変化に対応し 「ロジトロニクス」を展開

カトーレック 社長 加藤 英輔さん

Interview

2018.05.03

極小な電子部品を搭載したプリント基板を手に=高松市朝日町のカトーレック高松工場・実装ライン

極小な電子部品を搭載したプリント基板を手に=高松市朝日町のカトーレック高松工場・実装ライン

海運から陸運、電子へ

「KATOLEC」のロゴをつけて走る大型トラックを街中でよく目にする。運送会社というイメージが強いカトーレックだが、別の顔もある。家電や自動車用電子機器の製造受託サービスでは世界各地に拠点を持つなどグローバルに展開中だ。「時代の変化にスピーディーに対応し、柔軟に業態を変えてきた。物流(ロジスティクス)と電子機器(エレクトロニクス)が融合した『ロジトロニクス』が我が社の最大の特色」と加藤英輔社長(63)は力を込める。
「巧緻より拙速」。経営はスピードだ

「巧緻より拙速」。経営はスピードだ

転機は何度もあった。カトーレックのルーツは1877年、加藤さんの高祖父・彌太郎さんが高松市で立ち上げた海運業だ。戦後、先代の父・達雄さんが「これからは自動車の時代になる」とカーフェリー事業を始め、併せてトラックを所有し陸運業へ。そして松下電器産業(現パナソニック)グループの松下寿電子工業がつくるカラーテレビや電気こたつを運ぶようになったのをきっかけに、1980年、電子部品製造に参入した。「当時の社名は加藤陸運。『プリント基板を組み立てている会社です』と電機メーカーへ営業に行くと、『運送会社じゃないの?』とよく言われました」

さらなる転機は90年代。海外進出だ。電子部品の製造拠点を、インドネシア、タイ、フィリピンと立て続けにつくり、パソコンの記憶装置やプラズマテレビの基板実装などで業績は飛躍的に拡大した。この海外展開を一手に率いたのが加藤さんだ。「タイミングの見極めが良かったんでしょう。アジアの経済発展を見つめながら、ともに成長してきたという思いです」

もちろん全てが順調だったわけではない。99年、海外4カ国目のメキシコ進出は、「私の最大の挫折です」

仕事は順調に入ってきた。だが、中古の機械を使った一部のラインがうまく稼働しなかったうえ、メキシコではそれまで接してきたアジアと同じマネジメント手法は通じなかった。「異文化の難しさを痛感しました」。仕事がさばききれず、多額の赤字を抱え、3年ほどで撤退した。「アジアで調子に乗っていましたが・・・やはり成功は失敗のもとです」。しかし2006年、メキシコに再進出を果たした。「労務管理の手法も見直して、今は順調にいっています。失敗は成功のもとでもあるんですね」。海外へ果敢に攻めていったからこそ今があると、加藤さんは笑顔で振り返る。

父親に口説かれて

高松高校から東大法学部へ進み、1978年にNHKに入った。日米貿易摩擦や85年の日航機墜落事故を取材。「ニュースセンター9時」や「NHK特集」など看板番組の制作にも携わった。充実した日々を送っていたが、「何かこう、モノとして残らないというか・・・切なさみたいなものを感じていました」。父からは上京する度に食事に誘われ、「そろそろ帰ってこないか」と口説かれ続けた。88年、33歳でNHKを退局し、加藤陸運(現カトーレック)に入った。「結局は親父に根負けしたんですね」

97年に社長になり20年。ある時、ベテラン社員にこう言われた。「地元の会社に入って地元で働く。それで良いと思って入社したのに、気がつけばインドネシアで十数年。こんなことになるとは思わなかった。でも、やりがいがあって本当に楽しかった」。時に愚痴をこぼしながらも皆しっかり頑張ってくれている。これほど嬉しいことはないと、加藤さんはしみじみと話す。

「10倍速の時代」へ

昨年、カトーレックはまたも新たな領域への挑戦を始めた。開発が進む国産の新型ロケット「H3」。そのエンジン部分のプリント基板の実装を担う第一歩として、技術確認用基板の実装を受注した。「航空や宇宙関連企業の大視察団が工場にやって来て、びっくりしました。2020年度に種子島宇宙センターで予定されている第1号機の打ち上げは、私もぜひ立ち会いたいと思っています」
三重県桑名市の中部支店・物流センター (4温度帯対応、延床面積3万6800m²)

三重県桑名市の中部支店・物流センター
(4温度帯対応、延床面積3万6800m²)

物流部門では、食品の「冷凍」「冷蔵」「定温」「常温」の4温度帯での管理を重要戦略の一つと位置づける。今年1月に仙台の物流センターの増築工事を終えた他、来年8月の稼働を目指し、岡山県早島町に延床面積1万5600m²、4温度帯対応の物流センターを建設予定だ。「食品の物流は多様化が進み、今がまさに大きなチャンスだと見ています」。海外展開も勢いづく。タイで建設中の倉庫は延床面積2万6000m²で、今夏の竣工前に保管スペースは完売。ベトナム進出も既に決まっている。

電子部門では、海外10カ所目となる工場が来月インドで立ち上がる。加藤さんが注目しているのは「自動車」だ。「スピードメーターやオーディオなど車載関連機器の基板実装がここ数年増えている。今後の自動車業界は、これまでの100年で起こったことが10年で変わる『10倍速の時代』。EV(電気自動車)や自動運転など、ものすごい勢いで変わっていくだろうと思っています」

海から陸、そして暮らしへと、時代の変化を先取りし、会社を変化させてきた。加藤さんの信条は「経営はスピード」。「親父の口癖は『巧緻より拙速』だった。緻密に上手にやるよりは、下手でも速い方が良い。私もまさにそれを実感しています」。そして、こう続ける。「変化を恐れず、むしろチャンスと捉える。社会の変化や業界の動向をしっかりと見極め、モノにしたい。私は今、とてもワクワクしているんです」
文化的社会貢献活動として四国村(四国民家博物館)も支援する。 KATOLECの「LEC」は「logistics(物流)」「electronics(電子)」 「culture(文化)」の頭文字から

文化的社会貢献活動として四国村(四国民家博物館)も支援する。
KATOLECの「LEC」は「logistics(物流)」「electronics(電子)」
「culture(文化)」の頭文字から

篠原 正樹

加藤 英輔 | かとう えいすけ

1954年 高松市生まれ
1973年 香川県立高松高校 卒業
1978年 東京大学法学部 卒業
    NHK 入局
1988年 加藤陸運(現カトーレック)入社
1990年 常務取締役
1992年 代表取締役専務取締役
1997年 代表取締役社長

カトーレック株式会社

住所
本社 東京都江東区枝川2-8-7
TEL.03・5683・7000/FAX.03・5683・7010
高松本社 高松市朝日町5-5-1
TEL.087・822・7000/FAX.087・822・9678
創業
1961年11月2日
設立
1967年4月1日
資本金
7600万円
従業員数
カトーレック1990人
国内関連会社200人/海外関連会社4900人
グループ計7090人(2017年3月現在)
事業内容
電子機器の製造受託サービス(EMS)、
総合物流業、倉庫業 他
地図
URL
http://www.katolec.com/
確認日
2018.05.03

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