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目からうろこ!BKゼミ

2011年11月3日更新

地域の活力づくりを考える(全4回)1 元気なかがわづくり

今号から4回にわたり、地域の活力づくりについて、地域政策の実務と企業経営に関する視点から考えてみたい。

地域の活力を考える際、人口の増減は重要な指標であり、全国的な減少傾向の中で、香川県も人口が減少してきている。この人口減を抑制するためには、様々な観点からの取り組みが必要であるが、まず大切なのは、働く場、特に若く就労する世代が就きたくなる仕事をつくることであり、その一つの方法が企業誘致である。

企業誘致の成功のためには、自治体が企業側のニーズをよく把握し、支援を検討することが必要であるが、企業側からも、香川に立地する場合の条件面について検討されることを期待したい。いま、災害面でのリスク分散を考えている企業があるといわれるが、香川県は、災害が少なく、日照時間も多いという特性のある県である。一方で、関西圏と比較して大規模な市場への距離があることから、企業立地が困難であるという考え方もある。はたしてどうであろうか。

沖縄県では、1996年頃から、那覇空港を国際ハブ空港にするという目標を掲げて取り組んできた。アジアの主要都市に4時間程度で到達できることから、物流拠点としてはどうか、という考えである。当初は唐突な目標のように思われたが、一昨年から、全日空がハブ空港として活用することとなり、貨物量は飛躍的に増えている(関空に次ぐ国内3位に)。また、同じ頃、「マルチメディアアイランド構想」を掲げ、その中で、通信費を補助しつつコールセンターを設ける施策を推進してきた。本土への距離による通信費が嵩む不利な点を補助で補ったものである。現在ではコールセンターを含め、マルチメディア関係で2万人ほどの雇用がある。

振り返って、香川県についてみると、むしろ関西方面には近く安価で活用できる場所もあり、災害が少ない。関西地域との比較で輸送コストがかかるということであれば、この点を補う方策が検討できないか。

補助制度については、企業誘致条例で定めている自治体が多く、県内の市町では上限が1億円程度となっているところが多い。しかし、企業誘致のケースは様々であり、この上限がふさわしいかどうかは相手次第である。私が本年3月まで副市長を務めていた茨城県の古河市では、県・市の誘致活動が実り、昨年12月に日野自動車の日野市の本社工場が移転することとなった。この誘致に当たって古河市が今後補助することとした額は20億円以上に上る。

交付税制度との兼ね合いで、実質的な自己負担は18億円程度、日野自動車の誘致による一般財源の実質増(税収増−交付税減)が平年ベースで2億円として、9年程度で回収する額である。このほか、地域雇用の増加や経済の活性化が期待できる。これはかなり大規模な企業の例であるが、長期的な観点から補助制度について考えることも必要であろう。また、中小企業誘致の機動的対応も重要であり、坂出市では、本年3月に、市長のリーダーシップで、企業誘致条例の改正を行い、機動的な誘致活動を行っている。

行政側も状況に応じて弾力的に支援を検討することが必要であり、企業側からも、香川に立地するための条件面等について、行政にアクションを起こしてみていただければ幸いである。

地域資源を活用した産業の活性化は、企業誘致とともに、大変重要である。上勝町の葉っぱビジネスは有名であるが、県内でも、琴平町で、香川県が全国第2位の生産量を誇るにんにくをオリーブオイルと活用した「ガァリック娘」がつくられ、好評である。これは、琴平町社会福祉協議会等の連携によりつくられたもので、町長も熱心にPRされている。障害者の方々にも仕事の場を提供している面で、地域で支えあう「新しい公共」の意味もある。香川にも、まだまだ眠れる資源があるのだろう。

農業では、観音寺市の農業生産法人を経営しておられる方が、都市部からの若い人たちを受け入れて農業体験の研修をしており、研修にきた方が移り住んだ例もあるとのことである。都市部で定職に就くことが難しかったり、芸術活動など自らの道を歩もうとしたりする方々の生活の糧として、こういったニーズは多いのではないか。災害が少なく温暖、関西にも近い香川はたいへん恵まれた立地である。

商店街の活性化も、地域の活力づくりとして大事な課題である。地域の中心市街地となってきた商店街の衰退は町が活力を失う要因となるが、商店街のまちづくりやイベントへの支援(これらは次々号で取り上げる)のほかにも消費を活性化させる方法がある。再び古河市の例であるが、昨年、20%のプレミアム付きの商品券6億円分を市が商工会議所等と協力して発行し、年末商戦の時期に地元商店の売り上げが伸びた。大型店と小型店で、共通に使える券は4割、小型店のみ使える券は6割で組み合わせて販売したことで、地域の方が地元の商店を見てみようというきっかけにもなったようである。地域の消費を政策によって調整できる例ではないだろうか。

ここまで、いくつかの取り組みを挙げてみたが、地域の活性化は、行政だけが取り組むものではなく、地域の様々な方の発案や尽力で実現するものである。そして、工夫の余地、やれることはたくさんある。ぜひ、企業の方、地域の方々に、このような活性化策について行政と対話していただくことを期待したい。

香川大学大学院地域マネジメント研究科 教授 牛島 授公

目からうろこ!BKゼミとは

「目からうろこ!BKゼミ」は、香川大学大学院地域マネジメント研究科(香川大学ビジネススクール)の講師陣が、経営に役立つ専門知識や実践的戦略の具体的な実例を紹介し、読者の皆様にビジネスマネジメントの一助となる新たな視点を提供していくことを目指しています。

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