2011年3月17日更新
2月の最後の休日、40年ぶりに第八十八番札所大窪寺にお参りした。約1400キロの遍路の旅の終焉(しゅうえん)の寺である。境内の荘厳な佇まいは今も変わらないが、参拝者の屈託の無さは昔とは少し違った印象を受けた。復路は、2月とは思えない春風を全身に受け、谷川のせせらぎ、小鳥のさえずり、山の音を聞き、路傍の石碑、膨らみかけた木の芽、讃岐山脈の山並みを見ながら、長尾寺までの約5時間のにわか歩き遍路を楽しんだ。
ところで、「四国八十八箇所霊場と遍路道」の世界遺産登録に向けた取り組みが進められている。2006年11月に文化庁が公募した世界遺産の暫定リスト候補に四国四県が共同で提案を行った。08年9月に「暫定リスト記載見送り」との審議結果が公表された。「希有な資産だが課題がある」等の指摘を受け、関係者が研究調査を続けている。10年3月に産学官民が連携した「世界遺産登録推進協議会」が発足し、「四国は一つ」との理念の下、普遍的価値の証明など課題の解決に取り組んでいる。
また、協議会の中心メンバーであるNPO法人「遍路とおもてなしのネットワーク」では、遍路の浸透や世界遺産の登録に向けて、「お遍路大使」や「おもてなし大使」任命書の授与、道案内の整備、「おもてなしステーション」の設置、「実のなる木」の植樹、世界遺産「サンティアゴ巡礼路」との交流などの活動を行っている。
「サンティアゴ巡礼路」の経験によれば、世界遺産登録後は巡礼者が数十倍に急増していることから、四国遍路が世界遺産に登録されると参拝者が増加し、その経済効果たるや3300億円に上るとの試算もある。交流人口増による地域活性化が期待される。しかし、対象資産も広範でクリアすべき課題も多く、近年の世界遺産委員会の審議状況をみると、登録までの道のりは長い。四国四県が一体となって地道で根気強い取り組みを続けていくことを願っている。「お遍路文化」を世界基準で見つめ直し、より良い環境を整えることで、千年後まで広く伝えていくことが大切だと改めて強く思った。
四国財務局長 坂上 正人
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