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動向リサーチ

2011年3月17日更新

「新日本製鐵」と「住友金属工業」合併に伴う取引先分布調査

~重複取引先は二次取引先で拡大~

2月3日、鉄鋼メーカー国内最大手の新日本製鐵と同3位の住友金属工業が、2012年10月をめどに合併すると発表した。東京を本社とする新日本製鐵は「電磁鋼板」を、大阪を本社とする住友金属工業は「継ぎ目のない鋼管」などそれぞれ得意分野を持ち、すみ分けが出来ている。とはいえ、日本を代表する2社は取引先が重なる部分もある。合併後は経営資源を集約し、世界第2位(3.1%)の粗鋼生産量のシェアアップを図る一方、高炉など重複する設備やグループ会社の統廃合、コスト競争力の強化を検討することになる。

そこで、東京商工リサーチの企業相関データベースを用いて、それぞれの仕入先・販売先を一次取引先(直接取引先)と二次取引先(取引先の取引先)を抽出。企業数や地域別分布、および両社に重複する取引先をピックアップし、影響の及ぶ規模を調べた。

【企業相関DBとは】

東京商工リサーチが提供する企業データベース(「tsr-van2」提供社数247万6829社、2011年1月21日現在)の付加サービスとして行う情報メニュー。設定した企業の「仕入先」、「販売先」として収録された企業を一次先(中心の企業の直接関係先)と二次先(中心企業の一次先の関係先)まで表示し、相関企業の属性を明瞭に示す。中心に設定した企業の相関企業の規模感や地域感などを把握できる。

1.販売先~両社とも一次販売先は関東に集中、住友金属工業は近畿も30%~

新日本製鐵の一次販売先は、大都市圏の関東が151社(同44.8%)で圧倒的。以下は、近畿58社(同17.2%)、九州44社(同13.0%)、中部40社(11.9%)の順。いずれも都市圏で大手メーカーが存在する地域が中心になっている。

住友金属工業の一次販売先のトップは、関東の108社(41.5%)。次いで、近畿が79社(30.4%)、中部38社(14.6%)の順。この3地区で全体の86.5%を占め、地域的な集中が目立った。ただ、新日本製鐵に比べ九州が低く、近畿の割合が高いのが特徴といえる。

2.仕入先~新日本製鐵の一次仕入先は関東・九州に集中、住友金属工業は近畿・関東に集中~

新日本製鐵の一次仕入先は2120社。このうち大都市圏の関東は759社(構成比35.8%)を占めた。これに続くのは九州の505社(同23.8%)、九州には官営八幡製鉄所を起源とする八幡と、大分にも高炉を持つことが影響しているようだ。続いて近畿が407社(同19.2%)で、中部は187社(同8.8%)だった。

住友金属工業の一次仕入先は916社。本社が大阪で、関西財界のリーダーということもあり近畿が477社(同52.1%)と最も多く、関東が306社(同33.4%)と続く。同社の場合、関東は大都市圏のほか、鹿島(茨城県)に持つ主力高炉の存在も影響しているようだ。この2地区で全体の85.5%を占め、影響は限定的といえる。

3.重複取引~二次取引先で拡大~

一次販売先での重複は37社で新日本製鐵の一次販売先の10.9%、住友金属工業の14.2%にとどまった。これは系列商社や販売代理店のすみ分けが比較的明確な鉄鋼業界独特の商流を反映しているとみられる。ただし、二次販売先に範囲を広げると、それぞれ30.6%と36.1%にまで拡大した。

一次仕入先での両社の重複は170社。新日本製鐵は一次仕入先数の8.0%に過ぎないが、住友金属工業は18.5%と約5社に1社に当たる。また、重複企業の地区別分布では、関東78社(同45.9%)、近畿52社(同30.6%)、九州24社(同14.1%)の順だった。取引は各地にまたがっても、大都市に本社を構える企業が多いため重複は大都市圏に集中しがちだが、新日本製鐵の生産拠点がある九州の割合が高い点が特徴だ。

二次仕入先の重複1379社は新日本製鐵は22.1%にとどまる。一方、住友金属工業では46.8%に達し、二次仕入先の半数弱が新日本製鐵関連との取引があることがわかった。

いずれの項目でも一部で地域的な偏重が認められる。また、業界の大手企業の合併では取引窓口の再編は避けられず、影響は二次取引先から波及する可能性もある。

株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 竹 茂和

動向リサーチとは

「動向リサーチ」は、東京商工リサーチがまとめる詳細な情報データに基づき、株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長・竹 茂和さんが香川の経済動向を鋭く分析します。

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