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プライムパーソン

VOL.242 2018年06月07日

助けが必要な人にとって
一番いい“正解”を見つけたい

四国弁護士会連合会 理事長 小早川 龍司さん

助けが必要な人にとって 一番いい“正解”を見つけたい 四国弁護士会連合会 理事長 小早川 龍司さん
模擬法廷室にて

イトマン事件の捜査を経験

刑事事件の裁判では、検事は起訴された被告人が犯罪を行ったことを証明する立場。弁護士は被告人の側に立って弁護をする。小早川龍司さん(55)は幼稚園の頃、検事から弁護士になった父に言った。「どうして今まで正義の味方だったのに今は違うの?」。全く覚えていなかったが、言われた父はかなりショックを受けたと大人になってから聞いた。その父と同じように、検事を経て弁護士になった。4月には、四国弁護士会連合会(四国弁連)の理事長に就任した。

司法試験に合格したのは23歳の時。弁護士か検事か迷ったが、修習生の時に指導してくれた検事が尊敬できる人だったこともあり、検事の道へ。神戸地検に赴任した1991年、大阪地検特捜部からの応援要請を受け、約100日間イトマン事件の捜査に関わった。

戦後最大の経済事件といわれたイトマン事件は、大阪の商社を舞台に起こった特別背任事件。約30人の検事に加えて、事務官たちがチームになり捜査を行った。家宅捜索で押収した大量の書類を手分けして調べていくうち、ただの紙切れだったものが事件のカギを握る重要な証拠になることもある。「私は、検事4年目の若手で、捜査の中心的な役割を果たしたわけではありません。でも、『○月○日の何時何分にA社からB社に送られたファクス』といった書類や関係者の証言などの証拠を一つひとつ積み重ね、事件のストーリーを組み立てて真相に迫っていくことが本当に面白かった」

検察が独自に捜査する手法や、取り調べの仕方など、多くのことを学んだと言う。検事として仕事にやりがいを感じ始めていた。だが、母親の病気もあり、高松に戻って父の弁護士事務所に入った。「検事退職を慰留され迷いもありました。一方で、弁護士は刑事だけではなく民事もあるから、また新しい経験ができるとも思いました」

どんな経験も無駄にはならない

裁判の判決は法律に基づいて決まる。ただ、法律を運用するのは人間。人によって解釈も価値観も違う上、時代によって常識は変わる。多くの人が納得する正解を出し続けることは難しいと日々感じている。「悩んだ時は、何がその人のためになるのか考えます」


最初は離婚しないと主張していた依頼者が、話をする中で考え方が変わる。最終的に離婚となったが、子どもとの時間も持てて前より関係がよくなった。「依頼者の主張をそのまま相手にぶつけるだけで、本当に仕事をしたといえるのか。何かを譲ったかもしれないけれど納得できた、小早川先生に頼んでよかったと言われると、少しは人のために動けたのかなあと思います」

刑事事件の弁護では「あんなひどいことをしたヤツに、弁護なんて必要ないじゃないか」と言われることもある。しかし、なぜこんなことをしたのか、本人や家族の話を深く聞いていくとそれぞれが抱える事情が見えてくる。「心から反省して被害者に謝罪する。その上で、再犯しない環境をつくるにはどうしたらいいのか・・・。頼まれたからにはあらゆることを考え、できる限りのことをしたい」

地域のおやじ会での活動
地域のおやじ会での活動

頼られるとそれに応えようとする性格は、昔から変わらない。四国ロースクールの教授も3年間務めた。授業の準備で時間を取られると、事務所の仕事に影響を与えることもある。だが「この機会に改めて刑事訴訟を本気で勉強しました。おかげで実際の裁判で、裁判官に質問され検事が答えられなかった最新の判例について説明でき、傍聴していた司法修習生たちにいいところを見せられました」

地域の体育協会会長や、おやじ会会長、高松市PTA連絡協議会顧問も引き受け、子どもが卒業した今も活動を続けている。「飲み会で『ニュースで見たあの事件はどういうことですか』と聞かれて説明することもあります。それが、裁判員裁判で裁判員を務める一般の人に、弁護士の立場を分かりやすく説明する時の練習になりました。どんな経験も無駄にはならないと思います」

新たに託された大きな仕事

男女共同参画についての講演会
男女共同参画についての講演会

今年、四国弁連の理事長に就任した。若手弁護士の研修、四国全体で取り組む定期大会の開催、全国組織である日弁連とのパイプ役など、リーダーとしての仕事は多い。「今後は出張も多くなるから、裁判をはじめ現場での仕事に支障は出ないだろうか、などいろいろ思うことはあります。でも、このままだったら何も変わらないでしょう?」

実は、検事になりたての頃、経験を積んで法務省でバリバリやってみたいと思っていた。だから、中央と関わりを持つような仕事も弁護士人生の中で1年ぐらいあってもいいんじゃないか、と決意した。「大変だと思いますが、新しい世界が見られると思うから」

理事長として取り組みたいことの一つに「災害」がある。南海トラフ地震が発生したら、まずは生き延びることが最優先となるが、時間がたつと法律的な問題が次々発生する。例えば、隣家が倒れて自宅敷地内にあるが自分が撤去しないといけないのか、行方不明者の相続はどうなるのか。「そういう状況の中で、我々弁護士は何ができるのか。弁護士自身が被害に遭ったとしても、助けが必要な人はいる。それに応えるため四国、中国、近畿など近県の弁護士たちとも連携を進めていきたい」

人のためになることに弁護士の存在意義があると考えている。「弁護士にとって裁判は何度でもあることですが、依頼者にしたら一生に一度の出来事。だからこそ、その人にとって一番いい“正解”を考え続けたいと思います」

石川 恭子

小早川 龍司 | こばやかわ りゅうじ

1962年 高松市生まれ
1981年 香川県立高松高校 卒業
1985年 中央大学法学部法律学科 卒業
    司法試験合格
1988年 東京地方検察庁検事
1989年 高知地方検察庁検事
1991年 神戸地方検察庁検事
1993年 香川県弁護士会 登録
    小早川法律事務所 入所
2010年 香川大学大学院香川大学・愛媛大学連合法務研究科
    (四国ロースクール)教授
    刑事訴訟実務、刑事裁判演習等担当(~2013年3月)
2013年 香川県弁護士会会長(~2014年3月)
    日本弁護士連合会理事(~2014年3月)
2018年 四国弁護士会連合会理事長

四国弁護士会連合会

住所高松市丸の内2-22 香川県弁護士会内
TEL:087-822-3693
地図
URLhttp://www.shiben.org/

小早川法律事務所

住所高松市錦町2-3-16
TEL:087-851-3367
地図
URLhttp://kobayakawalaw.com

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讃岐を歩く

燕帰る

春、日本にやって来て、秋、南方へ去るツバメ。暦の上ではもう秋を迎えたが、残暑はまだまだ厳しい。ツバメはそろそろ帰り支度を始めているのだろうか。昼下がりの丸亀市・本島にて。

Photo:T.Nakamura

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