万円で、昨年の2007年4月~08年3月通期と比べれば、倒産件数は前年比105.7%、6件の増加。負債金額は前年比775.9%となっており、倒産件数は既に前年を越えている。また原因別倒産において、不況型倒産は2007年4月~08年3月通期で49件に対し、2008年4月~2009年2月は52件と多くなっており、厳しい状況が浮き彫りとなっている。今回黒字倒産の事例を紹介したが、実は香川県内で今年倒産した企業(負債総額5億円以上)21社の内13社は黒字倒産となっている。2008年10月からスタートした緊急保証制度は今年20兆円に追加したが、平均保証額は2200万円に留まるなど中小企業を助ける慈雨となっていない。




















