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さぬき美探訪

2016年9月1日更新

彫漆の世界  -音丸耕堂

音丸耕堂《彫漆月之花手箱》
写真:高橋 章

香川の漆芸技法の一つ「彫漆」とは、器物の表面に漆を幾重にも塗り重ねて厚い層を作り、その上から模様を彫るものです。起源は中国の宋時代にさかのぼりますが、香川を代表する今日の「彫漆」に至る礎となったのは、江戸時代末期の高松で活躍した讃岐漆芸の祖・玉楮象谷の考究や、明治時代の末に讃岐漆器と讃岐彫りの店「百花園」で傑出した職人・石井磬堂らの仕事があげられます。

今回ご紹介する音丸耕堂(1898-1997)は、玉楮象谷(たまかじぞうこく)の漆器を模刻してよく学び、また石井磬堂の一番弟子としてその緻密で優れた技術を継承しました。加えて、音丸の最大の特徴は色彩の豊富さにあります。もともと漆の色彩は朱、黒、黄、緑、褐色の五色に限られていましたが、新素材のレーキ顔料をいち早く取り入れた彼は、難しい中間色や鮮明な色漆を駆使した大胆な意匠の作品を次々と制作しました。そして、1955年(昭和30年)には、「彫漆」技法で重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝に認定されました。

高松市美術館では、音丸の30歳頃から晩年制作に至るまでの作品を20点、所蔵しています。そのうち、モチーフの巧みさも群を抜いている作品2点を紙面で紹介したいと思います。

まず、《彫漆双鯰之圖料紙箱(ちょうしつそうねんのずりょうしばこ)》は、1934年(昭和9年)の第15回帝展に出品された作品です。素地は欅(けやき)。青漆に黄色を加えて緑の漆を作り、塗り重ねた上に黄漆を数十回、さらに黒漆を百回ほど塗り重ねて文様を彫り表しています。天には二匹の鯰(なまず)を組み合わせ、その周りの四つの区切りには幾何学的な草花文が彫り出されています。これは当時流行したアール・デコや構成主義の影響です。また側面には大波の文様が配されており、天の緑のグラデーションと相まって、たゆたゆと水中を泳ぐ鯰の神々しい様子がうかがえます。

音丸耕堂《彫漆双鯰之圖料紙箱》
写真:高橋 章

また、1942年(昭和17年)の第5回新文展において特選となったのが《彫漆月之花手箱(ちょうしつつきのはなてばこ)》です。素地は檜(ひのき)。被せ蓋(ぶた)造りの箱で、身は四段重ね。黒漆を20回ほど塗り重ね、その上に白、朱、白、黄など明るい色漆を塗り、最後に黒漆を厚く塗り重ねています。題名の《月之花》とは、夏の夕方から白い花を開かせ、翌朝にはしぼむ「夕顔」を指しています。その夕顔の葉は一番上の黒で肉付けされ、花は黄と白、それ以外の部分は最初の黒まで彫り下げられています。立体感にあふれ、ほのかな月明かりに照らし出された夕顔は、まるで息をしているようにも思えます。

卓越した技術、漆による色彩の駆使、その斬新なデザイン感覚により表現領域を格段に広げ、見る者を魅了し続ける音丸耕堂の彫漆世界を、ぜひ常設展でお楽しみいただきたいと思います。

高松市美術館 学芸員 毛利 直子

高松市美術館 学芸員 毛利 直子

2016年度第3期常設展 「彫漆の世界 -音丸耕堂」

【 と き 】 9月15日(木)~10月23日(日)
【ところ】 高松市美術館
高松市紺屋町10-4
【入場料】 一般200円 、大学生150円、65歳以上・高校生以下無料
地図

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さぬき美探訪とは

美術館や博物館の学芸員と野菜ソムリエが香川が誇る「美」と「味」をご紹介します。



讃岐を歩く

寒霞渓と並ぶ小豆島の景勝地、銚子渓。この渓谷にある「自然動物園 お猿の国」では、約500匹の猿が戯れる。子猿の愛くるしい表情がなんとも言えない。冬の風物詩「猿団子」も見ものだ。

Photo:T.Nakamura

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