当サイトにおける全てのコンテンツの無断複写・転載等を禁じます。

ビジネス香川 -「いま」を伝え、「未来」を育てる-

文字サイズ
標準
拡大

ビジネス香川 ここにもあります 高松空港ANA・JAL便搭乗口、ことでん瓦町駅、高松市民病院、高松市図書館、香川県立ミュージアム・東山魁夷せとうち美術館、栗林庵、瓦町FLAG、高松市内のセブン-イレブン・ファミリーマート、JR四国バス ほか

  • プライムパーソン
  • Next開拓魂
  • It's me!それは私です
  • BK NEWS
  • さぬき美探訪
  • さぬき味探訪
  • 動向リサーチ
  • 瀬戸標(せとしるべ)
  • かがわのエンジン
  • とれぷれ
  • 特・選・本
  • 特・選・話
  • 本日、旅日和

目からうろこ!BKゼミ

2013年8月1日更新

糖と糖を組み合わせる~超分子希少糖~

前回(7月18日号)は、学問の体系化の成功例として、元素の周期表と希少糖のIzumoringの話を書きました。今回初めて読まれる方のために簡単に説明をしますと、Izumoringとは六炭糖における周期表のようなものだと思ってください。

今回は、このIzumoringに記載されている糖同士を組み合わせて、新しい希少糖を開発する研究についてご紹介します。キーワードは「超分子」です。

超分子とは、フランスの化学者ジャン=マリー・レーン(1939~)によって提唱された新しい学問分野と、そこから得られた新物質のことを意味します。周期表上にある原子と原子を並べることで分子が出来ますが、彼はさらに分子と分子を自由に組み合わせるということを考えました。

生物の場合には、細胞が集まることで組織を作り、組織が組み合わされて器官を形成しますが、同様のことが細胞よりもさらに何千分の一もの小さな世界、いわゆるナノサイズの世界でも起こっているのです(図1)。レーンはこの業績によって、1987年にノーベル賞を受賞しています。

分子が、周期表上の原子を並べて作られたものであるならば、Izumoringを希少糖の世界における周期表であると考えている私たちにとっては、Izumoring上の六炭糖を「積み木」のパーツのように積み重ねていくことによって、全く新しい超分子、いわゆる「超分子希少糖」を作ることが出来るのではないかと考えました。

これまでに私たちの研究グループでは、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)を組み合わせた超分子を合成することに成功しました。さらに希少糖分子との組み合わせ、例えばフルクトースとプシコースとの超分子や、プシコースとアロースとの超分子など、現在までに約20種類もの超分子希少糖の合成に成功しています。

中でも3種類のケトース(フルクトース、プシコース、ソルボース)では、D体とL体といった2種類の鏡像異性体(これは後で説明します)から構成された超分子として、良質な単結晶を合成することにも成功しました(図2、これはラセミ結晶と呼ばれています)。

分子の世界では、人間の右手と左手の関係のように、鏡に映して左右対称の関係にある物質の組み合わせがあり、これを「鏡像異性体」と呼んでいます。先に示した糖のD体とL体というものは、この鏡像異性体の関係にある組み合わせです。結晶が成長する際、D体のみ、あるいはL体のみの場合には良好な単結晶が得られます。逆に、人間が相手の右手と自分の左手とでは握手をすることが出来ないのと同じように、糖分子同士でもD体とL体の組み合わせでは、結晶の成長に不利に働きます。今回、良好なラセミ結晶を得ることが出来たことで、今後様々な組み合わせの超分子希少糖の単結晶が合成できる第一歩を踏み出したと考えています。

超分子希少糖を自由自在に作ることが出来るようになれば、例えば、光を右にも左にも自由な大きさで回転させることが出来るようになり(これを旋光性と言います)、新しい光学フィルタとして応用されることが期待されています。また、鉄やコバルト、ニッケルのように磁性を持つ金属イオンとともに化合物(希少糖錯体)を作ることによって、光の照射による磁石のオン・オフが制御出来る「光磁石」を開発することが出来るようになります。

2回にわたって、香川大学における希少糖研究の一部をご紹介いたしました。香川から発信された希少糖は、材料やデバイスと言った新しい応用への展開も見込まれています。

香川大学工学部材料創造工学科 教授 石井 知彦

目からうろこ!BKセミナーとは

「目からうろこ!BKセミナー」は、香川大学とビジネス香川のコラボレーション企画です。経営に役立つ専門知識や実践的戦略の具体的な実例、教育・研究の最前線等を紹介し、読者の皆様に新たな視点を提供していくことを目指しています。

讃岐を歩く

燕帰る

春、日本にやって来て、秋、南方へ去るツバメ。暦の上ではもう秋を迎えたが、残暑はまだまだ厳しい。ツバメはそろそろ帰り支度を始めているのだろうか。昼下がりの丸亀市・本島にて。

Photo:T.Nakamura

讃岐を歩くの一覧はこちら

ページの先頭へ移動