2011年12月15日更新
地域の活力を生み出す担い手として、まちづくりや福祉的なサービスなど様々な分野で従来のように行政が役割を担うものではなく、地域協働により市民が役割を担う「新しい公共」の活動が注目されている。政府も2010年度補正予算で87.5億円の「新しい公共支援事業」を予算化し、各都道府県で支援のための事業が実施されている。新しい公共は「市民力」によって地域の活力を生み出すものであり、連載の最終回は、この新しい公共による地域活性化と公的な支援のあり方について検討してみたい。
ボランティア的な活動について、まず見てみよう。まんのう町での高齢者の見守り活動は、人口が減少する中で、高齢者のみの世帯が増加し、生活面で様々な課題が表面化してきたことに対応したものである。地域で自治会長の方々などが中心となって高齢者の方々の見守り、声掛けなどの活動を実施している。このような課題への対応として高齢者の触れ合いの場となる居場所づくりのため、サロンを設けている地域もある。これらは、地域の人口構成の変化などに伴う新しい公的な課題にボランティア的な活動で対応するもの(下図のA)であり、仮に行政で直接担えば相当の予算が必要となる。このような解決すべき新たな地域課題に関する活動については、補助等による公的な支援を検討することが考えられるであろう。
これに対して、従来、行政が担ってきた事業や本来的に行政が行うべき施策を地域協働によって担う活動がある(下図のB)。例えば、道路の除草について民間に委託するのでなく地域の方々が協働で行うものなどである。北海道の北見市では、道路補修作業を市民が協働で行っている。地域の道路に穴やひびがある場合に、予算の制約もある市役所の対応を待っているのではなく、市民の手で補修してしまうものである。また、茨城県の古河市では、花火大会の翌日に会場となった河川敷とゴルフ場で、市民3千人が早朝から集まってゴミ拾いを行っている。香川であれば、ため池の美化や環境保全の活動を地域で自主的に行うようなことも考えられるであろう。
こういった活動に対しては、ボランティア的な地域協働の精神を大切にすることが必要であるが、仮にこれを行政が担い民間事業者に委託すればより高い経費を要するため、こういった活動には必要な経費の支援などを行うべきであろう。また、活動に携わる方々の事故に関する保険やどういった場合に除草作業を行うこととするかなどの事業の仕組みの整備などが必要である。
収益性がある程度考えられる場合には、コミュニティビジネスとしてとらえることができる(下図のC)。例えば地域の活性化のため、商店街の空き店舗を活用してコミュニティカフェやサロンをつくるような場合である。こういった事業は当初から採算性を考えて実施するものとなるが、地域の活性化など、公共的な効果がある場合には、公的な支援が考えられるだろう。このような場合には、事業として自立することを目指すため、店舗の改装費等の初期投資や一定期間に限った経常的な経費の補助を行うことが考えられる。また、NPO法人わははネットのように、子育て支援で様々な活動を行い、継続的な事業として成功している例もある。このような活動に対しては、行政側も支援しつつ地域課題解決のための協働の対象という意識で対応することが必要であろう。
このようなコミュニティビジネスの前段として、事業開始時等で収益性が漠然としている場合もある。当初は、ボランティア的な活動として始まるものである(下図のD)。例えば、ボランティア的な活動から子育て支援のグループが生まれ、これがビジネス的に成長していくことがある。障害者の居場所づくりを事業とする観音寺市のNPO法人などは、事業の継続性からすると、この分野に該当するであろう。また、宇多津町のNPO法人あいあいのように、空き家を利用して高齢者の居場所となるサロンをつくり、これをデイサービスに発展させていこうというものもある。これらの事業については、香川県が政府の新しい公共支援事業交付金を活用した「共助の社会づくり支援事業」で11年度に支援することとしているが、こういった活動については、行政が初期費用や一定の経常経費を支援することでコミュニティビジネスの領域に移ることが可能となる場合がある。
今回は、地域の活力づくりの担い手として新しい公共についてみてきたが、大切なことはまず、地域での主体的な取り組みが必要なことである。その上で、公共的なニーズともマッチした活動を行うことで、活動全体への支援が実現することもある。このため、行政と意見交換することが効果的であり、行政側も柔軟な考えで支援することが必要である。ぜひ多くの方にこういった活動について考えていただきたい。
これまで4回にわたり地域の活力づくりについて連載してきた。地域の産業づくりや観光振興、これらを支える財源確保や新しい公共の活動、すべてにおいて、英知を絞り、行動する原動力となるのは地域愛であろう。香川を愛し、ここに住む人々の暮らしをよくしたいという思いが無限の力となって発揮される。多くの方々の地域愛によって香川がひときわ輝く地域として発展していくことを期待したい。





























