中小企業には 無限の可能性がある

中小企業基盤整備機構四国本部 本部長 福本 功さん

Interview

2018.10.18

「日本の企業数の99%、従業員数でも約70%を占める中小企業は、日本経済を支える存在です」。創業、販路開拓、事業承継などあらゆる面で中小企業を支援する中小企業総合事業団(現・中小機構)で、最初に携わったのは異業種交流に関する事業だった。企業の担当者たちが集まる勉強会の講師派遣などを実施。事業を通して、焼酎メーカーが木材加工業者と組んでパッケージを木製に変える、数社が共同で技術開発といった事例が生まれた。「中小企業は、大企業と比べて人、モノ、資金の規模は小さいけれど、時に数社が補い合えば多彩な展開ができる。意思決定も早い。世の中の流れをつかんでうまく対応すれば、無限の可能性があると思います」

人材を育成する中小企業大学校で、後継者研修のカリキュラムづくりにも携わった。学校では、未来の経営者が10カ月かけて人事労務、経営戦略の立て方、マーケティングなど経営の基礎を学ぶ。最終的に、自社の課題を踏まえた上で今後どういう方向に向かうべきか、ということを考えながらゼミ論文を仕上げていく。「研修生は20代後半の若い人達ばかり。最初はやんちゃな印象だった人も、修了する時には後継者としての責任や自覚も芽生えてくる。成長を間近で見られることにやりがいを感じました」

九州に赴任した2008年、15年前に東京校の研修生だった5人が訪ねてきた。「全員が本当に社長になっていて嬉しかったです。40代の社長といえば若いですが、みんな経営者の顔になっていましたね」

四国のよさを世界に発信

ロッククライミングの聖地といわれる 谷川岳、一ノ倉沢

ロッククライミングの聖地といわれる
谷川岳、一ノ倉沢

子どもが中学でテニス部に入ったのをきっかけに、一緒にテニスを始めた。できなかったことを一つひとつクリアしていく達成感が楽しく、15年以上続けている。落ち着いたら始められるよう、高松にラケットを持ってきた。テニスに限らずスポーツ観戦も好きだ。「素振りとか基礎練習とか同じことを何度も繰り返した結果が、ドラマチックな試合展開や勝利につながっていると思うと元気が出ます」

リフレッシュしたい時は、自然の中を散策する。山、瀬戸内海、島…自然豊かな香川の風景が大好きで、直島や小豆島、屋島にも出かけた。「こんなに素晴らしい景色を知らない人が東京にはたくさんいます。自然だけではなく、四国には地域資源が多い。それを活用したビジネスを掘り起こして、首都圏や海外に発信するお手伝いがしたい」

まずは一歩踏み出す

水芭蕉の尾瀬を散策

水芭蕉の尾瀬を散策

自らを、慎重な性格だという。だからあえて、仕事をするときはスピード感を大事にしている。「完璧を目指してあれこれ考えすぎるより、まずは一歩踏み出したい」。中小企業を取り巻く課題として今、経営者の高齢化、労働人口の減少、国内市場の縮小が指摘されている。「中でも四国は、これらの現象がほかの地域より進んでいます。大変な環境の中で、企業が成長できるような支援を、スピード感を持って取り組みたい。それが、四国経済の成長にもつながるという思いでやっていきたいですね」

石川恭子

福本 功 | ふくもと いさお

1960年 千葉県市川市生まれ
1979年 埼玉県立不動岡高校 卒業
1984年 早稲田大学法学部 卒業
    中小企業総合事業団(現:中小機構)採用
1993年 中小企業大学校東京校 研究指導員
1996年 中小企業大学校仙台校 研究指導員
1999年 創造的中小企業支援部資金助成課長代理
2004年 経営基盤支援部人材育成グループ研究指導員
2007年 九州本部 経営支援課長
2009年 新事業支援部創業・ベンチャー支援課長
2013年 ファンド事業部ファンド事業企画課長
2017年 総務部 審議役
2018年 四国本部長

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