2011年12月1日更新
交流人口の増加は、地域の活性化の重要なポイントである。まちの活性化や消費の拡大に加えて、地域への誇りや愛着心の強化にもつながる。香川には、エーゲ海のように美しい瀬戸内の海と島々や全国的に知名度の高い金刀比羅宮、小豆島や源平合戦の戦場となった屋島や栗林公園など多くの観光資源がある。今回は、観光振興をはじめとした交流人口の増加による地域活性化について検討してみたい。
歴史や和風情緒を活かしたまちづくりについて、まず考えてみよう。金刀比羅宮のふもとの商店街のように、観光地の魅力を高めていく場合と、丸亀市の駅前の商店街のように郊外への大型店の進出で客足が少なくなってきているまちを活性化させる場合とが考えられる。
この点、滋賀県長浜市の黒壁のまちづくりはよく知られている。郊外の大型店舗の影響もあって閑散としていた商店街が、黒壁で統一的な景観をつくったことで年間200万人が訪れるまちとなった。この長浜の成功は、何よりも、中心となって熱心にまちづくりに取り組んだ方の存在が大きい。このような方が中心となり、市も出資して設立された第3セクター「黒壁」が空き店舗を買い取ったり賃借りして黒壁の統一的なデザインに改修し、優良な店舗経営者を探し出して貸し出すという役割を担っている。
このような景観づくりで観光誘客に成功している例として湯布院や清里、飛騨高山などがあるが、まずは、地域の方がまちづくりを真剣に考えていただくことが大切である。その上で、取り組みの成功が見えない段階での行政による支援を考えてはどうか。長浜でも、最初は地域の方から景観づくりに協力を得ることにたいへんな苦労をされたとのことである。このような景観づくりのための支援制度を設け、期間を限定して改修費用の一部を補助してはどうか。木材による和風情緒の改修費用であれば数十万円から数百万円である。テーマパークなどをつくることと比較すれば、はるかに投資効果が大きい。
金刀比羅宮の参道は、このような取り組みに加えて行政が灯篭の整備等で景観を整えていけば、観光地としての魅力がより高まるものと思われる。
香川には、エーゲ海のように美しい瀬戸内の海と島々がある。これを活かした観光振興を、どのように進めるか。この点、アートによるまちづくりは、これからの香川の観光振興の一つの大きなテーマとして考えられる。昨年の瀬戸内国際芸術祭での多くの観光誘客の成功には、美しい瀬戸内の自然が背景にあるだろう。これを今後に生かしていくため、一つには、アートをテーマとし、さらに多くの島々を活かしたイベントを継続的に実施していくことが考えられる。さらに、まちづくりにアートを活かせないか。県外の各地でテーマを決めてモニュメントなどを道路に設置している例があるが、「アートのまち」として、商店街や街中にアートの作品を並べたり、空き店舗を活用してアートの展示会を開催してみてはどうか。前号で触れた様々な財源を活用することも考えられる。
美しい瀬戸内を活かした観光としては、クルーズ船の誘致も重要であり、香川県が5万トン級のクルーズ船を接岸できるように高松港を改修したことはたいへん有意義である。来年はNHKで「平清盛」も放映され、源平の合戦などに関心が高まることも期待される。屋島を擁する高松へのクルーズ船の寄港が増え、さらに、オプションのツアーなどで瀬戸内の島々や県内の史跡などにまで誘客効果が波及するように取り組んでいただきたい。
ソフト施策も、観光振興のために重要である。古河市では、昨年の花火大会で打ち上げ数を2万5千発にして関東最大規模としたところ、前年は35万人であった集客数が50万人に増え、地元の商店などが大いに潤った。そのための経費は1千万円程度であったが、来場者一人当たり1千円程度の消費があったとすると15万人の増加で1億5千万円の消費拡大効果があったことになる。加えて、テレビなどで取り上げられ、これらを金銭換算すると大変大きな効果となる。
年末のイルミネーションも実施の仕方によっては大きな誘客効果がある。神戸のルミナリエなどが有名であるが、これは、大規模で相当の経費が掛かる。しかし、パネルを地元業者に作成してもらって実施した古河市でのイルミネーションでも、10万人程度の誘客効果があった(左の写真)。土台を除くパネル部分は、1枚数百万円程度で作成できる。いま、高松市の商店街で再開発が行われているが、その完成にあわせて、このようなイルミネーションを実施した場合、相当の集客数が見込めるであろう。高松商店街に行列となって人が集まっているところを見たいものである。
今回は、交流人口の増加策として、いくつかの施策を考えてみたが、このほかにも、考えられる施策はたくさんある。また、前号でみてきたように、こういった施策の財源の確保も工夫の余地がある。そして、こういった施策は、まず、地域の方々の意欲的な活動があり、それを行政が支援することで実現していくものである。ぜひ多くの方に主体的に地域の交流人口の増加によるまちの活性化について考えていただきたい。




























