面積は小さくとも・・・

元・四国地方整備局長 石橋 良啓

column

2016.05.19

先月、2016年版「100の指標から見た香川」が、香川県から公表されました。これは、主要な100項目の指標について、都道府県別ランキングで香川県の位置を見たものです。この中から2~3の指標について、私の思いついたままを書いてみたいと思います。

まず「県土面積」についてです。100の指標の中で唯一香川県が47位となっているものです。香川県の面積は2014年現在、1876.73平方kmで1位の北海道の約45分の1となっています。私が子供の頃(50年近く前)は大阪府が最も小さく、その頃香川県は46位だったはずですが、いつから香川県が47位になったのか、国勢調査のデータで遡ってみました。すると、1985年と90年の国勢調査のデータで逆転が起こっているのが分かりました。当時大阪府では、関西国際空港の埋め立て工事などが行われており、府の面積が拡大していた頃です。なお、日本で一番広い面積を持つ市町村は岐阜県高山市で、2177.61平方kmと香川県の1.16倍あるというのですから驚きです。

次に「一世帯当たりの預貯金残高」についてです。これについては、最近4年連続2位だったのが、今年は3位に下がったとのことです。それでも、16,278千円と大きな金額となっています。因みに1位は東京都の18,090千円ですが、東京都は「一世帯当たりの年間家計収入」も7,554千円と1位であるのに対し、香川県は6,035千円で30位、全国平均を下回っています。収入は多くなくとも蓄えはしっかりあるというこの傾向について、私は香川県の人達のDNAに起因するのではないかと勝手に思っています。香川県にはため池が多いことはよく知られています。今回の100の指標にはありませんが、ため池の数は都道府県別で見て絶対値こそ3位ですが、面積当たりでは堂々の1位です。雨の少ない香川県(因みに「年間降水量」は42位です)では、農作物を育てるための農業用水を確保するために、古より多くのため池が造られてきました。過去には流血にまで至る水争いもあったように、水というものをとても大切にしており、降った雨を無駄にしないよう少しずつためてきた、このDNAが預貯金残高に繋がっているのではないでしょうか。

他にもいろんな指標で香川県の位置を見ることができますが、瀬戸内の多島美に代表される美しい風景、讃岐うどんや地元食材を活かした美味しい料理、これらをランキングすれば香川県は上位間違いないでしょう。面積は小さくとも魅力一杯の香川を堪能してみてはいかがですか。

元・四国地方整備局長 石橋 良啓

略歴
1958年9月 奈良県桜井市生まれ
1983年3月 京都大学大学院工学研究科 修了
1983年4月 建設省 入省
2006年7月 国土交通省北海道開発局 事業振興部技術管理課長
2008年4月 政策統括官付参事官付政策企画官
2009年7月 中部地方整備局 木曽川上流河川事務所長
2011年1月 四国地方整備局企画部長
2012年9月 関東地方整備局企画部長
2014年7月 水管理・国土保全局防災課長
2015年5月 四国地方整備局長
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元・四国地方整備局長 石橋 良啓

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