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さぬき味探訪

VOL.227 2017年10月19日

 サワラの出荷最盛期のせり場の様子

貴重なタンパク源であった魚介類と季節の野菜の組み合わせが、讃岐の郷土料理の基本となっています。これまで野菜を中心に讃岐の食を紹介してきましたが、讃岐の食文化を支えるもう一つの食材「魚介類」にも目を向けてみたいと思います。

外洋から産卵をするために瀬戸内海にやってきた魚は、また外洋へと戻っていきます。季節と、潮の流れと魚の動き、このサイクルに合わせたタイミングで漁をするのが瀬戸内の漁業。季節や魚種によって漁法も違いますし、取れる魚も異なり、季節ごとに多種多様の魚が店頭をにぎわします。数多の魚介類の中にあって、香川県の食文化に欠くことのできない魚と言えば、サワラではないでしょうか。

魚へんに春と書くように、春を代表する魚であり、香川県においてサワラは特別な取り扱いをされる魚です。農村部ではお嫁さんにサワラを持たせて実家で骨休めをさせるという風習がありました。また、田植え前にサワラ料理で親戚一同をもてなす「春祝魚(はるいお)」という行事もあります。高松市中央卸売市場においても、4月20日の香川県産サワラ漁※の解禁に合わせた初セリは春の風物詩となっており、讃岐におけるサワラを取り巻く文化や風物詩は枚挙にいとまがありません。また、代表的な料理であるサワラの押し抜き寿司やサワラの味噌漬けなど、とてもたくさんの食文化が現代にも受け継がれています。

香川の食に欠かすことのできないサワラですが、一時期、乱獲により漁獲量が著しく減少しました。そこで、漁業期の設定や、網目の大きさの制限、稚魚の放流など資源回復に努めた結果、漁獲量が回復してきました。そして、2014年からは10年ぶりに秋(10~11月)のサワラの漁が解禁となり、再び脂の乗った秋サワラを味わえるようになったのです。

讃岐を代表する魚「サワラ」。とても新鮮な状態で手に入るので刺身も良いのですが、酢〆や、味噌漬けにすることでサワラの持つ魅力は増していきます。サワラに関してとても多様な食文化が残っていることからも、香川県においてどれだけ大切に食べられてきた魚なのかを慮ることができます。

※備讃瀬戸(燧灘から播磨灘に挟まれた海域)におけるサワラ漁。

高松松平藩から幕府への献上物リストに、「鰆子(サワラのからすみ)」の文字が見えます。当時から香川県を代表する魚として地位を築いていたことが想像できます。

(出典:『安永武鑑』国立国会図書館ライブラリ―)

高松市市場業務課 主査
野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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さぬき美探訪とは

美術館や博物館の学芸員と野菜ソムリエが香川が誇る「美」と「味」をご紹介します。



讃岐を歩く

寒霞渓と並ぶ小豆島の景勝地、銚子渓。この渓谷にある「自然動物園 お猿の国」では、約500匹の猿が戯れる。子猿の愛くるしい表情がなんとも言えない。冬の風物詩「猿団子」も見ものだ。

Photo:T.Nakamura

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