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動向リサーチ

2012年1月5日更新

地銀、第二地銀81行 連結決算ベース 製造業・建設業向け四半期別貸出金残高調査

~リスク管理債権 前年同期比1.0%増
        半期ベースでは5半期ぶりに前年同期を上回る~

国内銀行112行の2011年9月中間期のリスク管理債権は10兆9339億円で、前年同期より1.0%(1138億円)増加した。半期ベースでは09年3月期以来、5半期ぶりに前年同期を上回った。また、11年9月中間期の貸出金は411兆7698億円で、前年同期比0.9%(3兆7354億円)増となった。11年9月中間期の貸倒引当金は4兆9343億円(前年同期比5.1%減)で、08年3月期以来、7半期ぶりに5兆円を割り込んだ。

リスク管理債権が増加した背景は、中小企業円滑化法に基づく「実抜計画」と乖離した取引先の債務者区分の変更が増えている可能性が指摘される。貸出金は地方銀行と第二地銀で増加した。

貸倒引当金は前年同期と比べ、大手行で8行中1行(構成比12.5%)、地方銀行で63行中22行(同34.9%)、第二地銀で41行中12行(同29.2%)が増加した。特に、3月11日に発生した東日本大震災の被災地に本店を置く仙台銀行(前年同期比169.1%増)、七十七銀行(同136.2%増)、福島銀行(同66.4%増)、東北銀行(同52.1%増)、岩手銀行(同41.0%増)の増加率が目立った。

  • ※本調査は国内銀行112行を対象に、11年9月中間期単独決算ベースのリスク管理債権(破綻債権・延滞債権・3カ月以上延滞債権・貸出条件緩和債権)を調査した。
  • ※銀行業態は、(1)埼玉りそなを含む大手行(8行)、(2)地方銀行は全国地銀協加盟行、(3)第二地銀は第二地銀協加盟行。
  • ※岐阜銀行は10年12月に十六銀行の子会社となり、11年9月中間期でリスク管理債権が判明しないため対象から除外。

リスク管理債権 前年同期比1.0%増

11年9月中間期のリスク管理債権額は10兆9339億円で、前年同期(10兆8200億円)より1138億円(1.0%)増加した。貸出金に占めるリスク管理債権の構成比は、11年9月中間期は2.66%で、前年同期(2.65%)より0.01ポイントアップした。11年9月中間期の「貸出条件緩和債権」は2兆2646億円で、前年同期(1兆9244億円)より3402億円(17.6%)の大幅増となった。金融円滑法を利用して経営改善に取り組んでいる中小企業の中で、再建計画の進捗遅れや業績改善の見込みが立たない企業の債務者区分を引き下げに動いていることが推測される。また、中には金融機関がコンサルティング機能を発揮し、経営再建支援による債務者区分引き上げの可能性もある。

業態別のリスク管理債権は、地方銀行が4兆9207億円(前年同期比5.3%増、2493億円増)と、業態別では唯一増加した。大手行は4兆3690億円(同1220億円減)、第二地銀は1兆6441億円(同134億円減)と、減少した。112行中63行(構成比56.2%、大手行2行、地方銀行42行、第二地銀19行)が前年同期を上回った。

中間期貸出金 前年同期比0.9%増

08年11月、金融庁は中小企業への融資を促すため監督指針と金融検査マニュアルを改定し、09年3月期の国内112行の貸出金は431兆2984億円と増加した。しかし、09年12月に中小企業等金融円滑化法が施行され、同法に基づく返済猶予等の申請した企業向け貸出が減少、11年3月期まで貸出金は減少をたどっていた。しかし、地方銀行や第二地銀は資金運用先として地方公共団体や企業の資金需要、住宅ローンの借替を開拓し、11年9月中間期の貸出金は411兆7698億円(前年同期比0.9%増)と、09年3月期以来、5半期ぶりに前年同期を上回った。

中間期貸倒引当金 前年同期比5.1%減

11年9月中間期の貸倒引当金(貸借対照表計上額)は4兆9343億円で、前年同期(5兆2035億円)より2692億円(5.1%)減少した。半期ベースでは08年3月期以来、7半期ぶりに4兆円台に戻した。

貸倒引当金は、09年9月中間期に5兆6053億円まで膨らんだ。その後、不良債権処理の加速や09年12月に金融円滑化法が施行され、返済条件緩和等を申請した企業の債務者区分を変更しなくても良くなり、貸倒引当金は圧縮されていった。また、金融円滑化法が12年3月まで1年延長され、金融機関にコンサルティング機能を促した。貸倒引当金の圧縮は、該当企業の倒産や、金融機関が経営再建計画を支援し該当企業の経営が改善したことで債務者区分の見直しにつながったことも一因となったようだ。

景気対応緊急保証制度など公的支援の拡充や、中小企業金融円滑化法は、中小企業の資金繰り緩和に一時的には大きな効果をみせた。しかし、今年3月の東日本大震災や高止まりする円高等から、中小企業の業況は改善が遅れ、金融円滑化法を利用した経営改善計画に狂いが生じた企業も多い。

金融円滑化法は12年3月まで1年間延長され、金融機関には中小企業の経営支援のためのコンサルティング機能の発揮が求められた。金融機関は専門部署を設置し、積極的に中小企業の経営再建計画策定を支援する一方、業績に応じて取引企業の債務者区分を見直している。

しかし、業績悪化や改善見通しが乏しい企業にとっては、新たな資金調達は厳しさを増している。こうした業績改善が遅れた企業の息切れが、今後の企業倒産を押し上げる懸念を高めている。金融機関は経営不振の取引企業が増加すると、与信コストの上昇や引当金の積み増しを迫られ収益が悪化し、より厳格な与信体制の見直しに入る。

金融機関はコンサルティングで中小企業の経営改善に努めながら、その実現性も見抜かなければならない。再建計画の進捗遅れや再建計画との乖離が拡大すると、債務者区分を引き下げ、リスク管理債権がさらに増加する事態も懸念される。地方から景気の下方修正の声が聞こえてくる中、中小企業を取り巻く経営環境は厳しさを増しており、金融機関の動向に目が離せない。

株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 竹 茂和

動向リサーチとは

「動向リサーチ」は、東京商工リサーチがまとめる詳細な情報データに基づき、株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長・竹 茂和さんが香川の経済動向を鋭く分析します。

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