静電気を除去する機能で新たな市場へ

高機能繊維ロープ「enerline エネルライン」 高木綱業

Topic

2019.05.02

 工場や運送業界、船舶関係、農業など、あらゆる場面で使われているロープ。最近は重い金属製ではなく軽くて柔軟な繊維を使ったものが主流になっている。しかし、繊維は静電気が発生しやすく、ロープに静電気がたまると火花が発生するため、発電施設やオイルプラント、IT関連の製造現場などでは使えない場面も多かった。

「この弱点を克服して新たな用途を広げようと『エネルライン』の開発に取りかかりました」という代表取締役社長・高木敏光さん。取り組んだのは素材の工夫だ。通常の繊維は静電気が帯電しやすいが、それを導電性(=電流が留まらず流れやすい)のものに変え、摩擦で発生した静電気を逃すようにした。
繊維ロープの製綱機

繊維ロープの製綱機

 これだけでは強度が十分ではないため、強度の高い繊維と組み合わせて撚り合わせる。ロープの用途によって、導電性の繊維と強度の高い繊維の割合、撚り合わせ方、撚り合わせる強さを変えなければならないが、ちょうどいいバランスを見極めるために試行錯誤したという。「導電性の高い繊維と組み合わせる繊維を変えることで、それぞれの現場に見合う強度とコストが選べます」

さらに今までなかった、帯電の度合いを客観的に証明する基準づくりにも取り組み、測定方法が2018年、国際標準化機構(ISO)に承認された。この国際基準に基づいた検査では従来、繊維の種類によっては1分間の摩擦で約2万ボルト帯電していたロープもあったが、エネルラインはどの繊維と組み合わせても最大1000ボルト程度という結果に。乾燥しやすい冬などに日常生活で発生する静電気が約2000~3000ボルトといわれることから、性能の高さがわかる。

「製造現場だけではなくヘリコプターのロープや運搬用のドローンなど新たな市場を開拓していきたい」と高木社長はいう

高木 敏光 | たかぎ としみつ

略歴
1979年10月25日 高松市生まれ
2003年 慶應義塾大学経済学部 卒業
2006年 東京理科大学電気工学科 卒業
    株式会社船井総合研究所 入社
2011年 高木綱業株式会社 入社
2013年 代表取締役社長

高木綱業

住所
香川県高松市林町278-1
代表電話番号
087-867-2701
設立
1954年
社員数
100人
事業内容
各種繊維ロープ製造、各種電子機器製造
事業所
高松本社、東京、福岡 工場本社工場、さぬき工場、協力工場
確認日
2018.01.04

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ