地域に貢献する気持ちをもつ

四国財務局長 木勢 俊光さん

Interview

2019.01.03

赴任先ではいろいろなところに出かけ、地域を知るようにしている。7月に四国財務局長として赴任してからは、観音寺の琴弾公園、志度の平賀源内記念館、塩江温泉などを訪れ、八十八カ所も現在までで半数近く回った。よさこい祭り、阿波踊り、高松の花火大会、新居浜の太鼓祭りにも出かけた。

「地域の金融機関や企業の方とお会いする前に、相手の地元に出かけることが多いですね。面談した時に少しでも役に立つお話ができるよう心がけています」

仕事を通して生まれる信頼

北陸財務局で採用され、3年後に本省へ。主に担当したのは財政投融資。国債などを発行して調達した資金を、例えば「瀬戸大橋架橋」のような大規模・長期のプロジェクトや、政府系の金融機関などを通して融資する仕事に携わっていた。

来年度の事業計画はどうなっているか、財投計画額はそれに見合う額か、綿密な資料をもとに何度も議論する。「毎年、財投計画をつくる9~12月は特に大変でした。融資先の相手と意見が食い違うこともありますが、最後はお互いが納得できる計画額をつくり上げる。充実感がありました」

通貨の発行量を見積もる

1万円札などの紙幣、500円などの貨幣は毎年新たなものが発行されている。その発行量を決める仕事も、印象に残っているという。消費や経済の動向を予測しながら計画を立て、各金融機関から日銀に戻ってくる通貨のうち、何割かは破れたり曲がったりしているため、その量も予測しないといけない。

担当していた時、消費税が5%から8%に引き上げられた。「1円玉のニーズが増えるだろうから、不足しないよう細心の注意を払いました」。1円玉が最も多く日銀に戻ってくるのはお正月のお賽銭が寺社から金融機関を通して集まる2月。その時期に、どれぐらい戻ってきて、そのうち交換が必要な1円玉とまだ使えるのは何割かなどを予測しながら、消費税引き上げの4月に備えた。「通貨は経済を動かす血液。足りないと社会問題になりますが、製造には費用がかかるため造りすぎるわけにもいかない。見積もった量に近い貨幣が戻ってきた時はほっとしました」
地方自治法施行60周年記念貨幣

地方自治法施行60周年記念貨幣

記念貨幣の発行にも携わった。2008年から、地方自治法施行60周年を記念した500円貨幣と1000円銀貨幣が、毎年いくつかの県ごとに順次発行されていた。1000円銀貨幣は色付きのデザインが特徴。「14年と15年に発行された香川と徳島の記念貨幣の発行作業に携わりました。その時から四国に縁があったんですね」。県から提案された案をもとにデザインを検討。香川は金刀比羅宮から讃岐平野を望む図柄の500円、栗林公園を描いた図柄の1000円に決定した。美しい硬貨が完成した時は感慨深かったという。

若い世代とも連携して

金融庁・グローバル金融連携センター研究員と

金融庁・グローバル金融連携センター研究員と

若手職員には、地域に貢献する気持ちが大切だと伝えている。「地方創生政策アイデアコンテスト2017」で香川大学生が提案した、小豆島の空き家を生かした民泊のアイデアが、最優秀賞を受賞。その取り組みを、四国財務局の若手職員が地域分析などの面からサポートした。「今年は実際に空き家の改修が始まるなど、実現に向けた動きが進んでいるのは素晴らしい。成果が現れると職員たちも励みになります」

今まであまり接点のなかった子育て世代、子どもたちにも情報発信し意見を聞く場も設けている。「多くの人達とのつながりから、地域を元気にする新たなアイデアが生まれるかもしれません」

石川 恭子

木勢 俊光 | きせ としみつ

1958年 富山県高岡市生まれ
1977年 県立高岡高等学校 卒業
1982年 明治学院大学法学部 卒業
    大蔵省(北陸財務局) 入省
2001年 早稲田大学大学院(MBA)修了
2009年 北陸財務局富山財務事務所長
2011年 財務省理財局財政投融資総括課
    資金企画室長
2013年 財務省理財局国庫課通貨企画調整室長
2015年 中国財務局総務部長
2016年 財務省理財局管理課長
2018年 四国財務局長

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ