早春の白みそ料理

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸

column

2019.02.21

ワケギ和え

ワケギ和え

まだまだ寒い日が続いていますが、立春が過ぎ、太陽の日差しに春の兆しを感じられるようになりました。これに合わせ、店頭に並ぶ野菜のラインナップも変化します。

桃の節句を控えたこの季節に旬を迎える野菜が「ワケギ」です。本格的な春が近づくと、冬野菜の多くが花をつけ始めます。その中でワケギは、花をつけず、この季節に特においしさを増していきます。七十二候の「魚上氷(うおこおりをいずる 2月14日ごろ)」を過ぎて、店頭をにぎわすアサリやマテガイなどの早春の魚介類とともに、桃の節句に欠かすことのできない郷土料理である「ワケギ和え」として調理されます。

このワケギ和えになくてはならないもう一つの食材が「白みそ」です。白みそは、その年に収穫された新米をふんだんに使って秋の終わりに仕込み、正月の雑煮から使われ始めます。白みそは塩分濃度が低いので、他のみそと比べて貯蔵が難しい季節限定の調味料でした。白みそを腐らせないため、徐々に塩を加えながら、可能な限り長持ちさせたと伝わります。

白みそを使った郷土料理は、ワケギ和えに始まり、てっぱい(フナなどの酢みそ和え)、チシャもみ(レタスの酢みそ和え)、タケノコの木の芽和え、そして初夏の鰆のみそ漬けと、桃の節句をはさんだ季節に集中していることがわかります。早春にいただく白みそを使った郷土料理のラインナップは、季節の食材を構成要素として旬の料理が構築される、典型的な事例と言えましょう。

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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