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2012年2月2日更新

アイデアと地元食材が光る生きた洋菓子 - Aina・ふろーりあん

「家業を継ぐつもりは全然なかったんですよ」。声をそろえていうのは、さぬき市志度の洋菓子店「Aina(アイナ)・ふろーりあん」の高橋竜史さんと、ブドウ農家を営む多田康二さん。

地元の食材を生かした菓子作りをする高橋さんは、ブドウの加工品ができないかと模索していた多田さんと出会った。現在2人は、「シャインマスカット」の魅力を存分に楽しめる新商品を開発中だ。

讃岐のお土産作ろう

「子どものころは、家の手伝いをいやいやしていたぐらいでした」と高橋さん。この道を究めようと思ったのは、東京での修行時代のこと。オーブンの中で生きているように動くタルト生地に、面白みを感じたからだ。Aina・ふろーりあんでは、「生菓子」と書いて「いきがし」と読む。

香川に戻り、父から店を引き継いだ。「こちらでは珍しかったフランス菓子を中心に置いていたこともありましたが、地元の人が好む、カステラやクリームなどシンプルなものが大事だと感じました」。高橋さんの仕事は、地元の人に喜んでもらうことだという。

イチゴやイチジクといったフルーツは県産品を使っていたが、さぬき市や香川の「いいもの」をもっと知ってもらいたいと考えた。「讃岐のお土産を作りたい」。きっかけは、常連客の「何かないん?」という一言だった。

最初に手掛けたのは、さぬき市の特産品である自然薯を使った焼き菓子。生地に自然薯(じねんじょ)の粉末を混ぜて、もちもちに仕上げた。もともと和菓子職人だった父のアドバイスを受け、あんを挟んでどら焼き風の「自然薯焼」が完成した。地元客が求める「何か」に応え、贈答品として人気に。

さぬき市産トマトを使ったゼリー「情熱トマト18」は、1カ月に1000個を売り上げた。豊島の無農薬レモンを使った「さぬきげんきレモンケーキ」など、店内には約60種の洋菓子が並ぶ。高橋さんが考える商品名もユニークだ。

旬以外でも流通を

家業を継いだ多田さんは、ブドウ作りを始めて9年になる。「シャインマスカット」の栽培開始から7年。「グリーン系のブドウは栽培が難しいと言われていましたが、順調に育ってくれています」。種がなく、皮ごと食べられるのが特長だ。酸味や渋味が少なく、糖度も高い。

「出荷は7月初めから8月いっぱいまで。ブドウを加工して、旬以外でも使えるようにしたいと考えました。規格外品を使えば無駄もありません」。そこで出会ったのが、自然薯の粉末を菓子作りに使っていた高橋さんだ。

当初は、ブドウも粉状にして使えればと考えていたが、多田さんの発見から思わぬ方向に。「ピオーネを凍らせてシャーベット状にするとおいしいんですよ。シャインマスカットも冷凍してみましたが、完全には凍らず、グミのような食感でした。高橋さんに話すと『これは面白い』となったんです」。多田さんのシャインマスカットと高橋さんのアイデアが融合し、新商品開発がスタートした。

多田さんにとって、ブドウを加工品にするのは初の試み。「自分の作ったブドウがお菓子になって、お客さんに買われる。その姿を見てみたいですね。やるからには、ほかと違うものを作りたい」と多田さん。自身でも販路拡大に向けて、商品化のほか、さまざまな方法を思案中だ。「志度のブドウ」の復権を目指す。

宝石箱を開ける気持ちで

「シャインマスカットとチーズケーキを組み合わせようと思っています。ちょっとぜいたくな雰囲気にして、女性に『自分へのご褒美』として買ってもらえれば。ジュエリーボックスのような仕上がりをイメージしています」と高橋さん。

透明な立方体のケースに、クリーム色の濃厚なチーズケーキを敷き詰める。その上に、淡いグリーンの凍らせたシャインマスカット。宝石箱を開けるようなドキドキ感が楽しめそうだ。

冷凍にも対応できる商品にし、インターネット販売で全国に向けて発信。夏までには開始する予定だ。ケーキの組み合わせも、チーズ以外にチョコレートなど数種類の展開を考えている。「シャインマスカットを食べたときの驚きを、たくさんの人に体験してほしい」

いいものが詰まった店に

「自分のブドウが商品になるのはうれしい。ここからいいものをどんどん全国に出して、さぬき市を盛り上げたいですね。質をより高めて対応していきたい」と多田さん。

高橋さんも「野菜や果物のほかにも、直島の天然塩や東讃の和三盆など、作り手の気持ちが伝わってくる食材がたくさん。同じ職人同士、その思いが分かるからぜひ使いたいと思うんです。いずれは、地元産の食材を使った菓子で店をいっぱいにしたい。『お土産を買うならAina』と言わせたい」と目標を語る。

新たな出会い続々 スイーツマッチング

高橋さんは、かがわ産業支援財団が農林漁業者と菓子店の出会いの場を提供する「スイーツマッチング」にも参加。この出会いをもとに、現在2つの商品を考案中だ。

「黒ニンニクを使ったお菓子を考えています。パイ生地にすりつぶした黒ニンニクを練り込んで焼き上げ、塩味のスティック状に。子どもから大人までおいしく食べられるものにしたい」。高橋さんのアイデアは尽きない。

Aina(アイナ)・ふろーりあん

所在地
さぬき市志度1895−1
TEL/FAX:087−894−3625
資本金 300万円
従業員数 10人(パート・アルバイト含む)

沿革

  • 1964年 高橋菓子舗 創業 和菓子店としてスタート
  • 1977年 店名をフローリアンたかはしに変更
    洋菓子部門開設
  • 2007年 店名をAina・ふろーりあんに変更
    店舗拡張し、地域に根付いた商品作りに力を入れる
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