2011年11月17日更新
地域の活力づくりについて考える際、様々な施策を考えていくこととなるが、その裏付けとなる財源がなければ施策も進められず、「自治体の財政が厳しい」ということで、せっかくの活性化策も、実施までの検討がなされずに終わってしまうことが多い。このため、活性化策に取り組む方々も、政策的な支援を受けることを積極的に検討しないことも多いものと思われる。この連載「地域の活力づくりを考える」では、積極的な施策の推進について考えていくが、第2回目は、その前提となる自治体の財政運営や活性化策の財源について、どのように考えるべきなのか、検討してみたい。
香川県の2010年度決算が本年9月に取りまとめられた。その結果は、一般財源総額が予算額より144億円上回り、財政調整に活用できる基金に相当額の積み増しができるというものであった。このことは何を意味するのだろうか。
内閣府の試算では、国・地方の基礎的財政収支は15年頃には対GDP比4%程度(約20兆円)のマイナスになるものとしている。社会保障の財政需要が年々増えることが大きな要因であり、これを放置すれば、我が国の公債残高は増え続け、財政破たんの状態となる。政府は、15年にはこのマイナスを3%程度にし、20年にはゼロにすることを目標に、歳出抑制や税制改正に取り組もうとしている。
一方、自治体の財源については、各自治体がしっかりと行財政改革を断行した上で地域の活性化にも取り組むことができるよう措置されている。昨年6月に閣議決定された政府の「財政運営戦略」では、地方自治体の一般財源総額について、10年度の水準を実質的に確保することとしている。04年から06年の「三位一体の改革」では、国からの交付税等が初年度に4兆円も削減され、自治体の財政運営は非常に困難となったが、10年度の水準は、その後、自治体が地域の経済活性化策や雇用対策などを実施できるよう財源措置がなされたものである。
香川県では、行財政改革の努力の結果、相当の成果を上げてきており、決算での144億円の増は、10年度の財源を慎重に見込んだ結果、予算額を上回る財源が生じたものである。地域政策と財政運営のマネジメントは、車で例えれば、アクセルとブレーキのようなものである。両者のバランスが重要で、ブレーキだけが効きすぎてもいけない。これまで、香川県の「新規重点施策」の枠は10億円とされているが、来年度以降に向けた財政運営の中で、積極的な政策の推進が図られることを期待したい。
予算編成の手法も、地域の活力づくりには、たいへん重要な要素となる。この手法次第で、新しい地域の活力を生み出す施策への取り組み方がかわってくる。まず、節減するべきところは節減した上で、伸ばすところは伸ばす、メリハリのある予算編成を行う必要がある。これを明確にするため、政策的な事業の枠と経常的な事業の枠とを分け、経常的な事業の枠は節減の工夫をするとともに、政策的な事業の枠については財源を明示することで施策の提案を促すといったマネジメントを行うことも必要である。
そして、政策課題を明示し、プロジェクトチームを設けるなどにより、予算編成前の早くから横断的な検討を行う。このようなプロセスの中で、地域の方々からの提案も受けながら施策をまとめていくことが大切である。
財源確保の工夫も、施策の推進のための重要な点である。特に、合併した市町では、活用期間があと数年となる合併特例債を有効に活用することが重要である。これは起債額の70%分について交付税で財源措置されるもので、合併後の格差是正や一体性の強化などのための事業に充てることができる。他の財源を充てられる事業に充ててしまう例もみられるが、まちを活性化させる施策の財源として活用してほしい。
また、合併後の市の一体化や活性化のためのソフト施策の財源として、合併特例債による基金の活用も大切である。これは、起債を起こして基金を造成し、その償還財源の 70%が交付税措置されるものである。通常の公共事業と異なり、起債額と同額の基金というキャッシュの資産が造成されるので、借金のみが増えることにはならない。30%程度を既実施事業に充てれば、起債による積み立て額の70%程度の財政的なプラス効果がある。積み立て上限額も自治体の規模によっては40億円程度と大きい。高松市など、まだこの制度を活用できる自治体がある。
前号でもふれた古河市では、こういった制度を活用して財源を大幅に増額確保し、「市民サービスのグレードアップ」として、子育て支援のほか、多くの地域活性化策に取り組んだ。財政運営にも工夫の余地は相当ある。

今回は、地域の活力づくりの財政的な面をとりあげた。地域の企業や活性化に取り組む方々に、財源確保や自治体の財政運営にも、大いに工夫の余地があるということを知っていただきたい。財政が厳しいということで施策の検討をやめてしまってはいけない。貴重な財源を用いて投資するだけの効果のある施策を生み出すことが重要なのである。ぜひ柔軟な発想で活性化施策について検討いただくことを期待したい。




























