海外勤務でより感じる日本の魅力

日本銀行 高松支店長 菱川 功さん

Interview

2015.08.20

海外勤務は約10年で、ニューヨークやフランクフルトなど世界の都市で過ごしてきた。「直島は世界的に有名ですよ。穏やかな海と島のとりこになってしまうみたいですね」。今回の赴任で初めて香川を訪れた。「風光明媚で、伝統とイノベーションが共存し、食べ物は新鮮でおいしい。三拍子そろった土地はなかなかありません」

アメリカ、ドイツ…世界の国々で

高松支店への着任前は、国際通貨基金(IMF)に出向し、ワシントンD.C.の本部で勤務していた。「ギリシャやウクライナのように、国際収支危機に面した国を支援するのがIMFの仕事。火事場で火を消す消防士のような役割です」。理事代理として、支援を検討する理事会の準備に当たっていた。

それより以前にはニューヨークの大学に通いMBAを取得。政治のまちであるワシントンD.C.とはまた違って、ニューヨークは刺激的だった。アメリカでは個人の長所を伸ばすようなのびのびとした気風を感じた。

「ドイツはソーセージにジャガイモ、ビール、ザワークラウトという酸っぱいキャベツも最高でしたね」。ヨーロッパの中で最も印象的なのは、イギリスのレイクディストリクト(湖水地方)だと言う。自然保護を目的とするナショナル・トラスト運動によって守られてきた土地だ。「時が止まったかのような景色が広がり、『ピーターラビット』の世界そのものでした」

任期中、あまり四国からは出たくないという菱川さん。趣味は妻とまちを歩き、おいしいものを食べることだ。「野菜や果物を始め、新鮮さに驚いています。こんなに食べ物がおいしいところへ来られて幸せです。お遍路さんへのおもてなしなどに、四国の人の心の温かさも感じています。香川では島々から塩江の山まで、隅々訪れたい」

じっくり聞いて、じっくり考える

仕事で大切にしていることは二つある。一つ目は聞き上手でいること。予習しつつも先入観は持たず、その人の背景を考えながらじっくりと話を聞く。二つ目は地に足の着いた考えを持つこと。誰かの受け売りではなく、自分の頭で考える。

「物価は、銀行券や金融政策に対する信頼に左右されるものだと思います。支店の使命を見極めて課題に取り組まなければなりません。表面をなぞるだけでは人の役に立てない。統計の解説だけで仕事をした気にならないように、とも思っています」

着任から約2カ月経った。「まずは、いろんな人の話をじっくりと聞くところから始めています。四国には奥深い魅力のある会社がたくさんあるので、経営者の方に会うのが楽しみですね。提言も含めて情報発信し、地域経済の活性化に貢献したい」

菱川 功|ひしかわ いさお

略歴
1966年1月  兵庫県生まれ
1988年3月  国際基督教大学教養学部 卒業
1988年4月  日本銀行 入行
1999年12月 金融市場局調査役
2004年7月  ニューヨーク事務所
2007年7月  金融機構局企画役
2009年7月  大阪支店営業課長
2011年7月  国際局総務課長
2013年6月  国際通貨基金へ出向
2015年6月  高松支店長
写真
菱川 功|ひしかわ いさお

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