思いやりと好奇心で生き残る

日本たばこ産業(JT)四国支社長 北村直樹さん

Interview

2019.04.18

広島で生まれ、香川で幼少期を過ごした。今年1月から四国4県にある支店を統括する四国支社長として、35年ぶりに香川での生活が始まった。「四国は全国有数の葉たばこの産地です。葉たばこ耕作を生業とされている方や、たばこ販売店様も数多い。たくさんの方々が我々の事業を支えてくださっているのだと再認識する土地であり、身が引き締まる思い」と話す。

新卒で歯科医療機器メーカーに就職、3年ほど勤めて、ナビスコのたばこ事業部(米・レイノルズ社の日本法人)に転職した。2005年、JTがレイノルズを買収し、北村さんもJTへ。「テレビのニュース番組で、買収の一報を聞きました。ちょうど私の誕生日だったので、忘れられない日になりました」

過去の中に未来への道しるべ

土庄港で

土庄港で

働く会社や土地が変わっても、北村さんには変わらぬ信念がある。「時代に合わせて自分が変化しなければと、常に考えてきました。新しいことへの挑戦は、いつもワクワクします」

レイノルズ時代、アイルランド人の上司から言われた「ハードワーク&プレイマッチ(よく働き、よく遊べ)」をいつも心に留めている。「外資系企業は様々な国から人材が集まります。上司はみんなに伝わる言葉で話すよう心掛けていたと思います。だから分かりやすいし、心に残るんでしょうね」

転職と転勤を経験してきたからこそ、感じることがある。前任地の南九州支社にいた時、鹿児島県の薩摩焼窯元の陶工から聞いた話が興味深かった。「歴史を見つめ直すことで未来への道しるべが分かることがある、と言われました。未来は分からない。それは過去の人たちも同じ。不安を乗り越えて、歴史は作られてきた。そこにヒントがあるんだと思います」。1500年代から続く伝統を受け継ぎ、道を究めた陶工の言葉は胸に迫るものがあった。

歴史を誇りに

阿波池田たばこ資料館

阿波池田たばこ資料館

四国支社への着任後、徳島県三好市の阿波池田たばこ資料館を訪れ、どのように葉たばこが生産されていたかを聞いた。「阿波で育てた葉たばこを、吉野川を下って讃岐へ運び、多度津港から北前船で全国に広がっていったと聞きました。自社商品のPRだけでなく、たばこにまつわる歴史や文化も伝えていきたいと思いましたね」

社員には、いつも思いやりと好奇心を持つようにと伝えている。「地球の長い歴史の中で、人間が生き残ってこられたのは強いからでも賢いからでもなく、思いやりと好奇心があったからなんだそうです。職場でも家庭でも大事ですよね」。北村さん自身も「なぜ」「どうして」という視点を忘れないようにしている。
「たばこは歴史のある産業です。社員たちにはたばこ会社であることに誇りを持って働いてほしい」
昨年のJTの調査では、成人男性の喫煙率は27.8%。ピーク時は80%を超えていた。女性は8.7%でほぼ横ばいだ。たばこを吸う人も吸わない人も心地よく過ごせるよう、分煙の取り組みだけでなく、新商品の開発も進んでいる。
昨年発売した加熱式たばこの「プルーム・テック」は、従来の紙巻たばこに比べて、においや健康への影響が懸念される物質が大幅にカットされているという。「たばこを吸う人も吸わない人もお客様です。潜在的なニーズを掘り起こし、たばこという商材でお客様の困りごとを解決していきたい」

鎌田 佳子

北村 直樹|きたむら なおき

略歴
1966年 広島県福山市生まれ
1984年 坂出商業高校 卒業
歯科医療機器メーカー、RJRナビスコ社(たばこ事業)日本法人を経て
2005年 日本たばこ産業株式会社(JT) 入社 東京支店 営業部長
2010年 たばこ事業本部 営業企画部 次長
2011年 たばこ事業本部 営業部 次長
2012年 横浜支店 企画部長
2013年 たばこ事業本部 M&Sサポート部 次長
2014年 東京支店 企画部長
2015年 東京支社 営業企画部長
2017年 南九州支社長
2019年 四国支社長

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