2011年6月2日更新
~震災発生から2カ月で経営破綻が86件うち
「倒産」が46件、「実質破綻」が40件にのぼる~
3月11日に発生した「東日本大震災」は、東北地方を中心に甚大な被害を及ぼした。震災発生から2カ月を経て、5月11日までに「震災関連」の経営破綻は86件に達している。
このうち、倒産は3月が8件、4月が25件、5月に入ってすでに13件が発生、計46件に達した。また、「倒産」として集計されないが、事業を停止し「弁護士一任」「破産準備中」などの手続を進めている「実質破綻」も40件を数え、「震災関連」の経営破綻の推移が懸念される。
【震災関連の集計基準】
「震災関連」の経営破綻は、原則として次の3つのどれかに該当するものを集計している。
- 震災により施設、設備、機械等の被害を受けて経営破綻した(直接型)
- 以前から業績不振だったが、震災による間接影響を契機に経営破綻した(間接型)
- 震災の影響による経営破綻が、取引先や弁護士等への取材で確認できた(直接・間接型)
※すでに震災発生前に倒産し、震災の影響で民事再生手続を断念し破産手続に移行したケースなどは、倒産件数のダブルカウントになるため除外した。
※「震災関連」の経営破綻は、次の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。「事業停止」や「弁護士一任」、「破産準備中」など法的手続中の企業は、今後の状況次第では事業再開の可能性もあり、「実質破綻」として区別した。
【参考:倒産の定義】(対象:負債額1000万円以上の法人および個人企業)
A 会社更生法、民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
B 手形決済などで6カ月間に2回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
C 企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理(内整理)を明らかにした企業(私的倒産)
東日本大震災」が影響した倒産件数が5月11日現在で46件、負債総額は456億8000万円にのぼった。1995年の「阪神・淡路大震災」では、発生から約2カ月で「震災関連」倒産が計14件だったのと比べ、倒産件数は3倍増ペースで推移している。すでに「阪神・淡路大震災」の発生から3カ月(計35件)を抜き、増勢ペースが加速している。
5月11日現在での「東日本大震災関連」倒産46件について分析した。産業別件数では、サービス業他が14件で最も多かった。次に製造業12件、卸売業9件、小売業4件、建設業3件、運輸業2件、農・林・漁・鉱業と不動産業が各1件の順だった。
細かな業種別では、最多は宿泊業の6件。震災後の自粛ムードで観光地では予約キャンセルが相次ぎ、客足減少が旅館・ホテルの痛手となっている。
地区別件数では、全国9地区のうち中国を除く8地区で倒産が発生し、全国的な広がりをみせた。最も件数が多かったのは、関東の20件だった。次に東北8件、北海道と九州が各5件、北陸と近畿が各3件、中部と四国が各1件。被災地の東北の構成比は17.3%にとどまった。
都道府県別では、47都道府県のうち20都道府県で倒産が発生した。震災の被災企業は、震災特例による「不渡り報告の記載猶予」や、「破産手続開始決定の2年間の留保」などにより倒産が表面化しない救済措置が行われている。
被害型では、設備や機械などが損壊した「直接被害」型は5件だった。一方、取引先の被災、商品・原材料の流通不足、予約キャンセル続出など「間接被害」型は41件(構成比89.1%)と全体の約9割を占めた。
また、倒産の要因では、「イベント、予約、受注キャンセル」「観光客減少」など震災により「自粛」が影響したケースが、旅館や旅行業などを中心に12件発生した。もともと消費低迷のなかで、一段の「消費の自己規制」が景気に与える影響が大きいことを裏付けている。このほか、「原材料・商品不足」という流通の停滞が影響したケースも9件あった。
形態別では、再建型の民事再生法が5件(構成比10.9%)だったのに対して、消滅型の破産が26件(同56・5%)と約6割を占めた。このほか銀行取引停止が9件(同19.6%)、内整理6件(同13.0%)。内整理では弁護士に事後を一任しながら、資金不足から法的手続を申請できなかったケースもあった。
倒産企業では、世界同時不況の影響で業績が伸び悩み、「景気対応緊急保証」や「中小企業金融円滑化法」などの金融支援でなんとか下支えされていたところが多かった。そこに発生した震災で、経営環境の急変に対応できずに行き詰まったケースが大半だった。
倒産企業の従業員数では、5人未満が9件、5人以上10人未満が7件で、従業員10人未満が16件(構成比34.7%)と全体の3割を占めた。これに対して300人以上は0件で、従業員数が小規模な企業の倒産が目立った。
「震災関連」による影響で経営に行き詰り、「弁護士一任」や「破産準備中」など「実質破綻」に陥ったのは40件を数える。地区別では、東北が18件(構成比45.0%)とほぼ半数を占めた(宮城6件、福島5件、岩手4件、秋田2件、山形1件)。東北では被災程度が比較的軽微な内陸部を中心に目立っている。
次いで、関東13件(東京3件、茨城2件、群馬2件、千葉2件、神奈川1件、埼玉1件、栃木1件、新潟1件)、近畿4件(大阪3件、兵庫1件)、中部3件(愛知3件)、中国1件(広島1件)、北海道1件の順だった。

東日本大震災関連の倒産は、1995年の「阪神・淡路大震災」時と比べ、地域や業種が広範囲にわたっている。さらに地震・津波に加え、原発事故、放射能の風評被害、計画停電など深刻な事態も引き起こしている。
事業設備など経営基盤の崩壊、二重ローン問題などで事業意欲を喪失し、事業継続を断念するケースの増加も懸念される。慎重に動向を見守る一方で、直接・間接を問わず震災の影響を受けた企業への支援策が急がれる。
「動向リサーチ」は、東京商工リサーチがまとめる詳細な情報データに基づき、株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長・竹 茂和さんが香川の経済動向を鋭く分析します。


































