2011年8月4日更新
総務省統計局が公表した2008年の気象官署別データによると、最も日照時間が長い測候所は潮岬の2270時間、次いで甲府、高知と続く。四国では、徳島が6位、松山が13位、高松が22位となっており、四国の4カ所はいずれも2000時間を越えている。香川県では昔から塩が盛んに作られており、日照に恵まれた地域であることを示している。これは太陽光発電にとって有利であるとの思いから、8年ほど前に我家の屋根に3キロワットの太陽光パネルを設置することを決断した。当時の購入価格は現在よりかなり高かったが、国の助成により200万円ほどの予算で設置することができた。
太陽光パネルで発電して余った電気はすべて、昨年まで1キロワット時あたり25円ほどで電力会社が買い取ってくれた。投資資金の回収期間は20年と思っていたが、昨年法律が変わり、現在40円台で電力会社が買い取る。投資回収はかなり早くなりそうだ。定期預金の利率は0.03%ほどなので、太陽光パネルを屋根に設置する方が、銀行に預けるよりも遥かに有利な運用である。
もっとも太陽光パネルの設置は投資であり、当然リスクが伴う。もしも地震等で家が倒壊すれば、投資資金を回収できなくなるし、電力会社が買い取らなくなれば収入は大幅に下がる。それでも今のところ銀行預金より遥かに高いリターンを得ることができ、しかも太陽光パネルを製造・販売している企業の成長にわずかながら貢献することができている。さらに二酸化炭素の削減に貢献でき、地球温暖化の防止にも役立っていることを思うと、投資の判断は間違っていなかったと思っている。
この3月の東日本大震災による福島第1原子力発電所の事故は、私たちに原子力エネルギーにもリスクがあることを顕在化させた。6月12日付の朝日新聞1面には、「原発列島凍りつく夏」のタイトルで、54基の原発のうち稼働見込みが4分の1になる可能性を指摘している。このことは、今回の原発事故が如何に大きな衝撃を日本社会に与えたかを示しており、この衝撃がこれからも長く続くことは間違いない。
下表は、原子力と新エネルギーを最大限に導入したケースの長期エネルギー需給見通しである。石油は今後需給の逼迫による価格上昇が続き、さらに資源の90%近くを中東に依存していることから、エネルギー安全保障上できるだけ依存度を下げるというのが国の方針である。また、石炭は発熱量あたりの二酸化炭素の発生量が多いため、地球温暖化の観点から使いにくく、天然ガスは輸送に大きな投資を必要とするために緊急の利用には限界がある。このように消去法でいくと、原子力エネルギーと新エネルギーが残ることになり、長期エネルギー需給見通しでは、2030年に原子力の比率が現在の12%から19%に大きく増加している。しかし、原発の事故によってこのシナリオ通りに行かないことは明らかであり、日本のエネルギー問題は八方ふさがりの状態となっている。
最近のエネルギー問題に関する議論を聞いていると、噛み合っていないことが多い。私たちが使うエネルギーは、原子力のような大規模の電源でなければ賄えないという意見と、安全な太陽光や風力等の新エネルギーに転換すべきという両極の意見がある。この場合、それぞれの立場の人は異なった風景を見ているように思う。
確かに、巨大な工場や新幹線のような大量の電力を必要とする場では、エネルギー密度の大きな電源が必要である。しかし、家で使う電気はせいぜい3キロワットの電源があれば十分であり、それくらいなら太陽光や風力で賄うことができる。一方は巨大な工場を見ており、他方はそれぞれの家の中を見ている訳で、議論が噛み合わないのは当然かもしれない。ここで私が危惧しているのは、「日本のエネルギーの多くを新エネルギーで賄うことは無理である」と聞いた時、私たちが新エネルギーの可能性までも否定してしまうことである。
現在、私たちが使う電気は、電力会社が供給を100%保証している。電力会社は原子力発電をベースロードにし、変動する部分を火力や水力で賄うというビジネスモデルを確立させ、社会を支えるうえで重要なインフラを供給している。しかし、福島での原発事故はこのビジネスモデルを根底から揺さぶっているように思う。
『ソフト・エネルギー・パス』などの資源政策の著書で知られるエイモリー・ロビンスは、原子力で発電した電気で部屋を暖めるのはチェーンソーでバターを切るようなものだと表現していた。それは、原子力発電所や巨大な火力発電所で作られる電力は大量の需要が生じる産業用として適しているが、家庭で使う少量のエネルギー需要には太陽光、風力、小水力発電等のソフト・エネルギー・パスで十分であるという意味である。
エネルギーは、私たちが豊かな生活を維持して行くために欠かせないものである。それぞれの家庭が貯蓄の一部を新エネルギーに投資し、エネルギーの自給率を少しでも高めれば、日本のエネルギー問題はかなり緩和されるだろう。同時に、日本の産業の活性化と地球温暖化の防止に役立つことになる。このように新エネルギーは大きな可能性を秘めており、今、私たちの覚悟が問われているように思う。




























