本講演は、香川県金融広報委員会(愛称:知るぽると/事務局:日本銀行高松支店内)等の主催で開かれたもの。会場となったサンポートホール高松第2小ホールには事前申込みの観客291名が参加し、得意の山形弁を交えた同氏の話を楽しみながら聞き入っていた。
アメリカでは、子供の頃から「chore」(家事手伝い)を通じて金銭教育をするのが普通だという。6才のとき1$のミニカーが欲しいと伝えた父親から提案されたのが、時給10¢での“落葉片付け”だった。後に周りの友達が50¢もらっていると知り、「世の中や相場のことを知らないと損をする」ことを学んだ。最初のレッスンだった。chore代を受け取る際にも、敢えて1¢コイン10枚で、わざと枚数をごまかしながら数えようとする父親から「お金を受け取るときは自分で数えること」を教わった。1週間で貯めた1$でミニカーを買いにいったら消費税分が足らず、父親から税金の意味や目的を教えてもらった。結局、衝動的にミニカーを買うことは止め、代わりに銀行口座を開いた。父親の立会いのもと、銀行員から小切手の使い方を習った。
高校生になり、幾つものchoreをするようになってからは、手書きの作業リストの下に誓約文とサインもした。父親が初めての契約相手となり、一度作業をし忘れたときには契約通りに一週間分の支払いをしてもらえなかった。「自分で責任をもって仕事を確認する」契約の重さを知った。
カール氏は父親に感謝していると振り返る。日々の生活の中で、お金の価値を覚え、怖さを知った。そのおかげで、高校・大学の日本留学は全て自腹で済ませることができたという。
家族での食事の最中に、奥様から「ご飯食べながら、(息子と)社債や国債とかの話をすんでねぇ」と注意されたこともあったとか。また、日本での高校時代の生徒手帳に記されていたアルバイト禁止、運転免許禁止、交際禁止の条項に驚いた経験を紹介し、日本の学校はあまりに受験重視なのに対し、アメリカでは“生徒が大人になるための知識を与えるべく、こうした行為をサポートしている”との違いを示した。
昨今の失業、ホームレス問題にも触れつつ、「日本には金はある。でも知識がない。世界のカモにならぬよう」と警鐘を鳴らし、「自分の周りに好きな人がいるなら、是非その人たちに、お金にまつわるアドバイスをして欲しい。タブー視せずに。学校だけでは間に合わない。失敗談も是非」と強調して締めくくった。
また、各種団体や会合への講師の無料派遣も行っているので、是非お気軽にお問合せ下さいとのこと。
香川県金融広報委員会(知るぽると)
- 住所
- 香川県高松市寿町2-1-6 日本銀行高松支店内
- 代表電話番号
- 087-825-1104
- 事業内容
- 金融経済情報の提供
金融経済学習の支援 - URL
- https://www3.boj.or.jp/takamatsu/koho/index.htm
- 確認日
- 2018.10.28
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