ビジネス香川 -「いま」を伝え、「未来」を育てる-

朝日新聞購読のご案内

文字サイズ
標準
拡大
  • プライムパーソン
  • 発進!それだけじゃない香川県
  • 指南
  • 潮流
  • 目からうろこ!BKゼミ
  • It's me!それは私です。
  • 香川再発見
  • 動向リサーチ
  • 特選さぬき食探訪

香川の元気印!

2011年6月2日更新

こだわりの和菓子職人 喜んでもらいたい 必要とされ続けたい― - 夢菓房たから

あんこは大嫌いだった。家業を継ぐ気はさらさらなかった―

夢菓房たからの三代目店主、濱田浩二さん。甘いものが嫌いだった少年が和菓子の世界に飛び込み、今や行列ができるほどの人気店に育て上げた。濱田さんは満面の笑みを浮かべてこう話す。「おいしいあんこを食べるとうれしくなるんです」

餡にこだわり、フルーツにこだわり、夢菓房たからは次々と夢がある新商品を生み出していく。

「いつまでもお客さんに〝必要とされる〟お店でありたいですね」

こだわりの「餡」

平日でも客足が途絶えることはない。週末には行列ができ、整理券も使われる。高松市春日町の和菓子店・夢菓房たから。その人気を支えるのは和菓子の命ともいえる「餡」だ。

夢菓房たからでは、全国各地のあらゆる小豆を吟味し、北海道・十勝産や丹波産の大納言などを使用しているほか、白豆も厳選した4種類をブレンド。粘り気、濃厚さ、甘み、まろやかさなど、豆それぞれの特徴を生かして組み合わせ、商品ごとに最も適した豆を使い分けている。さらに白餡、こし餡、粒餡など、餡は全て「完全自家製」。炊いて濾して絞って練って・・・早朝から深夜まで、手間ひまをかけてこだわりの餡を作り出していく。

「口溶けが良くて、一瞬で旨味が広がっていく。でも、甘さはすっと消えて香りもくどくない・・・そんな餡が理想ですね」

餡へのこだわりについて熱く語る濱田さん。しかし、こう打ち明ける。「実はあんこは大嫌いだったんです」

忘れられない味

祖父が興した和菓子店。あんこは幼い頃からいつも身近にあった。しかし・・・「当時は〝石に砂糖を塗っても売れる〟と言われていた時代です。あんこも甘ければ甘いほどおいしいとされていました」。ただ甘いだけの餡はどうしても好きになれなかった。

しかし22歳の時、京都の和菓子店である味に出合う。 「もう十年以上、甘いものを食べていませんでした。でもこの時に食べたお菓子はおいしかった。食べたことのない味でした。その時に『作ってみたい』と思ったんです。あんこが嫌い、というのはもう忘れていましたね」。この和菓子店で6年間修行を積み、家業を継いだ。拒絶し続けていた和菓子の印象を変えた味。それ以来、濱田さんがずっと追い求めている忘れられない味だ。

人気を支えるこだわり

餡だけではない。夢菓房たから、といえば何といっても「いちご大福」。京都での修行を終えた翌年から販売している大ヒット商品だ。こだわりの餡と絶妙のハーモニーを奏でているのが、まるごと入った大粒のいちご。「甘み、酸味、肉質・・・餡に合ういちごもいろいろ試しましたね」。発売当初は一日30個程度しか作っていなかったいちご大福だが、今では毎日、契約農家から朝一番に採れた大量のいちごが運ばれてくる。餡だけではない。人気を支えているのは濱田さんの〝こだわり〟だ。

甘くてジューシーな宮崎産マンゴーがまるごと入った「アップルマンゴー大福」。お客さんの要望で企画したものの、その果実の柔らかさから商品化に手こずったという「いちじく大福」。また「ぶどう大福」は店舗の裏にビニールハウスを作り、ぶどうを栽培するところから始めようという力の入れようだ。

次の新商品は・・・

夢菓房たからでは、1年に少なくとも4つ、四季それぞれの季節感がある新商品の開発を目指している。「新しい商品を出してくださいってお客さんによく言われるんですよ。でも・・・そんなに出ないですよ。おいしいものがポンポン作れたら苦労しません。アイデアを出し合って絞り込んでも、10個にひとつ、店に並んだらいい方ですね」 この夏の新作は、高知の特産「小夏」で作る葛ゼリー。果汁がたっぷりの、ゼリーと羊かんが二層になった自信作だ。

記憶に残るお菓子を

濱田さんが日頃から従業員に伝えていることがある。

「売り場でも、商品開発の現場でも〝迷うこと〟ってあると思うんですよね。そんな時には『お客さんが喜ぶようにしてあげて』と言ってます。店舗を移転して駐車場を広げたのも、敷地に緑の木々を増やしたのも、お客さんが喜んでくれるかなって思ったからです。お客さんに必要としてもらえる店でありたいんですよね」

大嫌いだった〝あんこ〟。でも今は、おいしいあんこでお菓子を作るのが楽しくてしょうがない。

「子どもの頃に、もちろん今の姿は想像できなかったですけど・・・」。苦笑いしながら話す濱田さん。だからこそ今、改めて思うことがある。

「自分は『こんなに甘いのは嫌だ』と思って育ちましたけど、子どもの頃の記憶は一生ついて回りますよね。子どもたちが『おいしいね』って言ってくれる―そんなお菓子をこれからもたくさん作っていきたいですね」

時代とともに変わる「甘さ」

濱田さんが子どもの頃、当時の和菓子店で一般的だったのは「上白糖」。小豆の量に対して、1.5倍以上もの砂糖が使われていたそう。現在は「ザラメ糖」や「氷砂糖」など、すっきりした甘さのものがよく使われ、その量も昔の半分位に減っている。「昔は力仕事も多く、体が甘いものを欲しがる時代だったんでしょうね。好まれる甘さも時代ごとに変化していますね」

夢菓房たから

所在地
高松市春日町214
TEL:087-844-8801
FAX:087-844-8802
URL:http://e-takara.jp/
資本金 1000万円
従業員数 53人

沿革

  • 1936年 高松市東山崎町に「たからまんじゅう」創業
  • 1985年 「有限会社宝饅頭」として法人化
  • 2001年 「株式会社夢菓房たから」に社名変更
  • 2002年 第24回全国菓子大博覧会にて
    「たから特製いちご大福」が名誉総裁賞(最高位)受賞
  • 2006年 現住所(高松市春日町)へ移転オープン
ページの先頭へ移動