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動向リサーチ

2016年10月6日更新

卸売業・製造業が苦戦

靴業界動向調査 東京商工リサーチ

全国の百貨店に販路を築いていた婦人靴卸の(株)シンエイが7月28日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。29日には婦人靴製造の新興製靴工業(株)が東京地裁に民事再生法の適用を申請。さらに8月11日には靴製造販売のバレリアンシューズ(株)が破産手続きの準備に入った。いずれもシンエイの連鎖だが、知名度の高かったシンエイの破綻で靴業界の苦しい状況が浮き彫りになった格好だ。

東京商工リサーチは、靴業界(靴の製造、卸売、小売業)の686社の動向を調査した。2015年度の売上高合計は2年連続で増加したが、業種により明暗が分かれた。小売業は企画製造から販売まで手がけ競争力を高めている一方、卸売業はインターネット通販の台頭で取引ルートが細り、製造業も価格競争や海外の生産コスト上昇などで苦戦が続いている。今回の調査では好調の大手小売業と苦境の卸売業、製造業という対立構図が鮮明となった。

※本調査は東京商工リサーチが保有する企業データベース(309万社)から、主業種が「革製履物製造業」、「革製履物用材料・同付属品製造業」、「ゴム製履物・同付属品製造業」、「プラスチック製履物・同付属品製造業」を製造業、「靴・履物卸売業」を卸売業、「靴・履物小売業」を小売業とし、業績が3期連続で比較可能な686社を抽出、分析した。売上高、利益金(当期純利益)は15年度を最新決算としている。

売上高合計は1.5%増

686社の15年度の売上高合計は1兆1,560億9,400万円だった。前年同期より180億9,200万円(前年比1.5%増)増加し、2年連続で売上高合計は前年を上回り、靴業界の市場規模は拡大している。

業種別の売上高合計は、「製造業」が2,920億5,200万円(前年度比0.5%増)、「卸売業」が3,102億7,000万円(同0.5%減)、「小売業」が5,537億7,200万円(同3.3%増)だった。大手小売業は、新規出店効果やプライベートブランドの展開により、増収を確保した。

「小売業」の前年比3.3%増に対し、「製造業」は0.5%増にとどまった。「卸売業」は0.5%減と二極化の傾向が強まっている。

調査結果1
東京商工リサーチ調べ
 

売上5億円未満が7割

686社の売上高別では、1億円未満が247社(構成比36.0%)と約4割を占め、次いで1~5億円未満218社(同31.7%)、5億円未満が全体の約7割(同67.7%)を占めた。

一方、50~100億円未満が16社(同2.3%)、100億円以上は19社(同2.7%)で、50億円以上は全体の5.1%にとどまった。靴業界は小・零細規模の企業を中心に構成されている事がわかる。

調査結果2
東京商工リサーチ調べ
 

倒産 前年上回る推移

靴業界の倒産推移を年度(4~3月)別に見ると、12年度(54件)をピークに13年度から増勢をたどっている。14年度は40件(前年度比8.1%増)と増加したが、これは卸売業(12→18件)の倒産増が押し上げた。15年度も45件(同12.5%)と増加したが、これは小売業(11→15件)の増加が押し上げた。16年度(4~7月)はすでに17件発生しており、年度では12年度以来の50件台に到達するペースで推移している。

靴業界では、小売大手の(株)エービーシー・マートや(株)チヨダなど、全国展開する大手が自社ブランドを開発しているほか、インターネット通販の台頭など流通が多様化している。靴製造業も卸売業の発注量減少や値下げ要請など、長年培ってきた製造・卸売・小売の分業体制が崩れ、競争力の低下した卸売業・製造業はシワ寄せを受けている。

かつて百貨店向けに強固な販売チャネルを持っていたシンエイの倒産は、従来型の靴業界の危機を示している。シンエイは百貨店との取引で返品が可能な「委託販売」に頼り、過剰な仕入や出荷を続けて返品による滞留在庫が嵩み、資金繰りが悪化した。

靴業界は地場に根付く多くの中小・零細企業が支えているが、資金力が乏しいため設備投資や人材育成が思うように進んでいない。その背景には、業歴の長い企業が多く後継者問題など新陳代謝の進まない業界の本質的な課題がある。シンエイの倒産に端を発した業界の激震が沈静化の様相を見せない靴業界だが、人口減少やライフスタイルの多様化の中で、従来型の「大量生産、大量出荷」による業界システムは通用しなくなっている。

消費者の目線に立った商品構成、小ロット品対応など、業界をあげた対応が急がれる。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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動向リサーチとは

「動向リサーチ」は、東京商工リサーチがまとめる詳細な情報データに基づき、株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長・立花 正伸さんが香川の経済動向を鋭く分析します。



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