「課題」ではなく「未来」から考える時代

株式会社 新閃力 代表取締役社長 尾崎 えり子

column

2019.01.03

先日、他社に執行役員として入社した。もちろん自社の経営者としての仕事も継続しながら。「社長であり、社員である」「テレワーカー社員であり、テレワーカーの雇用主である」。それが今の私だ。

もう所属が一社だけ、肩書が一つだけ、優先順位のトップが仕事だけ、の時代は終わる。なぜなら、明らかに労働人口が減少するからだ。黒字でありながら、人材不足で倒産している企業は毎年増える一方。

転職希望者だけをマーケットにしていたら、パイは小さくなり、競合との給料競争になり、中小企業は厳しい戦いを強いられる。しかし、フリーランス、兼業者、自営業者を採用候補にできればパイは増える。

ほかに仕事を持っている人を雇用するとなると、当然リモートワーク(遠隔地で働く)環境を整えざるを得なくなる。

「人手が必要だから、ママも雇おう。ママさん社員が増えたから、働き方を変えよう」というフォーキャスティング(課題をベースに戦略や施策を考える)ではなく、バックキャスティング(未来のあるべき姿をベースに今の戦略や施策を考える)の必要がある。

課題をベースに考えると、また新たな課題にぶつかり、結局その場しのぎの施策や戦略になり方向性がブレる。組織の方向性がブレると毎日本社に通う専業社員と違い、常に会社の状況を把握できないリモートワーカーたちは何を目指して動けばよいか分からず、組織は崩壊する。

チーム全員で「あるべき姿」を作り、それに納得している状態であれば、どんなにバラバラでも方向性がブレないので、組織は崩壊しない。崩壊どころか、兼業者たちは自分のほかの仕事とWIN―WINになるような事業を考えた方が時間を効率的に使えるので、新規事業や新商品が生まれやすい環境になる。

納得している状態にするには「これがわが社のあるべき姿だ!」とトップが掲げるのではなく、チーム全員で作ること。働き方を変えるためには小手先の戦略ではなく、組織のあり方から変えていかないと、結局いつまでたっても課題のお尻を追い続けて、疲弊することになる。

株式会社 新閃力 代表取締役社長 尾崎 えり子

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株式会社 新閃力 代表取締役社長 尾崎 えり子

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