自分で撮影した写真が、 すぐ観光パンフに

香川大学工学部・八重樫研究室 KadaPam(カダパン)

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2018.02.15

専用パンフレットの写真部分が置き換わり撮影した日時やコメントも入れられる

専用パンフレットの写真部分が置き換わり撮影した日時やコメントも入れられる

観光にまつわる情報は、どこで何をするかを決めるための「事前情報」と、旅先で手に入る「現地情報」、帰宅後に旅を振り返る「事後情報」があり、最近はフェイスブックやブログなどの事後情報が注目されている。「発信された事後情報は別の誰かの事前情報になる。自治体の観光情報は事前情報と現地情報に関する取り組みが中心で、事後情報に関しては弱い。観光者の事後情報の発信を支援し、それが他の観光客の観光の動機となる仕組みが作れないか」と八重樫理人准教授は考えていた。

そこで目を付けたのが、現地情報の一つ「観光パンフレット」。観光客の多くが利用し、観光地の魅力がつまっているのに旅が終わればほとんどが捨てられてしまう。このパンフレットに付加価値をつけて事後情報として発信してもらい、見た人が「ここに行きたい」と思うきっかけを作る仕組みが「KadaPam(カダパン)」だ。
観光客は、スタート地点で専用の観光パンフレットを手に入れ、掲載されている写真と同じ場所を訪れ、スマホで専用パンフレットと同じアングルで撮影しながら観光地を回る。撮影した写真データはクラウド上に保存され、ゴール地点で自分が撮影した写真に置き換わった紙版と電子版のパンフレットができる。紙版は旅の思い出として持ち帰り、電子版はSNSなどで発信してもらう。
昨秋、小豆島町で行われた実証実験では、 3種類の観光パンフレットを用意

昨秋、小豆島町で行われた実証実験では、
3種類の観光パンフレットを用意

開発はリコー、リコージャパン、テリムクリ、コヤマ・システムとの共同。ひな形となる写真と多少アングルが違っても、パンフと同一の場所だと判別できるリコー独自の画像認識技術だから実現したシステムだ。「最近は聖地巡礼が人気で、映画やアニメの舞台を訪れ“あのシーンのように”と特定のアングルで撮影する人が増えています。そんな風潮にシステムは合っていると思います」

全コースのオリジナルパンフを作りたい人がまた訪れる「リピート促進」、発信されたオリジナルパンフを見た人がそこを訪れる「観光客の掘り起こし」。それに加え、自治体などにとってはカダパンを利用した人がいつ、どこをどんなふうに回ったかという観光行動をデータ化できるのが利点だ。「行動ルートなどのデータは、観光の満足度を高める施策に生かせる」と八重樫さんは話す。

【問い合わせ】TEL.087・864・2241電子・情報工学科・八重樫研究室
【HP】http://remmy.eng.kagawa-u.ac.jp/yaegashi-lab/

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