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動向リサーチ

VOL.205 2016年11月17日

2年連続減少 厳しい業況を反映

2015年老人福祉・介護事業者の新設法人調査 東京商工リサーチ

2015年(1~12月)に新しく設立された法人(以下、新設法人)は12万4,996社(前年比4.5%増)で、6年連続で増加した。こうした中、老人福祉・介護事業者の新設法人は3,116社(前年3,627社)にとどまった。2年連続で減少し、減少率は14.0%減と14年(4.4%減)より9.6ポイント拡大した。10年に調査を始めて以降、3番目に少ない社数で、地区別でも9地区全てで減少した。

調査結果1
東京商工リサーチ調べ
 

東京商工リサーチがまとめた16年1~9月の老人福祉・介護事業者の倒産は77件で、過去最多だった15年の年間76件をすでに上回り、本格的な淘汰の時代を迎えている。高齢化が進む中、要介護者を抱える家族の生活費への圧迫や、実質賃金の低迷、人手不足と人件費の高騰、施設への投資負担、過当競争や介護報酬改定など、内憂外患の厳しい環境が背景にある。ビジネスとして有望な市場から一転、新規参入に二の足を踏む状況が浮き彫りになった格好だ。

※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象309万社)から11~15年に新しく設立された法人のうち、業種コードの「老人福祉・介護事業」を抽出、分析した。

特別養護老人ホームが6割減

業種別では、最多は「訪問介護事業」の2,572社(構成比82.5%)だった。次いで「通所・短期入所介護事業」が315社(同10.1%)、「有料老人ホーム」が107社(同3.4%)と続く。

前年比では前年と同数(4社)の「介護老人保健施設」を除き、6業種で減少した。減少率が最も大きかったのは「特別養護老人ホーム」の64.8%減(122→43社)。次いで「認知症老人グループホーム」の56.0%減(25→11社)、養護老人ホームやケアハウスなどを含む「その他の老人福祉・介護事業」の49.2%減(126→64社)の順。減少した6業種のうち「有料老人ホーム」以外の5業種で減少率が拡大した。

1000万円未満が全体の9割

資本金別では「100万円以上500万円未満」が1,756社(構成比56.3%)と最も多く、「100万円未満」が704社(同22.5%)、「500万円以上1000万円未満」が342社(同10.9%)と続く。資本金1000万円未満の企業は2,802社(前年3,213社)で全体の89.9%を占め、少額の資本金で設立する法人が目立った。

四国が減少率トップに

地区別では9地区全てで前年を下回った。14年に10.1%増で増加率トップだった四国は、29.2%減(130→92社)と減少率トップに転じた。東北も27.5%減(218→158社)と全国の減少率(14.0%減)を大きく上回った。2地区とも「訪問介護事業」が大きく減少(四国25社減、東北37社減)したことが響いた。

調査結果2
東京商工リサーチ調べ
 

このほか、関東が18.1%減(1,093→895社)、中国が15.2%減(164→139社)、北陸が14.8%減(47→40社)だった。

老人福祉・介護事業は、経営基盤の弱い小規模事業者や事業計画の甘い新規参入業者などが淘汰される傾向が強まり、新設法人数にも影を落としている。政府の掲げる「1億総活躍社会」の実現には介護による離職者の抑制が欠かせない。だが、介護市場では小規模事業者を中心に倒産が増え、新設法人も減少をたどる状況が定着しつつある。それだけに介護離職ゼロの実現には老人福祉・介護業界の安定と同時に、家族を安心して任せられる環境作りが必要だ。

新たな市場としてビジネスライクな視点だけでなく、ハード(施設)とソフト(人材)の両面から円滑な事業運営や新規参入を促す細やかな政策支援が今こそ求められている。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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動向リサーチとは

「動向リサーチ」は、東京商工リサーチがまとめる詳細な情報データに基づき、株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長・立花 正伸さんが香川の経済動向を鋭く分析します。



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