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プライムパーソン

VOL.239 2018年04月19日

安全、安心、快適に
瀬戸大橋を200年守る

本州四国連絡高速道路 社長 三原 修二さん

安全、安心、快適に 瀬戸大橋を200年守る 本州四国連絡高速道路 社長 三原 修二さん
坂出市番の州緑町の瀬戸大橋記念公園

30歳の働き盛り

2018年4月10日、瀬戸大橋が開通30周年を迎えた。橋を維持管理する本州四国連絡高速道路(本四高速)の社長、三原修二さん(72)は「瀬戸内地域の生活インフラの一つとして確実に定着した。とても感慨深い」と目を細める。そして、こう加える。「瀬戸大橋は架け替えが極めて難しい。今後も安全、安心、快適に使ってもらえるよう、いかにメンテナンスしていくか。私たちが果たすべき責任は重く、使命感を持ってやっていかなければなりません」

神戸市中央区の本四高速本社
神戸市中央区の本四高速本社

200年以上使える橋にする。それが三原さんの大きな目標だ。「夢のような、おとぎ話みたいなことだ、と言われることもあります。でも、できないことはない。私に言わせれば200年でも短いくらい。未来永劫もたせる、それくらいの覚悟です」



橋を傷める大敵の一つは、車両の重さや通行による振動で生じる、路面を支える鉄板の溶接部の「ひび割れ」だ。本四高速では、ひび割れを赤外線で見つける技術を神戸大学と共同開発。特許も取得した。

赤外線点検の様子=櫃石島橋
赤外線点検の様子=櫃石島橋

ひび割れがあると温度差が生じる。そこで、溶接部分に赤外線を当てて温度差を検知し、ひび割れを見つけ出すという仕組みだ。大掛かりな足場を組んだ高所での作業など、これまでの点検では膨大な時間と労力と費用が必要だったが、「点検機器は赤外線カメラとパソコン程度。塗装で隠れた亀裂も発見できるし、作業上の安全性も高い」と三原さんは新技術に自信を見せる。

塗替塗装する作業員=南備讃瀬戸大橋
塗替塗装する作業員=南備讃瀬戸大橋

一方、瀬戸大橋は実に10年以上前からペンキを塗り直している。錆を防ぐためだ。橋を支える鉄骨は、一旦錆びると一気に腐食が進む。「塗り替えが必要な箇所は約180万m²、甲子園球場140個分くらい。端から端まで塗るのに約20年かかります」



瀬戸大橋は鉄道併用橋。塗装作業のための足場作りはJRの車両が走らない深夜・未明しかできない。また、海峡部では工具や塗料を落としてしまうと漁業に影響が出るため、より慎重な作業が求められる。「正直大変な仕事です。でも、30歳になった瀬戸大橋はこれからが働き盛り。体の手入れもしっかりしてあげないといけません」。早めに予防することで延命に繋がると三原さんは力を込める。

「心」は万国共通

出身は大分県。大学卒業後、1969年に入社した川崎重工業では主に労務管理を担当、労組対応などにあたった。印象深いのは85年、39歳の時に命じられたイギリスの関連会社への出向だ。「急にイギリスへ行けと言われ、びっくりしました」。任されたのはオートバイ販売会社の社長だった。

KAWASAKIのバイクはイギリスでも人気で、ディーラーへの卸しが主な業務だった。社員80人のうち、日本人は自身を含めわずか2人で、「英語もあまり話せないし、本当に苦労しました」。取引相手やスタッフと十分にコミュニケーションが取れず、もめることも多かった。だが、「こちらの動機が純粋で、相手のことを思う気持ちがあれば、伝わるものです。やはり『心』は万国共通です」

4年半、社長を務め帰国。その後は川重本体の副社長や顧問を経て2012年、本四高速の社長になった。

三原さんは社員へのボーナス支給時、家族あての感謝の手紙を添えることにしている。「いろんな苦労を乗り越えられているのは家族の協力があってこそ。会社と社員、社員と家族の、心の繋がりを大事にしたいんです。年に2回くらいはそういうのがあってもいいじゃないですか」と優しく微笑む。

ライバルとも連携

2014年、全国の高速道路に共通の料金体系が導入され、瀬戸大橋の基本料金は大幅ダウン。以降、通行台数は3年連続で過去最高を更新している。「一時期は『本州と四国の間に3つも橋をつくって・・・』とか『通行料が高すぎる』と言われてきた。でも、地域への貢献度もものすごく大きいのではと思っています」

少しでも橋を利用してほしいと、三原さんは様々な試みに挑んでいる。昨年3月には利用者を巡ってライバル関係にあるJR四国とタッグを結成。瀬戸内圏にある美術館や城の魅力を、マイカーと鉄道利用者双方にPRする冊子を共同で制作した。「小異を捨てて大同につく。地域を活性化するために同じ橋を使って一緒にやりましょうと声を掛け合いました」

また、開通30周年に合わせて与島PAをリニューアル。売店やフードコートをより利用しやすいよう改修した他、展望台に繋がるエレベーターも新設した。「これほど恵まれた眺望を生かさない手はありません。これまでは休憩ポイントだったPAやSAを『目的地の一つ』にしていきたいと思っています」

最高峰の技術を結集して建設され、「夢の架け橋」と呼ばれた瀬戸大橋。人の往来や物流は盛んになり、私たちの暮らしは大きく変わった。「交通量は伸びているが、人口減少でこの先どうなるかは分からない。将来この橋をどう生かしていくのか。みんなで真剣に考えていかなければなりません」。三原さんは、そう口元を引き締める。

篠原 正樹

三原 修二 | みはら しゅうじ

1946年 大分県生まれ
1964年 大分県立大分鶴崎高校 卒業
1969年 東北大学経済学部 卒業
    川崎重工業(株) 入社
1985年 カワサキモータースUK(株) 社長
2009年 川崎重工業(株) 取締役副社長
2011年 同社 顧問
2012年 本州四国連絡高速道路(株)
    代表取締役社長

本州四国連絡高速道路株式会社

住所本社 兵庫県神戸市中央区小野柄通4-1-22
    アーバンエース三宮ビル
    TEL.078・291・1000(代表)
坂出管理センター 坂出市川津町下川津4388-1
    TEL.0877・45・5511(代表)
設立2005年10月1日
資本金40億円
従業員数365人(2017年3月現在)
事業内容本州と四国を連絡する自動車専用道路の維持・修繕・料金収受、サービスエリア等の休憩施設(SA・PA)の運営、他
地図
URLhttp://www.jb-honshi.co.jp/

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讃岐を歩く

着陸

塩江街道を南へ歩く。鮎滝下の交差点の先に赤い鉄橋のようなものが見えてくる。高松空港の誘導灯だ。見上げると、着陸間近の飛行機。夏の空の下、楽しい旅の始まりや終わりを迎える人をのせているのだろうか。

Photo:T.Nakamura

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