2011年9月1日更新
前号では、知的財産権を巡る権利侵害やその対応について考えました。権利侵害を発見した場合は慎重に検討し、侵害であるとの確証が得られるならば、侵害者に警告し、和解交渉で解決できるかどうかを探ります。当事者同士の直接交渉で解決できない場合は、裁判所の手続きを利用するほか、民間等の公正な第三者を間に入れることで解決を図る方法もあります。今回は、その第三者機関「日本知的財産仲裁センター」をご紹介します。
日本弁護士連合会と日本弁理士会が1998年に共同で設立したADR(紛争を裁判によらず、調停、仲裁等により解決する)機関。
(1)相談
弁護士、弁理士による知的財産に関する解決および予防のための相談を受付け。
(2)仲裁
当事者の合意に基づいて、紛争の解決を弁護士および弁理士を含む少なくとも3名の仲裁人に任せ、仲裁人の判断に強制力を持たせて紛争の解決を図る手段。
(3)調停
弁護士、弁理士各1名による調停人が当事者間の紛争解決に協力し、和解の成立に向けて努力する制度。調停人の意見や判断をもとに、当事者が合意して和解契約を結ぶことにより事件を解決する。

特許権を有するX社が、製品を製造販売したY社に対し、特許権侵害として製造販売の差止めと損害賠償を求めた。しかしY社は、その製品がX社の特許発明の技術的範囲に属さないと主張。話し合いは決着せず、X社が調停を申し立て。

Y社に製品の販売中止と、過去の実施について適正な実施料の支払いを求める。
X社の特許発明を実施しておらず、その特許権を侵害するものではない。

特許請求の範囲の製造方法による物の特定は、Y社製品が技術的範囲に属するか否かの判断に影響を与えるか否か。

調停人の判断を双方が尊重・譲歩し、事件が解決。訴訟で争うより、時間・費用の点で利益があった。
ADRは、裁判による解決と比較すると、手続きは非公開、法律専門家に頼らずに当事者間で紛争を解決し得るため、原則として弁護士費用や鑑定費用は安価といったメリットがあります。
日本知的財産仲裁センター(http://www.ip-adr.gr.jp/)
「知的財産権」の代表的な類別として“特許権”、“実用新案権”、“意匠権”、“商標権”などがあります。
「知財を知る」は、日々の企業活動から生み出される知的創造活動において権利保護を与え企業発展を支える知的財産制度、いわゆる“知財”をより深く知ることで、様々な商業活動において生み出される自社のサービスや商品を守り、かつ攻めの有効な武器として活用できる可能性を秘めています。
ここでは、知的財産権制度をより深く、より丁寧に実例を交えながら解説していきます。





























