2011年1月20日更新
1995年1月17日、午前5時46分、筆者は兵庫県西宮市夙川で地鳴りとともに猛烈な揺れに襲われた。阪神・淡路大震災である。細雪に描かれた歴史ある住宅街は壊滅し、多くの方が亡くなられた。倒壊した家屋の並ぶ荒涼たる風景は一生忘れられないだろう。
あれから16年、日本列島に災害が絶えることはない。大規模地震だけとっても、鳥取県西部、芸予、十勝沖、新潟県中越、能登半島、新潟県中越沖、岩手・宮城内陸が発生、その他集中豪雨や豪雪等々、枚挙に遑(いとま)がない。被害の報道に接するたび心が痛む。
災害は、人命や個人財産だけでなく、企業活動にも深刻な打撃を与える。従業員の被災や工場の破壊等の直接の損害はもちろん、取引先の被害や交通網の寸断による原材料供給の途絶といった間接的な損失も大きい。新潟県中越沖地震による部品メーカーの工場停止が、全国の自動車生産に甚大な影響を及ぼしたことは記憶に新しい。
自然災害そのものを防ぐことはできないが、備えることはできる。職場や学校では防災訓練、家では懐中電灯や非常食の常備ということになるが、企業については、「事業継続計画」(BCP)策定の必要性が近年叫ばれるようになっている。
BCPは、企業活動全般についてリスクを洗い出し、ハード・ソフト両面に亘る対策を講じることで、災害発生後、平常に復するまでの時間を可能な限り短縮することを目的とする。経営そのものへの影響を最小化するための計画と言える。BCPを作り、いざという時に備えている企業と、そうでない企業とでは取引先等の信頼度は大きく異なる。いわゆる企業価値に差が生ずるのである。企業間競争が厳しさを増す中、防災対応も経営の重要な要素の一つになっているのだ。
香川県は、瀬戸内の穏やかな風土で災害の少ない地域である。とは言え2004年の高潮被害の例もある。県内企業にも是非BCP策定を急いでいただきたいと思う。「天災は忘れた頃にやってくる」もの、企業の価値が高まれば地域の価値も高まるのだ。
日本政策投資銀行四国支店長 藤田 寛
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