2011年1月20日更新
消費税の納付額は、収入に含まれる消費税額から、支出に含まれる消費税額を差し引いて計算します。
そのため、それらの一つ一つの取引に消費税が含まれているかどうかの判断が大切になります。
そこで今回は、消費税の課税区分について具体的に見ていきましょう。
消費税を考える上で、日々の取引は、1. 課税取引 2. 非課税取引 3. 不課税取引、の3つに分類されます。
「対価を得て行われる資産の譲渡、資産の貸付け、サービスの提供などの取引」のうち消費税が課税される取引。
例:商品、固定資産などの売買やレンタル、手数料のかかる振込手続きやJRの切符などの各種輸送サービス(交通費)等
「対価を得て行われる資産の譲渡などの取引」のうち、消費税が課税されない取引として法律で15種類の限定列挙がされているもの。
例:土地の売買や貸付け、預金に対する受取利息等のように「消費」という性格が希薄なものや、住宅の賃貸、社会保険医療費等の社会政策的に配慮がなされているもの。
「対価を得て行われる資産の譲渡などの取引」に当たらないもの。
例:借入金の返済や企業への出資、保険金の受取、補助金収入等の「資産の譲渡などの取引」には当たらないものや、試供品の配布のような対価のやりとりがない「資産の贈与取引」、及び、保有する株式に対する配当金の受取りや○○組合に対する年会費の支払いなど「対価性が明らかではない取引」
非課税取引と不課税取引は、取引金額の中に消費税が含まれない取引という点では、共通しているため、その区別は不要に思えます。しかし、課税売上割合の計算において、特に非課税売上高の割合が大きくなる業種(不動産業や医療機関など)では、その収入が非課税取引か不課税取引かの判別が、重要になってくるため、区別して説明させていただきます。
では、具体的な事例で課税区分について見ていきましょう。なお事例は、日本国内の企業との取引を前提としています。
イ.地代
土地の貸付は消費とは考えづらいため非課税取引とされていますが、但し書きとして、「一ヶ月以内の貸付や施設の利用に伴う貸付を除く」とされています。
施設の利用に伴う貸付を除くとは、建物付土地を貸付けた場合の土地部分は非課税取引にならない、ということです。たとえ店舗や工場の賃貸契約書上で、全体で10万円の賃料のうち「土地部分が3万円、建物部分が7万円」というように分けていたとしても、その土地部分だけ非課税取引とはできません。
また、現在駐車場として利用している土地の地代は、借り手が更地を借りて駐車場として使えるように舗装など駐車場設備の整備を行ったのであれば、「土地の貸付として非課税取引」となりますが、貸し手が整備してから貸した場合は、「駐車場の貸付(施設の利用に伴う貸付)として課税取引」となります。
ロ.家賃
土地付建物の貸付は「土地の貸付は非課税取引」という規定の対象から除かれてきますが、その建物が居住用である場合は「住宅の貸付」に該当してくるため、非課税取引となります。
マンションの一室を貸付けた場合、課税か非課税かは契約書上で事務所用となっているのか、居住用となっているのかで異なります。もし途中で用途が変更された場合、例えば、住んでいる部屋をその方が5月から事務所用として使い始めたとしても、契約書上で9月に変更を行ったとすると、変更がされるまでの期間は、「住宅の貸付」に該当しているものとして非課税取引となります。
ハ.会費、交際費等
同業者団体の会費は、その支払に対して明確な役務提供があるかどうかで区分します。
講習会、懇親会などの一人当り○○円といった会費は課税取引となり、年会費はそれに対するサービスが明確であるとはいえず、不課税取引とされます。ただし、スポーツクラブやゴルフ場などの施設利用のための年会費は課税取引となります。
交際費として処理されるもののうち、生花代や土産代は課税取引ですが、香典やお祝い金などの現金のやり取りは不課税取引です。
また、中元、・お歳暮等で贈与するために購入する商品券やビール券などの取扱いが消費税上少し複雑なのですが、商品券を買った時は消費とは考えられず非課税取引、商品券の贈答時には現金の受渡しと同様に不課税取引、商品券を貰った側がその商品券を使用して商品を購入した時に課税取引となります。
ニ.利息と配当
預金や企業間の金銭の貸付けに対して受け取る利息は、消費の性格が薄いものとして、非課税取引とされています。
これに対し、配当金は株主に対して、利益に応じて分配されるものであり、資産(金銭)の貸付けやサービスの対価として受取るものではないため、不課税取引となります。
ホ.手数料
手数料は、事務手続きや仲介などのサービスの対価として支払われるものであるため、原則としては課税取引です。ただし、国や県市町村に支払う登記料や許可申請料などといった、各種の法令で金額が決められているような行政手数料は、税金と類似する性格を持つものであることから、非課税取引とされています。
また、クレジット会社との決済時に取引金額の数%が差し引かれる加盟店手数料は、事務手数料というより、支払利息的な要素であるため、名称は手数料ですが、非課税取引となりますので注意が必要です。
ヘ.給与と派遣料
労働の対価として会社が従業員に支払う給与は課税対象ではありません。
しかし、派遣会社などへの派遣料の支払いは、同じ人件費のようですが課税取引となります。派遣会社は依頼に応じて従業員を派遣するというサービスを行い、派遣料はその対価としてやりとりされるからです。
給与と派遣料の一番の違いは、直接的な雇用関係の有無です。雇用関係があれば不課税、無ければ課税取引と考えて頂ければ大丈夫でしょう。
また通勤手当は、定期券等の実費分はもちろんですが、自動車通勤並びに自転車通勤の方に会社と自宅との距離に応じて支給しているものも、「通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てられるものとして通常必要と認められる部分の金額」に該当し課税仕入れとすることができますので、給与支払時には別立てで仕訳等をしておきましょう。
ト.海外出張の旅費
海外での交通費は、国外仕入として日本の消費税の課税対象にはなりません。
それと同様、海外出張時の日当も国外取引(不課税取引)となります。日当は出張先での身の回りの品や食費などに充てるためのもの、という位置づけであるためです。
ただし、出張の支度金としての部分については課税仕入れにできます。
チ.建物、車両等の固定資産の売却(土地の売却は除く。)
車両の買換えなどで売却益だけが課税対象になる、と勘違いしがちなのですが、固定資産を売却するときは、売却損のときにも下取り価格などの売却価格を課税売上高に含めていかなければなりませんので注意して下さい。
消費税は課税区分を誤るだけで、課税売上割合、仕入税額控除額、ひいては納付額に大きな影響が出る場合があります。そのため、特に取引金額の大きなものは慎重に判断していく必要があると思われます。
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