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潮流

2012年2月2日更新

不易と流行

本稿掲載時点は2月上旬になりますので、些か時宜を逸して面映ゆいものがありますが、年頭の所感めいたものを記してみたいと思います。昨年は、未曾有の大震災に始まり、台風や集中豪雨、タイ洪水危機等内外ともに天変地異に見舞われる一方、ユーロ危機等世界経済の乱調と持続的な円高傾向が企業収益の圧迫要因となり、総じて多難な一年となりました。年末挨拶にお伺いしたお取引様も、口々に「なかなか景気の良い話はありませんな」、「来年は少しは良くなって貰いたい」と仰り、当方も「これ以上悪くなることは無いと信じて頑張りましょう」と応じるのが関の山でありました。

ところで、前述の様な応答の中で、一部のお取引様が、「そうは言っても、壬辰の年ですから、何が起こるか判りませんね」と指摘なさいました。耳学問によると、壬辰は干支の29番目と60年周期の中間点、分水嶺に当たり、世の中の仕組みを変える動きが顕在化するそうです。前々回1892年壬辰からの60年間では、日清、日露戦争を経て対外拡張が頂点に達した後、敗戦、占領期を迎えました。前回1952年壬辰からの60年間では、主権回復から高度成長と石油危機、バブル崩壊と失われた20年を経験するに到りました。

震災を契機として戦後日本経済社会を支えたパラダイムの変換を求める声が高まり、また、人口減少時代の社会構造に適合すべく税と社会保障の一体改革を目指す動きも活発化する中、誰もが世の中の仕組みが変わっていくのではないか、変わらざるを得ないのではないか、と感じておられると思います。年末から、如何なる心持ちで新年に向き合うべきか思いを巡らしたところ、自ずと心に浮かんで参りましたのが、芭蕉謂うところの「不易流行」という教えでありました。

不易と流行を二つに分けて教えつつも其の基は一つであるとし、「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を辨へざれば風あらたならず」という教え、易という文字自体、変易・不易・簡易の三義を有することに鑑みれば、極めて味わい深いものがあります。日々刻々変化する社会経済情勢と企業ニーズを踏まえ、提供するサービスと適用する金融手法は変化すれども、資金循環の円滑化を通じて社会経済の発展に裨益すべき金融の本道を見据えて、今年も研鑽を積んで参りたいと思います。

日本政策投資銀行四国支店長 木原 茂

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