2016年8月4日更新
谷 益美さん(42)が代表を務めるOffice123は、ビジネスコーチングとファシリテーションを提供している。
コーチングは基本的に一対一で行い、話を引き出すことで相手に考えさせる。たどり着いた答えに向かう行動を促進し、相手の成長を支援する。
ファシリテーションは、複数人の意見を引き出してまとめる技術のこと。「具体的には会議で板書をして意見を『見える化』するなどです。企業の営業会議や大学の講義、一番小さな集まりだと家族会議に呼ばれたこともあります」。谷さん自らがファシリテーターとなるほか、企業の研修に講師として招かれ、ファシリテーションの技術を伝える機会も多い。
子どもの頃は同級生の輪に入るのが苦手だった。自分がいることで雰囲気が悪くなったらと思うと、積極的に関係を築けなかった。
大学生の時、友人から一人でいるのが好きだと思っていたと言われた。「これは何とかしなければと思いました。ただ劇的に変わったのではなく、連続する線の中で緩やかに変化してきたんでしょうね」。うまくできないからこそ工夫し続けてきた。結果としてコミュニケーションのスキルが磨かれたと言う。
大学卒業後は建材商社に就職。約5年、営業を担当した。ワーキングホリデーでオーストラリアに渡り、帰国後、IT関連企業で再び営業職に。そこでコーチングを知った。上司から借りた本がコーチングに関するもので、その内容が何となく心に残っていた。
無料セミナーに参加してみると、講師は意外にもどこにでもいそうな人だった。これならできるかもと思い勉強を始めた。「人との出会いや勉強する機会に恵まれました。ノリと勢いで起業して、今12年目です」
「今日の研修は楽しみですか、憂鬱ですか」。谷さんが研修を始める時にいつも聞くことだ。「すごく楽しみ、まあまあ楽しみ、普通、ちょっと嫌、帰りたい」のうちどれかと聞くと、普通、ちょっと嫌、帰りたいが8割を占める。次に、来て良かったと言える研修の条件は何かと聞く。
そうすると、現場で使える、自分の課題に対してヒントが得られるなどの答えが返ってくる。「じゃあ、そういう時間にしましょうと言うんです。私はできる限り情報を提供するので、皆さんは現場で実践してくださいねと約束します。皆さんと私とで一緒に有意義な時間にしましょうと」
研修の効果は、知識を学んだ時ではなく実践する時に表れるのだと言う。「今まで通りでは問題解決できないから、新しいやり方を取り入れる。手法を変えるのはファッションを急に変えるようで恥ずかしいですよ。でも恥ずかしさを越えて実践して、ある程度継続した時に生まれる変化というのはすごいもんだと思います。びっくりしますよ。『上司の方針がガラっと変わりました』とかね」
谷さんは現在、早稲田大学と岡山大学でコーチングに関する講座の非常勤講師を務めている。2014年、15年にファシリテーションとコミュニケーションに関する本も出版した。
香川県内でもコーチングやファシリテーションのニーズを感じている。「ファシリテーターが活躍することで、会議でも何でもこの集まりがあって良かったと言える場面が増えたら、暮らしがより面白くなるんじゃないでしょうか」
- 谷さんが講師を務めた「かがわ里海大学」のファシリテーション講座
- 1974年 3月 三木町生まれ
- 1996年 3月 香川大学教育学部 卒業
- 1996年 4月 株式会社浜崎 入社
- 2001年 6月 ワーキングホリデービザにて渡豪
- 2002年 6月 ワンダーミックス・ムック株式会社 入社
- 2005年 1月 Office123 設立
事業概要 | ビジネスコーチング、ファシリテーション |
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著書 |
リーダーのための!ファシリテーションスキル(すばる舎) タイプがわかればうまくいく!コミュニケーションスキル(枝川義邦共著:総合法令出版) |
URL | http://www.1234go.net/ |
「古い船をいま動かせるのは古い水夫じゃないだろう」というフォークソングがありました。
自由な発想と情熱を原動力に次代を切り拓く新しい「Next」世代に迫ります。