2011年4月7日更新
~倒産企業の約6割が赤字~
2010年に倒産した企業は、生存企業に比べ赤字企業率が高く、約4割が自己資本比率がマイナスだった。また、有利子負債構成比率は平均76.5%と高く、業績不振による資金繰りひっ迫を長期借入金で手当し、過剰債務に陥っていた企業が多いことがわかった。
※本調査は、2010年の倒産企業のうち3期連続の財務データが入手できた784社(個人企業を含む)を抽出し、生存企業(10万5757社)データと比較、分析した。最新決算データは2010年9月期まで。
2010年に倒産した企業784社の赤字企業率(当期損失を計上した企業数の比率)は、前期比19.5ポイントアップの55.9%と約6割が赤字だった。
生存企業の赤字企業率の推移は、前々期22.2%→前期30.7%→最新期29.2%と30%を挟んだ水準にとどまり経営の持ち直しがみられた。一方、倒産企業の赤字企業率は前々期27.6%→前期36.4%→最新期55.9%と年々上昇を続け、いったん悪化に傾いた業績不振に歯止めがかからない苦境を浮き彫りにしている。

2010年に倒産した企業784社の自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合)は、平均マイナス5.1%となった。
生存企業の自己資本比率が平均37.3%だったのと比べ、倒産企業の低率が際立った。自己資本比率は企業の基礎体力や安全性を示す指標だが、この比率が低いほど借入金等への依存度が高く、自己資本比率のマイナスは債務超過に陥った状態を示している。なお、784社のうち、最新決算期で自己資本比率がマイナスだったのは302社(構成比38.5%)だった。

2010年倒産企業784社の有利子負債構成比率(総資産に占める有利子負債の割合)は、平均76.5%で、生存企業の有利子負債構成率が平均30.4%だったのに比べ借入金などの過剰債務を浮き彫りにした。
生存企業の有利子負債構成比率は、前々期30.1%→前期31.5%→最新期30.4%とほぼ平準化しているのに対し、倒産企業では前々期63.6%→前期68.7%→最新期76.5%と右肩上がりで推移しており、有利子負債が経営の重荷になっていることを裏付けた。
2010年に倒産した企業784社の長短借入金の合計は、5081億4359万円。1社当りの平均は約6億4800万円だった。内訳は、短期借入金が1993億6487万円(構成比39.2%)、長期借入金が3087億7872万円(同60.8%)で、長期借入金を中心に資金調達していたことがわかった。
2010年に倒産した企業784社の貸倒損失額(受取・売掛債権等で回収できなかった損失額)は、前期比2.7倍の23億8034万円(前期8億7761万円)に膨らんだ。
生存企業の貸倒損失額が前期比5.6%減の1320億2619万円だったことから、倒産企業では貸倒損失の増加が倒産の一因となったことがうかがわれる。
総従業員数は、2010年に倒産した企業784社が、前期比3.7%減の3万6203人(前期3万7628人)だった。生存企業の総従業員数は、前々期997万5766人→前期945万7611人→最新期944万4845人(前期比0.1%減)と緩やかな減少基調だったが、倒産企業は経営不振から従業員の削減や退職が相次いだ結果とみられる。
退職金総額は、2010年に倒産した企業784社が前期比85.0%増の3億1722万円(前期1億7142万円)に膨らんだ。生存企業の退職金総額が、同0.3%増の1003億5355万円だったのと比べて倒産企業の金額増が目立ち、従業員の退職が相次いだことを裏付けた。
給料手当金額では、2010年に倒産した企業784社が前期比0.5%減の212億4378万円だった。これに対し生存企業は、同2.2%減の5兆9375億7478万円となった。減少率だけをみると倒産企業の減少幅が生存企業より小さい。
もともと信用度が低い倒産企業では、給料減額などの実施は従業員の退職やレピュテーションリスク(風評)の増幅につながりやすく、経営不振の企業ほど経営合理化への取り組みが容易でない悪循環に陥っていることを示している。
2010年に倒産した企業のうち、3期連続の財務データが入手できた784社では、借入金過多に陥っていたことが浮き彫りになった。また、貸倒損失額が前期比2.7倍に達するなど、取引先を含めて経営体力の弱体化も露呈している。
企業倒産は2011年2月までで19カ月連続で前年同月を下回っているが、経営体力が脆弱な企業は増えている。それだけに中小企業金融円滑化法などの支援策が、いつまで倒産の抑制効果を持続するか、今後の動向が注目される。
「動向リサーチ」は、東京商工リサーチがまとめる詳細な情報データに基づき、株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長・竹 茂和さんが香川の経済動向を鋭く分析します。



































