人とのつながりを 広く厚く

四国若者会議 代表理事 瑞田 信仁さん

Interview

2016.04.21

四国若者会議の瑞田信仁さん、四国食べる商店で=高松市出作町

四国若者会議の瑞田信仁さん、四国食べる商店で=高松市出作町

東京から香川へUターンした瑞田信仁さん(29)は、2014年8月に一般社団法人四国若者会議を設立した。代表理事を務めているが、仕事はそれだけではない。

父が住職をしている稱讃寺(しょうさんじ)で僧侶として働くほか、情報誌と四国の食材を届ける「四国食べる通信」の発送作業にも携わる。1つの大きな仕事を抱えるのではなく、2つ3つと仕事を持つことで柔軟に対応できると言う。袈裟からスーツに着替えて打ち合わせをして、また袈裟を着て出掛ける・・・ということもしょっちゅうだ。

「収入は多くはないし、僕の生き方では叶えられないこともたくさんあると思います。でも、何かあった時に思い浮かべてもらえる人になりたい。『瑞ちゃん呼んだら楽しいやろうな』と言ってくれる人が増えるように生きていければ」。13年に開催された第1回の「四国若者1000人会議」に参加してからそう思うようになった。

四国若者1000人会議は、四国にゆかりや興味のある学生、社会人などが東京で集まって、ゲストの話を聞いたり参加者同士が交流したりするイベントだ。

若者会議に加わるまで、大企業に入って安定した生活を送ることが幸せへの近道だと思っていた瑞田さん。会議を運営する中心メンバーと出会った時は、殴られたような衝撃を受けたと言う。

中心メンバーは、東京から四国にUターンして起業した人や、東京と四国に拠点を持って活動している人たちだった。「彼らは趣味か仕事か分からないと言いながら働いているんですよ」。サラリーマンをしている自分よりも、はるかに楽しそうだった。

瑞田さんは大学卒業後、地方都市のまちづくりに携わりたいと、独立行政法人都市再生機構に就職。2年間、札幌から関東までの地方中核都市の再開発を担当した。「ものすごく楽しくて、これこそが自分のやりたかった仕事だと夢中になりました。休みの日には仕事に役立てようと建築の勉強もしましたね」

だが3年目に異動があり、機構が持つ住宅の管理業務をすることに。3千人を超える職員がいる中で希望の部署に戻れる可能性は低いと感じ、仕事に対してもやもやした気持ちを抱くようになっていた。

たまたまSNSで見つけた若者会議を「何か面白そう」と思い、ボランティアの運営スタッフとして参加することを決めた。「四国でこんなに面白いことをしているんだという人に次から次へと出会って、この活動にはまりました」

若者会議を存続するかどうかという議論になった時、迷わず手を挙げた。「勢いもありましたが、チャンスだと思ったんです」。14年3月、機構を退職し帰郷した。

今後は規模の小さいイベントを定期的に開催することやWebでの情報発信も考えている。「僕が面白いと思った人を取材して記事を書いて、Webで発信したい。大阪でもイベントを開催してみたいですね
若者会議をきっかけに東京から高知に移住した人もいる。けれど、瑞田さんが目指すのは移住促進でも観光客の誘客でもなく、参加者の「関係人口」を増やすことだ。

今は人との関係性を広く厚くすることが幸せへの近道だと思うようになった。「興味関心は人によって違う。それぞれがわくわくする種のようなものを自分の中に持つことが幸せにつながるのでは。その種を育てるには人と出会うことが一番いいと思います」。今年も秋ごろに、東京で四国若者1000人会議を開催する予定だ。

瑞田 信仁 | たまだ しんじ

1986年10月 香川郡(現・高松市)香川町生まれ
2011年 3月 一橋大学社会学部 卒業
2011年 4月 独立行政法人 都市再生機構
2014年 5月 株式会社 四国食べる通信
      カスタマーサポート担当
2014年 8月 一般社団法人 四国若者会議 代表理事
写真
瑞田 信仁 | たまだ しんじ

一般社団法人四国若者会議

代表理事
1人
理事
2人
幹事
1人(イベントに応じて10~20人で活動)
事業概要
四国若者1000人会議を中心としたイベントなど
URL
http://shikoku1000.jp/
確認日
2018.01.04

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