2010年12月16日更新
高松に赴任して初めての冬。瀬戸内は温暖との思い込みはあっさり裏切られ、海から吹く寒風は、ロンドンの深々とした冷え込みにも匹敵します。ロンドンっ子達は長い冬の夜をオペラやサッカー観戦で楽しみます。私もロンドンでは、クリスマス明けから繰り広げられるプレミア・リーグを堪能しました。
先日、丸亀競技場で香川県高校サッカー決勝戦を観戦してきました。見慣れたプロの試合とは一味違い、攻撃や守備の動きから日頃の練習が手に取るようにわかります。一歩でも早くボールに追いつくため、一瞬でも早くディフェンダーを抜いてパスをもらうために、選手一人ひとりが毎日努力を重ねてきた様子に心を打たれました。成長へのたゆまぬ努力は、サッカーへの愛情とともに母校を愛する気持ちがあるからこそ生まれるのでしょう。
ロンドンから戻って香川の自然や文化の素晴らしさに感動するにつけ、地元の方があまり故郷自慢をされないことを不思議に思います。欧州危機の原因といわれるギリシャの友人も、金融危機の犯人扱いされるロンドンの金融マンも、世界中からどれほど非難されようとも「自分の国が一番だ」と胸を張ります。ワールドカップ期間中、街中の家や車の窓にはイングランドの旗がはためいていました。
日本は長期にわたる低成長に苦しんでいます。香川経済も持ち直してはいるものの、まだまだ厳しい局面が続きそうです。中学時代愛読したスポーツ漫画の中で、スランプに苦しむ主人公にお父さんがかけた「冬来たりなば春遠からじ、だよ」という言葉が記憶に残っています。厳しい局面は次の成長に向けた準備期間であり、そんな時期にこそ前向きな努力を怠らないことが大切です。地道な努力を支えるのは、故郷や仲間への愛情です。地域でスポーツを育てることは、そうした気持ちを素直に確認できる近道です。このところ朗報が続く地元チームを応援しながら、香川に春を迎えるための努力を続けたいと思います。
日本銀行高松支店長 清水 季子
「かがわ経済ナビ」は、経済に詳しい専門家の方々に香川や四国の経済状況、新たな動き、今後の展望などを語っていただく「潮流」。
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