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プライムパーソン

2016年7月21日更新

憧れの県都で舵取りに臨む 高松市長 大西 秀人さん

高松市街、瀬戸内海を背に自身の書を掲げる大西市長=高松市西宝町の峰山公園展望台

丸亀市飯山町出身の大西秀人さん(56)にとって、高松は特別な場所だった。賑やかでわくわくする商店街、大勢の人が集まる映画館に美しい栗林公園・・・・・・「幼い頃から強い憧れのあった最も身近な都会でしたね」

東京大学から自治省(現総務省)に進んだ。地元に戻るつもりはなく、市長選出馬を打診された時は悩みに悩んだ。だが、「このまちの市長として、まちづくりに携われるのなら大きなやりがいがあるんじゃないか」。高松が持つ魅力と可能性に突き動かされた。

1期目、2期目はともに無投票で市長になった。市職員の不祥事が相次ぎ、「はっきりと目に見える形での成果をあげられていない」という葛藤や、孤独感にさいなまれることもある。

昨年4月、高松市長選は12年ぶりに選挙戦になった。初めて選挙の洗礼を受けた大西さんは、「創造性豊かな海園、田園、人間都市の実現」を目指し、かつて憧れたまち、県都・高松の3期目の舵取りに臨む。

「高松Tゾーン」に注目

マーケット側の視点に立ち 新たな事業に挑んでいく
高松市役所 市長応接室

風光明媚な瀬戸内海に、暮らしやすい気候風土。中心市街地を活性化させ、地域コミュニティも充実させたい。「海園、田園、人間都市」というキーワードには、大西さんの様々な思いが込められている。「この先、人口減少と高齢化は避けられません。時代の変化に合わせたまちづくりを、方向性を定めてやっていかなければなりません」

注目しているエリアがある。五色台からサンポート、屋島、志度湾へと続く東西のラインと、中央通りから栗林公園、高松空港へと続く南北のラインだ。「高松Tゾーン」と大西さんは呼ぶ。

海園都市の顔とも言えるウォーターフロントを舞台にしたMICE(企業ミーティング、国内・国際会議、展示会など)誘致のユニークな構想があるという。「サンポートを中心とした沿岸一帯を、島しょ部も結んで回遊できる海園プロムナードとして再生、活用したい。もちろん簡単ではありませんが、人が動く面白い仕掛けができないかと考えているんです」

南北のラインについても「LRT(次世代型路面電車)のような公共交通が空港まで走れば面白いですよね。ことでんの駅がある仏生山辺りにハブ機能ができればさらに広がりが出ます」

将来を想像しながら楽しそうに話す大西さんだが、「人生で高松市長という選択肢は全く考えていませんでした」とも打ち明ける。

サンポート高松トライアスロン2016
瀬戸内海や中央通りを舞台にした「サンポート高松トライアスロン2016」
過去最多の584人が出場した=7月3日

キャリア官僚からの転身

父親は議員10期に、議長まで務めた香川県議会の重鎮だった。幼い頃から政治は身近に感じていたが、「父の大変そうな姿を見て育ったので、正直、政治家にはなりたくないと思っていました」

東大法学部を卒業後、自治省でキャリア官僚の道を歩んだ。財政や税務畑を主に進み、1994年に村山内閣が消費税を3%から5%に引き上げる税制改革関連法案を成立させた際には、「1カ月くらいかけて不眠不休で法案を作りました。国会での強行採決の場面は今でも鮮明に覚えています」

国策に携わる仕事は魅力的だった。一方で、北海道や岐阜県、北九州市などへも出向し、様々な地方行政に触れる機会も多かった。

2000年、島根県に総務部長として赴任した。「合併を進めるというのが特命でした」。隠岐諸島の3つの離島から成る2町1村の合併を目指した。しかし島民は、「離島が合併してもメリットはない」と単独の道を選んだ。

「ないものはない」と宣言して話題になった海士町(あまちょう)は、この時合併を選択しなかった離島の一つだ。「なくてもいい」「大事なことは全てここにある」という精神で、過疎や高齢化、財政難に悩む町が生き残りをかけて思い切った改革に出た。まず町長の給与を大幅カットすると、「町長が身を切るなら」と職員も給与カットを受け入れ、捻出した予算を新たな事業に投入した。鮮度を保ったまま魚介類を出荷できる最新技術の冷凍水産施設をつくったり、島外から人を呼び込むプロジェクトを立ち上げたりした。

改革に乗り出して10余年。Iターンや移住者も増え、少子化で統廃合寸前だった高校では、逆にクラスが増えるという現象まで起きたという。「全国でも有数の元気な島になりました。合併しないとやっていけませんよと指導するのが私の仕事でしたが、無理強いをしなくて良かったと思います」。そしてこう加える。「地方にも素晴らしい人材がいて、それぞれの土地や市民性に合ったまちづくりをやれば、良い方向に歩ませることができる。地方行政の可能性を感じた貴重な経験でしたね」

不祥事を繰り返さないために

市長選出馬を支援者らから持ちかけられた時、悩み抜いた末に決意を固めた最大の要因が、その「合併」だったという。

高松市は、大西さんが市長になる2年前に塩江町と、翌年に牟礼町や庵治町など5町と合併した。塩江温泉に庵治石、牟礼町のイサム・ノグチ庭園美術館、国分寺町の盆栽・・・・・・多くの地域資源が高松に加わった。「合併で都市としての魅力と可能性が大きく広がった。これなら面白いまちづくりができそうだと思ったんです」

07年の最初の市長選では対立候補が出ず、新人ながら無投票で市長になった。「ありがたいという気持ちはありました。でも、私は高松出身でもないし、ずっと県外にいましたし・・・・・・本当にこれで良いのだろうかという思いはありました」。2期目も無投票当選だった。任期中、「市長の顔が見えない」という声もちらほら聞こえた。

3期目で初めて選挙戦になった。選挙期間中、「過疎が進む地域にどうして何億円もの施設を作るのか」「民間の事業になぜ市が金を出して援助するんだ」・・・・・・辛口の意見や批判も浴びた。しかし、直接市民の声を聞き、「そうか、市民のみなさんはそんなことを考えているんだと、これまでやってきたことに対する評価や反応を実感できました」。ようやく気持ちの中でしっくり落ち着くものが得られた気がすると振り返る。

市長になってから最もつらかったことを尋ねると、「職員の不祥事です」。間髪を容れずに答えが返ってきた。

12年、市営住宅の不適切な伐採工事で職員7人が懲戒処分を受けた。13年には男性職員がカードローン詐欺を働いた。またこの年の参院選で票の不正操作が発覚、信頼を失墜する大事件となった。「職員を信じていたので、これは本当にショックでつらかったです」

外の世界を知らない職員も多く、ぬるま湯的な体質があったのではないだろうかと話す。「情報公開を徹底し、コミュニケーションを活性化させる。特に若手職員の意識を変えていかなければならないと思っています」

高松市の人口は42万人。昨年の国勢調査では、10年の前回調査よりも1514人増えた。人口増は県内では高松市と宇多津町だけ、四国4県都では高松市だけだった。だが、「必ずしも褒められたものではない。増えたと言っても県内の他の市町から高松に移って来ただけで、県全体では2万人も減っています」

合併で高松市は瀬戸内海から徳島県境まで、真ん中を貫く香川の中心都市になった。今後は周辺市町を引っ張っていくリーダーシップも求められる。「協力し合い競争もしながら、お互いがウィンウィンとなるような広域都市圏づくりを進めているところです」

大西さんにはさらなる目標がある。「世界に対しても『ここに高松あり』と言えるような都市の魅力を高めていきたい。それだけの可能性は十分に秘めていると思っています」

編集長 篠原 正樹

おおにし ひでと

  • 1959年 丸亀市飯山町生まれ
  • 1982年 東京大学法学部 卒業
    自治省 入省
  • 1987年 北九州市 財政局資金課長
  • 1989年 岐阜県 総務課長 財政課長
  • 1995年 北海道 財政課長 地域振興室長
  • 1999年 自治省 税務局税務企画官
  • 2000年 島根県 総務部長
  • 2005年 総務省 自治財政局
    地域企業経営企画室長
  • 2006年 総務省 情報通信政策局
    地域放送課長
  • 2007年 高松市長選で初当選
  • 2011年 再選
  • 2015年 3選

高松市

所在地
高松市番町一丁目8番15号
TEL:087-839-2011(代表)
地図
総人口 42万720人(推計人口)
男20万5,019人/女21万5,701人
世帯数 18万3,422世帯
(総人口、世帯数とも2016年7月1日現在)
合併 塩江町(2005年)
牟礼町、庵治町、香川町、香南町、国分寺町(2006年)
URL http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/

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讃岐を歩く

寒霞渓と並ぶ小豆島の景勝地、銚子渓。この渓谷にある「自然動物園 お猿の国」では、約500匹の猿が戯れる。子猿の愛くるしい表情がなんとも言えない。冬の風物詩「猿団子」も見ものだ。

Photo:T.Nakamura

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