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潮流

2012年1月5日更新

「去年今年(こぞことし)」思いを伝えるために

大晦日から元旦に暦がかわる時間、生活様式が変わっても一つの節目として大切にしています。とくに去年はわが国にとって忘れることのできない年であっただけに、この年明けに一人ひとりが願うことは、いつにも増して意味深いように思います。

震災からの復興、欧州危機の克服と世界経済の安定、今我々が直面する課題の解決には長い時間と紆余曲折が予想されます。課題解決に向けて為すべきことを考える時、心に浮かぶのは、国や組織というチームが一つの目標を共有する難しさです。10年、20年という長い時間軸の先に望む姿と、今求められる対応策が、一見すると矛盾するような問題が増えています。安心できる電力供給と安定的な経済活動、財政規律強化と力強い経済成長、経済のグローバル化と国内雇用の確保。日本を含む世界の構造が、例えば冷戦時や高度成長期のように、みなが迷わずまっすぐに進んでいける単純なものではなくなったことを反映しています。

高松で過ごした1年半の間に約150回の講演機会を頂きました。経営者の会合、男女共同参画の集まり、地域の勉強会、学生向け講義等、多くのみなさんに日本銀行高松支店長として考えていることをお伝えしてきました。本店やロンドン事務所勤務では得られない貴重な経験です。自分の思いを伝える、混沌とした現状を整理して、紆余曲折の先にある解決に向けた方向性を共有することの難しさを学ぶ機会でもありました。

ロンドンで暮らした間、政治やメディアが発するメッセージが重層的なことに感心したことがあります。例えば「10年後の目標に向かって今この苦労をみなで共有しよう」といった問題提起が日常的に行われます。複雑な現実を見据えて、みなで方向性を共有するという経験は、長い年月をかけて紡いでいくものなのかもしれません。私も高松での貴重な機会を通じて、一人ひとりの目を見ながら自分の思いを伝える努力を積み重ねていきたいと思います。

日本銀行高松支店長 清水 季子

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