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動向リサーチ

2011年8月4日更新

全国410金融機関「中小企業等金融円滑化法」に基づく返済猶予実績(2011年3月末)

~申込212万1,571件、うち中小企業は192万2,694件~

全国410金融機関の11年3月末の「金融円滑化法」に基づく返済猶予の申込件数は合計212万1571件(金額54兆941億8800万円)だった。このうち、中小企業向けの申込件数は192万2694件、金額51兆1560億4700万円だった。同法の利用企業は、国内の個人企業を含む約400万社のうち、約1割に達する可能性もある。しかし、全国的には広く浸透しているが、地域的な格差は依然として大きいことがわかった。

住宅ローンを含めた全体の申込に対する実行件数は187万924件(実行率88.1%)、金額は48兆8317億4300万円(同90.2%)で、金額は90%以上となった。

謝絶(3ヶ月以上経過のみなし謝絶含む)は、5万7040件(金額1兆3673億4200万円)で申込件数の2.6%にとどまり、審査中は10万2335件(同2兆2933億7000万円)。また、債務者の意思による申込撤回や倒産などによる「取下げ」は9万1272件(同1兆5999億3100万円)だった。

09年12月4日、「金融円滑化法」が施行され、金融機関は中小企業や住宅ローンの借り手の条件変更(元本猶予、返済期間延長、旧債借換え、デット・エクイティ・スワップなど)の申し込みにできるだけ応じるよう求められた。しかし、12年3月末まで1年間延長され、金融機関の事務負担の軽減を目的に謝絶理由が簡素化された。

本調査は、全国410金融機関(大手8行、地方銀行63行、第二地銀42行、信託銀行8行、政府系金融9行、ネット銀行他9行、信用金庫271金庫)を対象に、法律施行~2011年3月末までの「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」(以下、金融円滑化法)に基づく返済猶予の実績を調査した。
※410金融機関:1. 埼玉りそなを含む大手行(8行)、2. 地方銀行は全国地銀協加盟行(63行)、3. 第二地銀は第二地銀協加盟行(42行)、4. 信用金庫(271金庫)、5. 信託銀行(8行)、6. 政府系金融(9行)、7. ネット銀行他(9行)。ホームページ及び取材により実績数値を確認。
※11年3月実績には、被災地域で企業からの依頼により緊急避難的に約定返済などを停止した債権は含まれない。
※被災地域の一部金融機関で、津波などの影響により書類が滅失したため、11年3月実績に含まれていない債権がある。

中小企業 普通法人の12.2%相当が申込

中小企業(個人企業を含む)の申込件数は192万2694件、金額は51兆1560億4700万円。このうち実行件数は172万4360件(実行率89.6%)、金額は46兆6418億1600万円(同91.1%)で、ともに約9割を占めた。

中小企業の申込件数を地区別に見ると、最も多かったのは関東の88万7994件(構成比46.1%)。次いで、中部30万5212件(同15.8%)、近畿25万4090件(同13.2%)、九州11万1874件(同5.8%)の順。最も少なかった北海道は3万8739件(同2.0%)だった。

中小企業の申込信用金庫がトップ

中小企業の申込件数を金融機関の業態別にみると、信用金庫が62万4104件(構成比32.4%、金額11兆4038億4900万円)でトップ。次いで、地方銀行が60万1127件(同31.2%、同17兆6945億6900万円)、大手行25万2997件(同13.1%、同12兆5884億7400万円)と続く。その他、政府系金融(件数23万3214件、金額4兆2153億1300万円)、第二地銀(同20万7057件、同4兆9896億7000万円)の順。小・零細企業への浸透と信用金庫の積極性を反映した結果となっている。

これに対し実行は、信用金庫56万6351件(実行率90.7%、金額10兆3544億9000万円)、地方銀行54万1484件(同90.0%、同16兆2979億2100万円)、大手行22万3221件(同88.2%、同11兆4445億1000万円)、政府系金融20万5604件(同88.1%、同3兆7954億8500万円)、第二地銀18万4086件(同88.9%、同4兆5130億6600万円)の順となっている。

11年3月までの時限立法だった「金融円滑化法」は、1年間期限を延長された。09年12月「金融円滑化法」が施行されて以降、中小企業の資金繰りは一時的に緩和し、倒産抑制に一定の効果が見られた。しかし、効果が一巡したとみられる3月に「東日本大震災」が発生、広範囲にわたり直接・間接的に国内経済に大きな影響を及ぼした。

「金融円滑化法」に基づく返済猶予等を申し込んだ企業は、概ね1年以内に「実現可能な抜本的な事業計画書」(実抜計画)を作成、金融機関に提出する。中小企業の多くは金融機関の指導のもと、当初は一定の売上を維持することを前提とし、「実抜計画」に沿った業績遂行が可能な範囲で作成された。しかし、実態は現実的な計画策定に至らないケースもあり、売上未達など「実抜計画」と大きく乖離し、計画遂行の実現性が危うい事態も出始めている。

「金融円滑化法」により水面下の不良債権先送りが金融機関の経営に大きな影響を与えないよう、「金融円滑化法」の1年延長に伴い金融監督指針の運用で、各金融機関の規模、特性、その他の個別の状況などを十分に踏まえ、機械的・画一的な取扱いとならないよう配慮することとなった。

「法律の延長=倒産の更なる先送り」とならないように、金融機関は改善が見込まれる先にはビジネスマッチングや技術開発支援などの経営や財務指導などを支援することも求められる。また、事業継続の可能性が低い先には、債務整理等を前提とした適切な助言や自主廃業への円滑な処理への支援など、目先の定量数値にこだわらない弾力的で多様な支援が必要だろう。

株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 竹 茂和

動向リサーチとは

「動向リサーチ」は、東京商工リサーチがまとめる詳細な情報データに基づき、株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長・竹 茂和さんが香川の経済動向を鋭く分析します。

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