美味しいオリーブで 地域を元気に、健康に

瀬戸内オリーブ 社長 松浦 玲子さん

Interview

2017.07.20

瀬戸内海に面した瀬戸内オリーブのオリーブ園=坂出市大屋冨町

瀬戸内海に面した瀬戸内オリーブのオリーブ園=坂出市大屋冨町

OLIVE JAPAN 2017 国際オリーブオイルコンテストで 金賞を受賞した「瀬戸内オリーブ Lucca」。 主要生産地21カ国から611品がエントリーした

OLIVE JAPAN 2017
国際オリーブオイルコンテストで
金賞を受賞した「瀬戸内オリーブ Lucca」。
主要生産地21カ国から611品がエントリーした

瀬戸内海に面した広大な土地で、3000本のオリーブが青々と茂る。オリーブオイルや新漬け、化粧用オイルなどを製造販売している坂出市の瀬戸内オリーブ。今年4月、創業からわずか6年で、世界でも有数の国際オリーブオイルコンテストで金賞に輝いた。

社長の松浦玲子さん(76)はこれまで、建設、福祉、マリーナ経営など様々な事業を手掛けてきた。オリーブ栽培は全くの素人だったが、「この土地で生まれ育ち、多くの人に支えられて今があります。オリーブで、健康で賑わいのある地域をつくりたい。風光明媚なこの場所にいろんな人に来てほしいんです」

故郷に恩返しをしたい。松浦さんはどこの産地にも負けない美味しさを目指し、自分自身を育んでくれたこの地でオリーブを育てていく。

経験ゼロからのスタート

まろやかさとフルーティな味わいで人気のエキストラバージンオリーブオイル「瀬戸内オリーブ」に、早生品種の果実でつくった「オリーブ塩蔵・新漬」。ポリフェノールやオレイン酸など美容成分をたっぷり含んだ化粧用オイル「なかよし」は、さらっとしていてべたつかず、柔らかな肌を保てると評判だ。

「本当に美味しくて体にいいオリーブとはどういうものなのか。まだまだ勉強しながらの毎日です」

ルッカやミッションなど11品種を栽培している瀬戸内オリーブ。園内を歩くと足元が真っ白なことに気づく。6.2ヘクタールのオリーブ園には一面、牡蠣殻が敷き詰められている。「牡蠣殻は石灰質でミネラルが豊富。ヨーロッパでも石灰質の畑で上質のブドウが栽培されていると聞いて取り入れました。小豆島産オリーブと少しでも差別化できればと思っています」

2011年、松浦さんは、香川県が特産品としてオリーブの生産量を上げようとしている動きを知り、瀬戸内オリーブ創業を思い立った。「昭和30年代まで父が塩田業をやっていたので広い土地を持っていました。でも、50年以上手つかずで草ぼうぼう。土を入れ替えて整地するところから始めました」

香川県出身で以前から親交があった、東京理科大学名誉教授の大林成行さんに協力を仰ぎ、初代社長になってもらった。大林さんは土木工学の権威で、オリーブ園の施設を一から手作りするなど、松浦さんと二人三脚で瀬戸内オリーブの基礎を築いてくれた。しかし、「県からの助成も受け、何とかなると思ってスタートしましたが・・・・・・予想以上に大変でした」

2人ともオリーブ栽培に関しては全く経験がなかった。何から手をつければいいのかも分からない。小豆島と豊島で国内最大級のオリーブ農園を営む東洋オリーブに助けを求めた。「苗木を買わせてもらうところから始まり、何から何まで指導していただきました」

試行錯誤を繰り返し、開園から3年目の秋、初めての収穫を迎えた。その時の喜びは忘れられないと振り返る。「収穫祭を開いて地元の人たちを招待し、搾りたてのオリーブオイルを振る舞いました。みなさん美味しいと言ってくれて本当にうれしかったです」
DAIGOさん、北川景子さんの サイン色紙と、引き出物として出された 「瀬戸内オリーブオイル

DAIGOさん、北川景子さんの
サイン色紙と、引き出物として出された
「瀬戸内オリーブオイル

一昨年は台風の直撃を受け、全体の10分の1にあたる300本のオリーブが根こそぎダメになった。昨年4月に行われたタレントのDAIGOさんと女優の北川景子さんの結婚披露宴では、北川さんの親族が坂出にゆかりがあったことから、瀬戸内オリーブのオイルが引き出物として招待客に配られ話題になった。

「手を抜かず一生懸命やれば、必ず美味しいオリーブができる」。ただその一心で突き進み、今では年間約20トンのオリーブを収穫できるまでになった。「全くの素人でしたが、少しは成長できているのかなと思っています」

今年2月、パートナーの大林さんから「土台はある程度できました。あとはオーナーの松浦さんの仕事です」とバトンを渡され、2代目社長に就任した。

医師を断念し、人生が変わった

医師だった母に憧れ、丸亀高校を卒業後、東京女子医大に進んだ。だが、同じく医師を目指していた夫と出会って学生結婚し、大学を中退した。「なかなか踏ん切りがつきませんでしたが、夫婦で医者をするのは何かと大変だろうということで断念しました」

家庭に入り子育てをする中、母と夫が勤めていた坂出市の回生病院で、患者さんが退院後、自宅での生活に困っているという話をよく耳にした。「退院後の暮らしをサポートしたいと思ったんです」。1977年、車イスや介護用ベッドなど福祉器具の提供や在宅介護などを行う福祉サービス会社を設立。その後、父が営んでいた建設会社や坂出の港を管理するマリーナの代表、さらには子どもの教育や環境問題を考えるNPO法人の代表幹事などを務めた。

「次々と好きなことをさせてもらったおかげで、いろいろな経験ができました」。そして、こう続ける。「福祉も、建設業も、NPOもすべて、地域の人たちの支えがあったからこそ続けられました。一人じゃ到底できなかった。もし医者になっていたら、こんな人生は歩めなかったでしょうね」。松浦さんはしみじみと話す。

まだまだチャレンジしたい

瀬戸内オリーブでは、オイルを搾った後のオリーブのかすを乾燥させ、県産のオリーブ豚の餌にしている。葉は粉末にしてオリーブハマチの餌に、剪定した枝はチップにして土に戻している。「園内で出たものをゴミとして外に出すことはありません。すべてに価値があるのがオリーブなんです」

環境と健康をテーマに掲げ、少しでも農薬を使わないよう、防虫効果があるとされるマリーゴールドをオリーブの木の根元に植える工夫もしている。「お客さんには安心して食べてもらいたい。完全な有機栽培はまだ難しいですが、使用する農薬は通常の半分以下に抑えています」

代々受け継がれてきた土地。バブルの頃には売ってほしいという話が何度も舞い込み、太陽光発電のソーラーパネルを設置しないかという誘いもあった。だが、松浦さんは首を縦には振らなかった。「太陽光をやったのでは雇用もそれほど生まれません。地域の人に喜んでもらえることに活用したい。ずっとそう思っていました」

多くの人に訪れてもらえるようオリーブ園を観光農園にしたい。美容や健康に関する催しも開きたい。オリーブ園のある坂出市大屋冨町は五色台に吹き上げる風が舞うパラグライダー愛好家に人気のスポットで、管理しているマリーナを活用してクルージングやシーカヤックでも楽しんでもらいたい。環境に恵まれたこの地域には可能性がまだまだあり、いろんなことに挑戦したいと声を弾ませる。

「そのためにも、まずは誰が食べても美味しいと言ってもらえるようなオリーブをつくりたい。地域のみなさんに心から愛されるフルーティなオリーブを育てられるよう、これからも頑張っていこうと思っています」

篠原 正樹

松浦 玲子 | まつうら れいこ

1941年 坂出市生まれ
1959年 丸亀高校 卒業
1962年 東京女子医科大学 中退
1977年 総合福祉サービス(株)設立
    代表取締役社長
2006年 (株)松ヶ浦マリーナ 代表取締役社長
2012年 (株)瀬戸内オリーブ設立 取締役
2017年 代表取締役社長
写真
松浦 玲子 | まつうら れいこ

株式会社瀬戸内オリーブ

所在地
坂出市大屋冨町3100番地
TEL:0877-47-0788/FAX:0877-47-0890
設立
2011年12月1日
資本金
1000万円
従業員数
5人
事業内容
戸内オリーブ商品の開発
自然景観・文化景観・人工景観を融合した瀬戸内オアシスの構築 他
地図
URL
https://www.setouchi-olive.com
確認日
2018.01.04

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