2011年7月7日更新
~地方は隣接県に進出、5都府県が進出超~
東日本大震災に伴うサプライチェーンの寸断や東京電力福島第一原発の事故で、事業活動に支障をきたした企業は多い。こうした想定外のリスク回避のため、生産機能の国内移転や海外生産を加速する動きも出始めている。
今回の工場進出の実態調査によると、大都市圏の企業は全国各地に進出し、地方の中小企業は近隣に進出していることがわかった。工場受入では北海道・東北・関東・中部は東京圏に、北陸・関西・中国・四国は大阪圏にそれぞれ進出し、九州には東京圏からの進出が多かった。
工場進出は新たな雇用を創出し、関連企業の進出も誘引する相乗効果が期待できる。それだけに各自治体では、復興や産業振興の起爆剤として工場誘致の重要性が増している。
本調査は東京商工リサーチの「事業所情報」から、事業所区分が『工場』および『整備工場』の20万4720件(2011年5月27日現在)を抽出し、都道府県別に進出・受入状況を調べた。
参考として、東京商工リサーチ「企業情報」から、工場を持つ企業16万6079社を抽出し、その状況を区分別に調べた。
工場の所在地は、関東地区が6万3170件(構成比30.9%)でトップ。次いで、中部4万954件(同20.0%)、近畿3万1666件(同15.5%)と続き、東北1万7344件(同8.5%)、九州1万6818件(同8.2%)の順だった。各地区とも本社所在地と同じ地区に工場を開設しているケースが多い。同地区内の工場比率は東北が98.9%でトップ。次いで、北海道98.8%、九州98.3%、北陸97.9%、四国97.8%と続く。地区内工場設置率の平均は96.4%だった。
本社所在地の地区外に工場を進出しているのは、関東が6542件(構成比55.1%)と圧倒的に多く、次いで近畿3220件(同27.1%)、中部1005件(同8.5%)、中国301件(同2.5%)の順だった。
地区外の企業からの工場受入は、中部が2612件(構成比22.0%)と最多、次いで東北2487件(同21.0%)、関東1492件(同12.6%)と九州1487件(同12.5%)の順。大手メーカーが多い関東圏は全国各地に工場を進出している。一方、地区外からの受け入れが最も多い中部は自動車業界を中心に関連企業の進出が目立ち、東北は自動車、半導体、住設機器メーカーなどの基幹工場が集積している。

工場数を都道府県別にみると、愛知県が1万6005件でトップ。このほか、大阪府1万4362件、東京都1万3921件、埼玉県1万1835件と4都府県が1万件以上、次いで静岡県9562件の順。
本社所在地以外の都道府県に工場進出している件数では、東京都が1万1985件でダントツ。次いで、大阪府3852件、神奈川県1390件、愛知県1178件、埼玉県903件の順だった。
一方、本社所在地外の都道府県からの工場受入では、埼玉県が2756件で最多。次いで、千葉県17880件、茨城県1628件、神奈川県1228件、兵庫県1034件の順。
自動車関連をはじめ様々な業種で東京周辺に工場進出が集中している。経済効率と地価やコストなど採算バランスを見ながら、大都市を脱出し、近隣県への移転が加速しているようだ。
ほとんどの都道府県は工場進出より、受け入れが多い。そんな中、他都道府県への進出数が上回っているのは、東京、神奈川、愛知、京都、大阪の大都市を抱える5都府県だった。
また、本社と同じ都道府県内に工場を設置しているのは沖縄県が99.6%でトップ。次いで、山形県98.8%、秋田県98.8%、北海道98.8%、新潟県の98.0%、大分県の97.9%の順。
一方、地元比率が一番低かったのは東京都の52.3%。次いで、大阪府77.7%、神奈川県83.4%、兵庫県90.3%、埼玉県90.7%の順。沖縄県はもともと『3K』(公共投資、観光、基地)への依存度が高い産業構造で、県外に工場進出する製造業やメリットが少ないようだ。

東日本大震災の被害が甚大な東北は、同地区内の工場比率が98.9%と圧倒的に高く、域内取引の傾向が強い。県別にみると東北6県とも県内比率95%以上で、特に山形県98.8%、秋田県98.7%とほとんどの企業が本社と同県内に工場を設置している。
「県外進出」では福島県を除いた5県は、東北の隣接県への進出がトップを占める。福島県は東北の隣接県以外に、栃木県、茨城県の隣接する関東にも進出している。
「県外受入」では、東北6県は東京都、神奈川県、埼玉県など首都圏からの受け入れが圧倒的に多い。首都圏以外では北海道、東北内の近隣県からも受け入れている。宮城県と福島県は大阪府からの受け入れが目立つ程度で、大半は関東と東北が占めている。
東北6県の他都道府県から受け入れを業種別にみると、「食料品製造業」が青森県や宮城県で1位、岩手県は3位と水産関連の工場が多い。東北各県で上位を占める「金属製品製造業」は、自動車関連などの部品、金型、住設関連の建材の工場、「繊維工業」は衣料品・縫製などの工場、「化学工業」は肥料、薬品、塗料、印刷インキなどの工場を多く受け入れている。それぞれ、大手メーカーの進出で関連する企業も追随しており、これが各企業の先端工場の集積を示している。
「動向リサーチ」は、東京商工リサーチがまとめる詳細な情報データに基づき、株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長・竹 茂和さんが香川の経済動向を鋭く分析します。































