目には見えない感謝の気持ちを大切に

EBiSU 取締役 西村 周子さん

Interview

2017.02.02

今年1月、高松青年会議所(JC)の理事長に就任。高松JC初の女性理事長が誕生した。JCは地域との協働により、社会の発展に貢献することを目指す20~40歳までの団体だ。「アドバイスをくれたり時には叱ってくれたり、素晴らしい先輩や仲間とのつながりができました」

偉大な父の背中

家業は高松市庵治町の石材店。関西の大学に進学し、卒業後は本を読んで憧れた為替トレーダーになるため米国へ留学。しかし、祖父が認知症となり要介護5に認定されたことをきっかけに帰郷。仕事で忙しい両親に代わって、自分を育ててくれた祖父母に恩返しがしたかった。石材店を手伝いながら、祖父を介護する生活を1年半続けた。

祖父が亡くなり、その2週間後には父の静雄さんも病気で亡くなった。「志の高い人でした。亡くなって初めて偉大さが分かりましたね」。静雄さんは若くして家業の石材店を引き継いだ。石材採掘業から土木、砕石、保険、不動産業へと事業を展開し、七福神のように発展させたいと願い「エビス」と名付けた。

静雄さんが亡くなった後、西村さんの長兄がえびす石材土木、次兄が保険業の毘沙門天商事、三兄が石材店のEBiSUの代表を務めている。末っ子の西村さんはEBiSUの取締役に就任した。静雄さんが残したのは会社だけではなかった。「長年築いてきてくれた信頼のおかげで、10年経った今でも、両親の時代に繋がった方々に変わらずお世話になっています」

家族で祖父母を介護し父も看取ったことで、家業への思い入れがさらに強くなった。「祖父母と父が先祖への感謝を教えてくれました。先祖供養に関わる仕事をするからこそ、目には見えない感謝や思いやりの心を持つことが大切だと日々感じています」

地元で活躍するかっこ良さ

JCに入会したのは2005年。兄たちのサポートもあり、家業とJCの活動を両立してきた。「父が早くに亡くなった分、JCという学び舎では多くのことを学ばせてもらいました」

入会から1年後には、ASPAC高松大会が開催された。国際会議主催という大事業の経験は非常に良い学びの機会となった。「開催に向けて夜中まで準備に励む先輩方を見て、まちのため、人のためにこんなに熱くなれるなんてと思いました。そこから自分が育ったまちに対して、少しずつ真剣に考えるようになりましたね」

JCが地域で輝く若者に送る「人間力大賞」の候補として、高松JCが2011年に推薦した梅田智子さんとの出会いも印象的だった。梅田さんは高知生まれ香川育ちで、四国の魅力を東京や海外へ発信する団体を立ち上げた。

「私たちの世代は、地元を出て都会で活躍することがかっこいいという考えが主流で、私も例外ではありませんでした」。だが、梅田さんは「地元では誠実に丁寧に日々を生きなくては、そのまちにいられない。それは、都会で勉強や仕事をするよりももっとチャレンジングで尊い」と教えてくれた。

「若い頃は都会に目が向きがちですが、地元で仲間と協力しながら小さなことでも積み上げていくことのかっこよさに気付きました」。人とのつながりがあるからこそ、その分背筋が伸びる思いもする。
高松青年会議所メンバーと

高松青年会議所メンバーと

人間力あふれる人へ

趣味は旅行。最近は出掛ける機会が見つけられないが、人と会って話をすることで気持ちがリフレッシュされるという。「会話の中で気づかされることは多い。励まされたり、自分に足りない点が分かったり。それでまたやる気が出ます」

高松JCの理事長としては「地域のため、人のために活動できる人間力あふれるリーダーでありたいし、そういうグループでいたい」。今年も小学校への出前授業や商店街を舞台にしたまちづくり事業を予定している。

西村 周子 | にしむら ちかこ

略歴
1978年 9月 高松市生まれ
2001年 3月 関西学院大学 総合政策学部 卒業
2004年 5月 Adelphi University Master of Science in Finance 卒業
2004年 9月 株式会社えびす石材土木 入社
2005年 7月 高松青年会議所 入会
2006年 8月 株式会社EBiSU 入社
2017年 1月 高松青年会議所 理事長 就任

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ