2011年1月6日更新
~売上合計23兆5691億円 全社で急回復~
アジア市場と欧州市場の逆転が鮮明に
国内の主要自動車メーカー8社の2010年9月中間期決算が出そろった。8社の売上合計(連結ベース)は23兆5691億円(前年同期比18.3%増)、経常利益は前年同期比73.8倍増の1兆3462億円と急回復を印象づけた。国内市場のエコカー減税や9月の補助金終了に伴う駆け込み需要に加え、アジアなど新興国市場への販売が引き上げた。海外市場は急激な円高のなか、経済が混乱している欧州向けは低迷したが、北米、アジア市場が好調だった。
2010年9月中間期は8社がそろって増収だった。増収率トップは、三菱自動車工業(前年同期比50.9%増)、次いで日産自動車(同27.6%増)、富士重工業(同26.5%増)の順で、最低のスズキ自動車(同11.6%増)まで二ケタの増収率だった。各社とも国内市場でのエコカー減税や補助金の政策効果に加え、積極的に新車を投入したほか、新興国への販売増も業績伸展に寄与した。
損益も全社が前年から大幅に回復した。トヨタ自動車、マツダ、富士重工業の3社は前年赤字だった営業利益、経常利益、純利益とも黒字に転換した。唯一赤字だった三菱自動車工業も営業利益、経常利益とも黒字に転換、純利益の赤字額を大幅に圧縮した。増益率の上位3社のうち、日産自動車は海外工場稼動に伴う利益率の向上や持分法による投資利益などが寄与し、本田技研工業は販売増と増産に伴うコスト削減効果が大きかった。

7社(地区別の販売比率を非公開のダイハツ工業を除く)の売上合計を地区別にみると、最も大きく伸びたのはアジア(前年同期比40.6%増)。次いで、その他(同22.4%増)、北米(同13.7%増)、日本(同11.87%増)の順で、唯一欧州(同10.6%減)が前年実績を下回った。成長著しいアジア市場と停滞する欧州市場を自動車販売でも裏付けた格好だ。
地区別売上構成をみると、7社ともアジア市場を伸ばした。アジア向け比率を最も伸ばしたのは日産自動車(前年同期比5.2ポイント増)で、スズキ(同5.0ポイント増)、トヨタ自動車(同3.7ポイント増)と続く。日産自動車は国内、北米、欧州で比率を下げ、アジア向けの傾注姿勢が見えてくる。もともとインドに営業基盤を築いているスズキは、アジアの構成比が34.2%と他社に比べて際立って大きく、先行者利得をさらに固めた。
国内比率では、三菱自動車工業が65.6%と最も高く、前年同期より11.4ポイントアップ。エコカー補助金、同減税を最大限に活用したようだ。これに対し、日産自動車(2.4ポイント減)と富士重工業(7.0ポイント減)の2社はそろって国内市場の構成比が落ち込み、好対照をみせた。
欧州比率は、富士重工業(2.5ポイント増)を除く、6社がそろって構成比を下げた。欧州向け比率が20%以上と高かったマツダは7.1ポイント下げ、北米と国内などの頑張りで売上高を伸ばした。
北米比率は、リーマン・ショック後の低迷が底を打ち、売上高合計では前年同期より13.7%伸ばしたが、各社の構成比では本田技研工業とマツダ、富士重工業の3社を除き、各社とも構成比を落とした。
各社とも好決算だったが、国内市場では販売を加速したエコカー補助金が9月に終了、原材料の高騰やドル、ユーロに対する円高も進んでいる。特に、ユーロは欧州経済の混乱に伴い為替レートは1ユーロ=110円台に高止まりし、マツダと三菱自動車工業を除く6社の下期想定レートに並んでいる。欧州市場での販売比率はマツダ、日産自動車、スズキの3社が10%を上回っている。なかでも販売比率が16.4%と最も高いマツダの下期想定レートは1ユーロ=115円で今後の為替相場の推移次第では収益の足かせになる可能性もある。
アイルランドの財政破綻など不安定さを見せる欧州市場への輸出比率は、主要自動車メーカー7社でみると売上高の10.0%でウエイトは高くない。また、現地生産に乗り出しているメーカーもあり、欧州の影響度は各社ごとに異なるのが実状だ。一方、国内に目を向けても販売だけでなく、生産も車両開発や生産技術のレベルを維持するために、ある程度の生産規模の確保と設備稼働は避けられない。
国内販売は、エコカー補助金の終了とともに前倒し需要の反動から10月は新車販売実績が大幅に前年割れとなり、影響が出ている。こうした国内市場の落ち込みを輸出でどれだけカバーできるか。為替動向が輸出に逆風になっているだけに、各社の戦略が問われている。
各社とも拡大を続けるアジア市場に照準を当て、今後の有望市場にする動きを見せている。採算性を考慮すると海外への生産シフトもある程度避けられない状況だ。自動車業界は生産だけでなく、販売も国内市場と海外市場への転換が大きな分岐点に差し掛かっている。
「動向リサーチ」は、東京商工リサーチがまとめる詳細な情報データに基づき、株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長・竹 茂和さんが香川の経済動向を鋭く分析します。































