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目からうろこ!BKゼミ

2013年7月18日更新

希少糖と学問の体系化

香川県を代表する研究の一つとして、「希少糖」の研究が挙げられます。10年ほど前からテレビや新聞を賑わし、自然界にはほとんど存在しない珍しい糖の大量合成に成功したことや、D-プシコースという糖に、食後血糖の上昇を抑える働きがあることが見つかり、特定保健用食品(トクホ)に申請中であることなど、香川発の新しいブランド「さぬき新糖」として注目を集めています。

今回は、希少糖の「学問としての体系化」についてご紹介したいと思います。

学問の体系化とは、「分類し、関連づけを行い、規則性を見つける」作業のことです。これは、あらゆる学問にとって最も重要な作業になります。

希少糖研究における学問の体系化とは、具体的にはIzumoring(イズモリング、図1)を作成することでした。これは全34種類の六炭糖について、異性化(分子を構成している原子の結びつき方はそのままで、分子の構造の一部のみを変化させること)と酸化還元の手法ごとに分類し、関連づけたものです。このIzumoringという体系化に成功したことによって、希少糖の研究はここまで大きく発展することが出来たのです。

ちょっと何を言っているのかよく分からない、と言う方のために、それでは最も有名な学問の体系化の例をご紹介しましょう。

それは「周期表」(図2)です。皆さんも中学生の頃に、「すいへいりーべーぼくのふね」と唱えたことでしょう、あの周期表です。

理系の読者の方でしたらお分かりかと思いますが、周期表は、単に元素を原子番号順に並べただけのカタログではありません。周期表は、全く別々の性質を示す原子を分類し、関連づけを行い、規則性を見出したもので、現在もなお科学者が、新しい物質を開発するためにはなくてはならない設計図となっています。

この周期表を初めて作ったのは、ロシアの化学者のメンデレーエフ(1834~1907)です。彼は当初、大学で学生に化学を教える際、それぞれの元素ごとに個別に教えていたのですが、それではなかなか学生が理解してくれませんでした。悩んだメンデレーエフは、それまでに発見されていた元素を分類し、関連づけを行ったところ、元素同士の規則性を見つけることが出来たばかりではなく、周期表に空欄を設けることにより、以後発見されるであろう元素の性質までをも予想することが出来、こうして周期表が完成されたのです。これは、まさに学問の体系化としては最も成功した例の一つと言ってもいいでしょう。

一方、希少糖研究の第一人者である香川大学の何森(いずもり)健教授は、かつて研究室の学生に、それぞれ別個の希少糖合成の研究テーマを与えていたところ、学生は、自分の研究の意義・重要性になかなか気付くことが出来なかったそうです。そこで何森先生は、それぞれの学生の研究テーマを分類し、関連づけを行ったところ、Izumoringという全種類の六炭糖を効率よく合成するための設計戦略を見出すことが出来たという事です。Izumoringの完成後、香川大学を拠点として、香川県内における希少糖研究が爆発的に飛躍していったことについては、説明の必要もないかと思います。

さて、現在私たちの研究室では、このIzumoringを新たに周期表と見立て、さらに新しい糖の開発に取り組んでいます。これはまた、次回お話しします。

参考文献:何森健著「希少糖秘話」(希少糖生産技術研究所)
「世界一美しい周期表」は(株)仮説社で販売しています。

香川大学工学部材料創造工学科 教授 石井 知彦

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讃岐を歩く

燕帰る

春、日本にやって来て、秋、南方へ去るツバメ。暦の上ではもう秋を迎えたが、残暑はまだまだ厳しい。ツバメはそろそろ帰り支度を始めているのだろうか。昼下がりの丸亀市・本島にて。

Photo:T.Nakamura

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