2011年11月17日更新
当地に赴任するに先立ち、前任から引き継ぎを受けた中で、「四国の製造業には、特色のある、所謂ニッチトップ企業が多い」という説明がありました。赴任後色々な機会に、鸚鵡の如く「四国には、製品・技術に特色を持つメーカーが多く、心強く感じています」と繰り返して来ましたが、この度、支店の調査スタッフが、代表的なニッチトップ企業の成立要因や共通点を取り纏めて「進化する四国ニッチトップ企業」と題するレポートを発表してくれたので、そのエッセンスをご紹介したいと思います。
四国に本社を持ち、海外若しくは国内の特定分野におけるトップシェア、或いは、世界レベルの特殊な技術を有する企業の殆どが中堅・中小企業であり、大企業が様々な制約に伴い参入出来ないニッチ(隙間)分野を手掛けています。また、企業規模が相対的に大きく事業領域の広い企業においても、圧倒的な強みを有し事業資源を注入している分野はニッチ分野であると見られます。
これらの企業の多くは、創業以降50年以上の社歴を有し、創業事業が和紙、製塩、手袋、刃物といった伝統産業、地域の歴史と深く関わる産業と何らかの関係を有しています。しかしながら、現在のニッチトップ分野は創業事業そのものではなく、試行錯誤の末、第二、第三の創業として開拓された分野であります。
産業構造の転換や技術の発展に伴い、創業事業の経営環境が変化し何らかの危機感を覚えたこれらの企業は、四国の域内市場の限界や大規模市場からの遠隔立地という新規事業展開には不利な要因を克服するため、顧客との対話を通じて課題解決に向けた糸口を探り、製造工程に対する独自の拘りを重視し、海外市場を含めた将来の潜在顧客を視野に入れた製品開発・技術革新に取り組みました。
まさに、「創って、作って、売る」努力を地道に継続することにより、ニッチトップ企業としての地位を確立した訳でありますが、キーワードは、海の向こうの「顧客」に寄り添う心です。前回の「潮流」で、山の向こうに住んでいる人々への思いやりについて記しましたが、海の向こうの顧客に寄り添う心で、継承してきた伝統に革新を図り、新たな創造を行った四国の先覚者達に深甚なる敬意を捧げて、本稿の締め括りとしたいと思います。
日本政策投資銀行四国支店長 木原 茂
「かがわ経済ナビ」は、経済に詳しい専門家の方々に香川や四国の経済状況、新たな動き、今後の展望などを語っていただく「潮流」。
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