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さぬき美探訪

2016年8月4日更新

心を豊かにするデザイン -讃岐民具連とその時代-

タタミ背ツキ椅子  桜製作所 蔵
 

1963年(昭和38年)に結成された「讃岐民具連」は彫刻家・流政之が主宰し、高松を中心としてものづくりをしていた若者たちを集めて製品開発をしようとした活動である。当時の県知事・金子正則は後にデザイン知事と称され「政治はデザインだ」と標榜していたのでこうした活動も積極的に応援した。県職員である工業試験場の郡谷文雄に幹事役をさせ、県建築課の技師であった山本忠司らも加わらせ盛んに加勢した。連には家具や建具、金工、漆、瓦、石などの職人が参加して、各自が思い思いに製品開発を進めることになった。発足式に名を連ねたのは、奉公人形作家の宮内フサ、画家の和田邦坊、東京のメディアから「芸術新潮」編集者の小川煕(ひろし)、外国メディアからはウェザヒル出版のメレディス・ウェザビー、建築評論家の神代雄一郎ら。後にニューヨークからスタンフリーギャラリーや親日家のロックフェラー3世夫妻なども見に駆けつけた。

工芸の世界は、60年以上の歴史がある日本伝統工芸展や50年続いたクラフトセンタージャパンなどいくつかの団体があった。そういった団体に所属せずに地元発信で中央とのパイプが繋がったこの運動。結果的には大半のものが長続きしなかったが、数少ない成功事例として1964年に参画した家具作家・ジョージ ナカシマが遺した作品が今日も受け継がれていることの意義は大きい。ジョージナカシマの考え方は、当時プロダクト(工業製品)として家具をデザインしていた北欧のデザイナー達とは根本的に違っていた。人間の身近な生活の用具として彼がより重要視したことは、手仕事の味わいだった。

うちかけスタンド
桜製作所 蔵

昨今、人工知能が職業を変える時代が間近に迫っていることを痛切に感じる。近い将来、社会が必要とする仕事の多くが機械で処理されることは間違いない。数値化(モジュール・ルール・規範など)で置き換えることのできる業務はすべてであろう。特に製造業の分野は、富の蓄積により技術革新の設備投資が繰り返され、遅かれ早かれすべての分野で自動生産が実現していくであろう。機械により均一な製品が多品種小ロットで作られ、コストが下がり、価値を低めていく趨勢に拍車が掛かる。そんな中で手仕事によるものづくりの思想がどのように受け継がれるのか興味深い。無限のコストと無限の時間を掛けた宗教的一品製作のものは残っても、クラフト(工芸品)の複数生産品が遺されるのは希有なことだ。そんな視点を持ちながら半世紀前にこの地で始まった活動を紹介するこの展覧会を眺めてみると、意外な面白いことをいろいろと発見して嬉しく思った。

桜製作所 社長 永見 宏介

桜製作所 社長 永見 宏介

「心を豊かにするデザイン-讃岐民具連とその時代-」

【 と き 】 9月4日(日)まで
【ところ】 高松市歴史資料館
高松市昭和町1-2-20(サンクリスタル高松4階)
http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/23506.html
地図

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さぬき美探訪とは

美術館や博物館の学芸員と野菜ソムリエが香川が誇る「美」と「味」をご紹介します。



讃岐を歩く

マーガレットが見頃を迎えている詫間町のフラワーパークうらしま。香りに誘われて、可憐なベニシジミが憩う。満開の花を行き交う姿は、まるであいさつをしているようだ。

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