お客さんとの出会いは一期一会の気持ちで

日本政策金融公庫 高松支店 支店長 和田 めぐみさん

Interview

2017.11.02

就職した旧・国民金融公庫は、主に中小企業への融資、創業支援などを行う。最初に配属された広報室ではそんな地域の経営者のもとに出かけ、事業の内容やものづくりについて取材した。「とにかく“人”に興味があって。なぜこの仕事を始めたのか、どうやってこの商品を作ったのか。大げさにいうとその人の人生について聞くことができて面白かったですね」
ふるさと回帰フェアにて

ふるさと回帰フェアにて

その後、融資審査、創業支援などさまざまな業務を経験した。印象に残っているのは、フランス人のオーナーが奥さんの実家でパン屋さんを創業する際の融資審査。住宅地で近所の人しか通らないような立地が不安だったが、オーナーが自分で窯をつくる一生懸命な姿を見て融資を決定した。数年後、情報紙にそのお店が人気店として掲載されているのを見て本当に嬉しかったと言う。「ものの価値が金額だけではかれないように、会社も決算書の数字だけでは分からない。経営者の思いや、その結果にいたった過程を丁寧に伺うことが大切。融資にあたりお客様のお話を伺う際は一期一会の気持ちで臨んでいます」

経験が自信になる

就職した当時は、男女雇用機会均等法が施行された3年後。女性の融資担当は珍しく、自分は意識しなくても周囲からはロールモデルになるよう期待され、融資先の経営者には「頼りなく思われていたでしょうね」と振り返る。女性だけのチームで初めて管理職を任された時は上司に叱られるより、部下の女性たちに頼りにされていないと感じた方がつらかった。

それでも「もうダメかもしれない」と思った時には、お客さんに助けられてきたと言う。ある経理担当の女性から「私もゼロから簿記の勉強をしながら頑張ってきた。あなたのような若い人が頑張っているのは嬉しいから続けてね」と励まされたこともあった。

様々な経験をしてきた今、後輩たちには、男性も女性も確固たる自信というのは自分が経験してきたことでしか身につかない、と伝えている。「人間は一足飛びに成長しないんだから、できないと言う前に、最初はしんどいかもしれないけれど少しずつやるしかないと思います」

ホテルでのんびりのはずが

休日は旅行先のホテルで何もせずのんびり過ごすと言う。「ただ、マネジメントする立場になってからは、どうやったらホテルのようにお客様の心をつかむサービスができるのか、とつい仕事に結びつけてしまってリラックスできないんです」と笑う。
先日出かけた四国村の「異人館」

先日出かけた四国村の「異人館」

古い建物が好きで、昔の街並み散策や香川の醤油蔵にも行ってみたいという和田さん。その希望が叶うのは仕事が落ち着いてから―もう少し先になりそうだ。

石川 恭子

和田 めぐみ | わだ めぐみ

略歴
1966年 大分市生まれ
1985年 大分県立大分雄城台高校 卒業
1989年 お茶の水女子大学文教育学部 卒業
    国民金融公庫(現 日本政策金融公庫) 入庫
    広報室配属
1993年 横浜支店融資審査
2003年 業務第二部
2008年 横浜支店融資第三課長
2013年 小田原支店 支店長
2015年 五反田支店 支店長
2017年 高松支店 支店長

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