経営者支える プロフェッショナル集団

みどり合同税理士法人グループ 理事長 三好 貴志男さん

Interview

2019.06.06

4月に開園した企業主導型保育園「みどり栗林公園保育園」=高松市栗林町

4月に開園した企業主導型保育園「みどり栗林公園保育園」=高松市栗林町

意識改革と“見える化”

スタッフミーティングの様子

スタッフミーティングの様子

後継者がいない、売上が伸びない、節税したい、人材が育たない……経営者が抱える悩みは多岐にわたる。公認会計士、税理士、中小企業診断士、社会保険労務士など各分野のスペシャリストが悩みに寄り添い、解決へと導いてくれるのが、高松市のみどり合同税理士法人グループだ。

「中小企業の社長を応援したい」。熱く語る理事長の三好貴志男さん(69)は、「経営者の意識改革と、部門別会計システムによる経営の“見える化”で、たとえ赤字に苦しむ企業でも経営状況は劇的に改善できる」と断言する。

経営者は概して「売上」を追い求める。「これが、そもそもの間違いです」。少しでも売上を増やそうと、安値でも受注する。しわ寄せは下請け業者に回り、“下請けたたき”が始まる。その結果、作業は手抜きになり、品質が下がる。品質の低下は信用の低下に繋がる。固定費を抑えようと社員の人件費を下げると、優秀な人材から順に辞めていく。会社には経験もスキルも何も残らない……。まさに負のスパイラルだ。

「最も重要なのは、売上ではなく、『利益』を見ることです」。どの商品が顧客に支持されているのか、誰が頑張って儲けを出しているのか、どの地域で業績が好調なのか……「利益」には様々な情報が詰まっている、と三好さんは話す。「例えば都市部の市場では売上は高いがコストもかかる。一方、地方では売上はそれほどではなくても、家賃などのコストを抑えられるので利益率は高い。また、利益をグラフで表すと、さらに会社の現状が分かりやすくなり、戦略の立て方が見えてきます」。売上が増えれば増えるほど、利益が減っていくというおかしな現象も少なくない。「いかにして経営者のマインドを変えるかが、私たちの仕事の第一歩。次に会計の見える化。さらに、経営会議で“経営者をほめて励ます”。この3ステップを常に心がけています」

「どっちゃこっちゃならん」

売上ではなく『利益』を見ると会社が見えてくる

売上ではなく『利益』を見ると会社が見えてくる

出身は綾川町。父親は小さな鋳物工場を営んでいた。三好さんは一人息子で、大学を卒業した頃に父が亡くなり、1974年、24歳で家業を継いだ。だが、「業界は衰退し、いくら頑張っても赤字から抜け出せなかった。下請けの苦しみも味わいました」

1年半が過ぎた頃、「このまま続けていてもダメだ。経営を一から勉強しないと、どっちゃこっちゃならん」。地元の会計事務所に弟子入りし、東京の専門学校へも通った。経営のノウハウを学ぶに連れ、「中小企業の経営者って本当に大変。何か役に立てないだろうか、という思いが高まっていきました」

大手の監査法人などで修業を積んだのち、87年に独立。高松市で公認会計士事務所を開いた。「企業の相続税対策のサポートからスタートしました。あれもこれもと、いろんなことをやりたくなる性分なので、事業承継やM&Aなど少しずつ守備範囲を広げていきました」

創業から30年余り。三好さんは、会計や税務など専門分野に特化した16の法人からなる県内屈指のコンサルティンググループを築き上げた。次々と会社を立ち上げたのには理由がある。「会社の組織は、業態にもよりますが、『8人程度で1社』の規模が理想です。社員一人一人が意見を出し合え、主役になれる。経営者意識も養えます」。組織をアメーバと呼ばれる小集団に分ける“アメーバ経営”。「京セラ創業者の稲盛和夫さんから教わった経営哲学です。経営者としての私の大切な指針になっています」

人で栄え、人で滅びる

「みどり栗林公園保育園」の開園式=4月25日

「みどり栗林公園保育園」の開園式=4月25日

16ものグループ会社を束ね、海千山千の経営者を相手に戦略を提案したり意識改革を迫ったり。そんな三好さんだが、「10年程前までは、迷うことも限界を感じることあった」と打ち明ける。「様々なトップ企業の経営者が決まって言うのは『いかにお客様を大事にするか』『いかに社員を大事にするか』の2つ。これらを心がけるようになって、我が社も拡大したように思います」

グループでは社員教育に特に力を入れる。「社員たちには“人生計画”を描いてもらいます。15年後にどうなっていたいのか、そのためにどうすればいいのか。そして、会社はどうやって社員を成長させるのか。人材を大切に育てることは、そのまま『いいサービス』に直結します」

今年4月、高松市栗林町の事務所敷地内に保育園を開園した。園児は6カ月以上から2歳児までの定員19人に対し、保育士と看護師は6人体制。徒歩1分の栗林公園が散歩コースという絶好のロケーションも持つ。自社スタッフの子どもに加え、地域の子どもたちや病後児も受け入れる予定だ。「我が社は女性スタッフが全体の6割を超えています。働く女性を応援し、UターンやIターン支援で人材確保にも繋げたい」

“企業は人で栄え、人で滅びる”と三好さんは言い切る。「顧客企業が抱える様々な『困りごと』を私たちが持つ技術や商品で解決する。今後も社員たちと共に、企業の存続と発展に貢献していきたいと思っています」

篠原 正樹

三好 貴志男|みよし きしお

略歴
1950年 綾川町生まれ
1968年 高松高校 卒業
1974年 慶應義塾大学経済学部 卒業
     監査法人トーマツを経て
1987年 公認会計士三好貴志男事務所 開設
2004年 みどり合同税理士法人 設立
2016年 高松市栗林町に自社ビルをオープン

みどり合同税理士法人グループ

住所
香川県高松市栗林町1丁目18-30 みどり栗林ビル
代表電話番号
087-834-0081
設立
創業1987年3月
社員数
150人
事業内容
税務・会計、節税・財産管理、事業承継支援・M&A、
経営コンサルティング、医療・介護経営支援 他
グループ
みどり社会保険労務士法人、アップル会計、
MGアカウンティング、みどりクラウド会計、
みどり合同経営、みどり財産コンサルタンツ 等16社
地図
確認日
2019.06.03

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